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下請けは「短納期」の要求を毅然と断れるのか

中小企業の6割で短納期受注が発生している

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  4月に働き方改革関連法が施行され、長時間労働是正に向けた取り組みが動きだした。しかし、このテーマで筆者がセミナーを行うと、大抵、下請の中小企業から「単独で生産性向上や業務効率化を進めても、労働時間削減には限界がある。取引先(主に大企業)から発注があれば、残業してでも対応せざるを得ない」という悩みが聞かれる。

 実際、3月に経済産業省・中小企業庁が公表した「長時間労働に繋がる商慣行に関するWEB調査」によると、直近1年間で、中小企業の6割で短納期受注が発生している。

 その発生要因として、約8割の企業が「取引先からの要望への対応」を挙げており、自社の強みとして短納期を実施している企業は2割に満たない。

 さらに、短納期受注により、7割近い企業が「従業員の平均残業時間が増加する」と回答している。大企業の働き方改革が、日本にある企業の99%以上を占める中小企業へのしわ寄せによって実現するのでは、取り組みの裾野が広がらなくて当然であろう。

 しかも、残業の上限規制は、大企業の方が1年早く施行となっているため、中小企業が法律を理由に断るのも難しい。

 この取引関係の適正化をどう進めるか。残念ながら特効薬は見つからない。ただ、発注側は想像力を働かせてほしい。下請を「都合のいい存在」として扱い続けていては、その下請が疲弊しきってしまう。待っている未来は共倒れである。

 一方、下請側は、無理な要求には毅然(きぜん)と対応したい。それが難しければ、せめて発注者に自社の事情を知ってもらうよう、面談や事業所訪問、勉強会開催などを継続的に行う。

 そして、ともにもうかる仕組みづくりに向けて知恵を出し合う。「ビジネスチャンスを失うのでは」という懸念もあるかもしれないが、むしろその分、付加価値を上げられないか検討してみる。このように、働き方改革を、取引先とのパートナーシップを見直す機会と位置づけたい。

 なお4月より、労働時間等設定改善法において、長時間労働につながる短納期発注や発注内容の頻繁な変更を行わないよう配慮することが事業主の努力義務となった。下請法や独占禁止法違反への厳正な対処と併せ、下請企業が声を上げやすい雰囲気の醸成を望む。
(文=高橋美紀<中小企業診断士>)
日刊工業新聞2019年5月14日

経産省が金型管理に“目安”策定
 経済産業省は、金型などをめぐる下請け企業と発注企業の取引適正化に向け、型の廃棄や返却、保管期間など型管理の目安を策定する。今夏までに産学官の有識者協議会を発足し、議論を進める。自動車や素形材など型を使う業界の多くは型の所有や保管期間があいまいで、下請け企業から発注企業への“休眠型”の返却・廃棄が進まず、下請け企業は管理費用が負担になっている。型管理の目安を示し、各業界による自発的な改善を促す。

 協議会では主に型の返却や廃棄の手順、量産終了となった型の保管期間の目安などについて議論する見通し。目安の策定時期は今後詰める。各業界・企業が目安を参考に、型管理の適正化に向けた取り組みを円滑に進められるようにする。

 型管理をめぐっては、下請け企業が発注側の要請に基づき、長期間にわたって型を保管することが多い。下請け企業が管理費用を全額負担するケースも大半を占め、経営の圧迫要因の一つになっている。

 このため経産省は2016年9月に下請取引適正化に関する政策「未来志向型の取引慣行に向けて(世耕プラン)」を策定。17年7月に型管理の適正化に向けたアクションプラン(行動計画)を公表した。不要な型の廃棄の促進や管理費負担、保管期間を19年度末までに取引間で協議・合意すべきだと示した。

 ただ、経産省の調査によると、型の返却・廃棄について「概ねできた」と回答した受注側企業の回答は18年度が約2割、発注側は約4割で共に前年度比で横ばいだった。先進的な取り組みを実施する企業がある一方、未実施の企業が多く、進捗(しんちょく)にはバラつきがある。

 経産省はこうした現状を踏まえて目安を策定し、下請け企業と発注側が取引適正化に向けた協議を進めやすい環境を整備する。
日刊工業新聞2019年4月17日

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