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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 消費税再引き上げの口実

 4〜6月期のGDP速報が発表された。年率換算の実質GDPは▲6.8%という大幅減だった。中でも、家計消費は▲19.2%、設備投資は▲9.7%、住宅投資は▲35.3%と壮絶なマイナスを記録した。消費税率引き上げが、とてつもない負のインパクトを及ぼしたことは明らかだ。
 ところが、これだけの経済失速が起きたのにもかかわらず、政府やエコノミストは、「想定内」の事態だとして景気対策の必要はないとの判断を下している。今回の経済収縮は、駆け込み需要の反動だから、7月以降、日本経済は、景気回復軌道に戻るので特段の景気対策は必要ないという。

 GDP速報を報じた朝日新聞は、「専門家は7〜9月期のプラス成長を予測する」として、4人の著名エコノミストの見解を紹介している。SMBC日興証券・牧野潤一氏、バークレイズ証券・森田京平氏、BNPパリバ証券・河野龍太郎氏、みずほ証券・上野泰也氏の4氏だが、驚くことに7〜9月期の年率換算の実質成長率を全員が3%台と予測したのだ。
 3%台の成長率に7〜9月期は戻るという見通しに安堵の気持ちを持つ人も多いだろう。しかし、そこには重大な数字のマジックがある。

 今回、GDPがマイナスの下駄を履いてしまった、つまり発射台が低くなってしまったため、7〜9月期のGDPは、あまり成長していなくても、伸び率が高くなってしまうのだ。
 例えば、7〜9月期のGDPが、前年同期と同じ、つまり全く経済成長していなかったとしても、7〜9月期の年率成長率はプラス1.3%になってしまう。もし、7〜9月期のGDPが4〜6月期よりも0.5%増えるだけで、年率換算の成長率は3.3%となる。つまり、エコノミストたちの予測通りになってしまうのだ。
 私は、そこまで行かないと思うが、0.5%くらいのブレは、ちょっとした誤差で生まれてしまうから、エコノミストたちの予測が当たってしまう可能性は十分あるのだ。もしそうなると何が起きるのか。政府は、「日本経済は成長軌道に戻った」と判断して、来年10月からの消費税再引き上げを決定してしまうだろう。

 7月〜9月期のGDP統計は、一次速報が11月、二次速報が12月に発表される。政府は、どちらかで高めの成長率が出たら、その瞬間に消費税再引き上げを決めてしまうのではないか。
 それは最悪の選択となる。6月の実質賃金は、前年比3.8%も減少している。名目賃金が0.4%しか増えないなか、物価が猛烈に上昇しているからだ。6月の生鮮品を除く消費者物価指数総合は、前年同月比3.3%上昇にとどまっているが、そこには帰属家賃が含まれている。帰属家賃というのは、持ち家世帯も自分の家に家賃を支払っているという想定を置いて、家賃相当分を消費に加えて計算しているのだ。家賃には消費税がかからないから、そうした計算をすると物価上昇率が低めに出てくる。
 そこで、帰属家賃を除く消費者物価指数総合をみると、前年同月比4.4%も上昇しているのだ。これが、本当の物価上昇率だ。
 来年、消費税を引き上げれば、こうした物価高に拍車がかかり、国民生活が破壊されてしまう可能性は高いだろう。

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