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「依存を自覚できない人」が何とも危うい理由


スマホをずっと触っていませんか?(写真:Syda Productions/PIXTA)

芸能人が飲酒運転やお酒絡みの問題を起こし、人生を台なしにしたニュースを多くの人が見たことがあると思います。もちろん「台なしにする人」は芸能人に限った話ではなく、一般人にも言えることです。

また、お酒や、薬物、たばこなどの従来の依存だけでなく、ネットやSNS、ソーシャルゲームなどの依存に悩む人も増えてきました。韓国や中国ではネットゲームに夢中になりすぎて死亡する若者の例も報道され社会問題化しています。

「依存かも?」早く気づくことが第一歩

お酒で“やらかした”人のニュースを見て「バカだなぁ」と思った人もいるかもしれませんが、依存症は、自分で自分をコントロールできなくなる脳の病気です。依存症になると、脳の回路が変わってしまい、目の前のことしか考えられなくなります。将来のことは頭から消え、自分では歯止めがきかなくなります。

とはいえ、お酒もゲームも生活をより楽しくしてくれるものですし、ネットは仕事でも生活でも必要不可欠なものになっています。では、やりすぎて取り返しのつかない状態になってしまう人と、上手に付き合って、人生を謳歌する人の違いは何なのでしょうか?

私が監修・執筆協力をした『ずっとやめたかったこと、こうしてやめられました。』でも触れていますが、やりすぎて人生を台なしにしてしまわないために、大事なことを1つあげるとするなら「自分で早く気づくこと」です。

まずは、「依存」とはどういう状態なのか、実際に行われたネズミの実験で見てみましょう。



そして最後には…



生存本能より優先される!?

これは、ネズミに限った話ではありません。人間の話でもあるのです。ここからは、依存症専門医である私のところへ「依存」について話を聞きに来た汐街コナさんとのやりとりを紹介します。


では、依存から抜け出すためにはどうしたらいいでしょうか。「自分で気づく」というのは、依存症治療の第一歩です。もう少し詳しく言えば「自分で依存していることに気づいてやめよう」と思えることが第一歩です。

依存症というのは「否認」の病気といわれているくらい、自分では「依存している」と気づき認めるのが難しい病気です。無理やり家族にクリニックに連れてこられ「私は依存していない!」と言い張る人も少なくありません。

私はさまざまな依存症の患者を28年にわたって診てきましたが、依存症から回復するまで平均2年かかりますし、2年という歳月だけではなく、お金も周りの人の助けも必要になってきます。

ですので、できるだけ「早く」「自分で」気づくことが大事になってきます。がんも早期発見が大事ですが、それと同じです。依存症になる前の「ちょっとした依存」の状態を「プチ依存」と表現しています。この段階で気づくことができれば比較的簡単に抜け出すことができます。

さて、依存について理解を深めるコナさんですが、先生は彼女に「普段の生活の中で何かやめたほうがいいと思うことはない?」と聞きます。少し考えて「スマホ」と答えました。


待ち時間はずっとスマホ



どうやって依存をやめたのか?


「プチ依存」かどうかは医学的に基準があるわけではありませんが、あえて基準をつくるとすると以下になります。

□やめたいと思っているが、やめられない
□仕事、学校、家庭など社会生活において、現状では支障が出ていない

この2つが当てはまれば「プチ依存」といえるでしょう。

例えば、「ネットゲームやSNSを深夜までやってしまい、学校や会社に行けなくなる」という状況は社会生活に支障が出ていますから「プチ依存」ではなく「依存症」の可能性が高い。反対に学校や仕事に支障はないけれど、「本当は将来のためにもっと勉強したいけど、ついついゲームをやりすぎちゃう」といった状況なら「プチ依存」といえます。

続いてゲームに「プチ依存」していた中学生が、どのようにしてゲームをやめられたのか見てみましょう。人の成功例を見ることでプチ依存をやめるヒントになります。


クリアがないネットゲームは楽園!?



「嫌なことを忘れるために飲む」は危険

ゲームに依存していた彼を救ったのは「思わぬキッカケ」でした。それはある日突然のことでした。彼は、高熱で寝込んでしまうのです。このときばかりはゲームをやる気力すらありませんでした。そして、熱が下がった後にゲームをやろうとしたら「楽しめなくなって」いました。もともとやめたかったので、数日間「やらない」ことで冷静になれたのです。

プチ依存の方に注意してほしいことは、自分が「やめられないこと」が、“楽しくてやっている”のか、“嫌なことから逃れたくてやっている”のか、ということです。

例えばお酒を習慣的に飲む人は、ご自身を振り返ってみてください。それは「楽しくて飲んでいるお酒」でしょうか? 「嫌なことを忘れるためのお酒」でしょうか? 両者では、後者のほうがアルコール依存症になる可能性は圧倒的に高くなります。

現実で嫌なことがあってそれを忘れるために飲んでいる人は、酔っている間は嫌なことを忘れられますが、酔いが覚めてくるとまたそれに向き合わなければいけません。お酒を飲んでも現実は変わらないから、現実と向き合いたくないために、また飲んでしまう……ということを繰り返してしまうのです。

これはお酒に限ったことではなく、ネットでも同じです。「仕事が嫌で」「勉強が嫌で」ついネットサーフィンやゲームで気晴らしをする習慣が身についてしまうと、最終的には社会生活に影響を及ぼす“沼”にハマってしまう可能性もあるのです。マンガの彼も「人間関係や勉強が嫌で」どんどんゲームの“沼”にハマっていきました。

次に紹介するのはアルコール依存症になった女性の話です。彼女は大学時代からお酒を飲み始め、社会人になるとお酒がやめられなくなり、とうとう朝から会社を行くふりして公園に行き、ベロベロになるまで飲むようになりました。


朝から飲まないと不安になってしまう



人生で大切なものを取り戻す

このアルコール依存症の彼女は、お酒による失敗を何度も何度も繰り返しながらも、周囲の人の支えもあり断酒を成功させていきました。

冒頭で人生を台なしにする人、という言い方をしましたが、依存症になって人生を台なしにしたと感じたとしても、専門の機関で適切な治療を受ければ、依存症から回復し、人生を取り戻すことは可能です。

私自身、依存症クリニックの医院長として28年間さまざまな依存症から抜け出して自分の人生を取り戻した人たちと関わってきました。ただ、繰り返しになりますが、どうしても依存症から抜け出すには労力が必要です。ですので、早く気づくことが大切なのです。


年号も変わり、心機一転という気持ちの方も多いかもしれません。依存すると、人生で大切な、時間やお金を奪われます。言い換えると、依存から抜け出すことは、自分の人生で大切なものを取り戻すことでもあります。

ずっとやめたかったことをやめた人たちから聞く声は、皆さん「自分にとって本当に大切なものに気がつけた」「本当に大切なものに時間やお金を使えるようになった」という声です。この機会に、「自分の大切なものに時間やお金を使えているか」を振り返ってみるのもいいかもしれません。 

最後に「プチ依存チェックリスト」を掲載しておきます。以下の項目に1つでも当てはまったら、もしかしたら、プチ依存かもしれません。

□それがないと、不安or落ち着かない
□本気になればそれをやめられると思っている
□「それさえあれば幸せ」だと思ったことがある
□それを「明日からやめよう」と一度でも思ったことがある
□それがあると、嫌なことを忘れられる気がする
□それのせいで何かをすっぽかしたことがある

「それ」には、みなさんの「やめられないもの」を当てはめてみてください。お酒、ネット、買い物、甘い物、恋愛……etc.。

さて、あなたはどうでしたか?

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