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職場の「嫌われ上司」が今すぐ変わる5つの方法


これからの上司に求められる能力とは、「部下を元気にする力」です(写真:Kazpon/PIXTA)

「上司は嫌なことを言って嫌われるのが仕事。数年後にそのありがたみに気づいてくれるはず」─―。

かつて、そうした通念が根付いていた時代があったようです。終身雇用が原則で年功序列、ハラスメントやうつ病などの概念も薄かった時代。そして好景気が会社の経営を後押ししていた時代ならば、嫌われ役の上司も「できる上司」にカウントされ、部下たちも「40代になればよい立場になれる」「転職する人などほぼいない」など、さまざまな要因から何とかこらえることができたのでしょう。

しかし近年、状況は真逆の方向に変わりつつあります。300社以上の企業顧問医を務めている私の経験から申し上げたいのは、もしもまだ「嫌われ役上司」を続けている方は、今すぐ降りましょう!ということです。

これから求められる能力は、「部下を元気にする力」

会社員のメンタル不調の相談を受けていて思うのですが、部下に嫌われて、上司が得をすることなど何一つありません。仕事が原因でメンタル不調になった会社員の多くは、不調に追いやられた主原因として、上司の存在を挙げるのです。

これからの上司に求められる能力とは、「部下を元気にする力」です。まずはその土台として、「部下に好かれる上司になりましょう」というご提案をさせていただきます。

部下に好かれることにはたくさんのメリットがありますが、最大のメリットは、あなたの意見や指令が、部下にとって肯定的に響くものになるということです。部下があなたの言うことを「よいこと」として好意的に受け取ってくれるようになるのです。これは精神科においても大事なことなので、私も初診の患者さんを診察する際はとくに、「好かれる」ことを大切にしています。

上司になれば、部下と面談する機会は少なからずあるのではないでしょうか。もしも面談の機会がなければ、ぜひ作っていただきたいと思います。なぜなら面談は、部下に好かれるチャンスになりえるからです。

面談時、部下はいろんな気持ちを抱いて、さまざまな表情で入室してきます。不満をぶつけてやろうと険しい顔つきで入ってくる部下もいれば、相談事を抱えている部下、自分を引き上げてもらいたいと思っている部下、はたまた退社後のデートのことしか頭にない部下もいるでしょう。

「第一印象で部下に好かれる」ためには簡単なテクニックがあります。精神科で面談時に使う“秘策”。それは「表情ミラーリング」です。


(C)JUN OSON

私は患者さんの入室時にはかならず、「ミラーリング」というテクニックを使います。「ミラーリング」とは、相手の仕草や表情、動作を模倣することで、ミラーリングをされた相手は、「この人とは気持ちを共有できる」という印象を持つといわれています。恋愛のテクニックとしてお聞きになったことがある方もいるかもしれません。

部下との面談時、入室してくる部下の表情を素早く、でもしっかり見て、部下が目の前に座るときには同じような表情を作るようにしてください。

会社に不満がいっぱいで怒っているような顔をしている部下には、自分も険しい顔をしてみましょう。「そうだそうだ、この会社には解決すべき問題が山積みだ」というような表情です。

のんきな顔をして入ってくる新人には、のんきな顔で応えましょう。「私だって上司の新人で〜す!」という感じです。

部下のタイプ別の対処法

ここからは、上司を悩ませる部下のタイプ別に話を進めていきます。

「愚痴が多い部下」編

まずは、愚痴の多い部下。あなたの周りにもいるのではないでしょうか。なぜ、彼・彼女は愚痴ばかり言うのでしょう。

その理由はもちろん、自分の扱われ方に不満があるからです。しかし同時に、自分に自信がないからでもあるのです。自信がある人は愚痴を言う前に、もしくは少しの愚痴をこぼすだけで、あっさりと、転職や独立など、行動に移してしまいます。

そして愚痴を言うもう1つの理由。それは、愛されたいから、認めてもらいたいから、なのです。上司であるあなたに。そして会社に。


(C)JUN OSON

愚痴の多い部下への対応法。トライするべきテクニックは、名付けて「親バカ式リフレーミング」です。「リフレーミング」とは、精神科の家族療法で用いる言葉です。簡単に言うと、たとえばコップに半分だけジュースが入っているのを見て、「もう半分しかない」とネガティブに捉えてしまう人に、「まだ半分もある」というポジティブな捉え方ができるように訓練をしていくというものです。

出来事・物事を、今とは違うフレーム=枠組みで捉え直し、出来事や物事をポジティブに捉える癖をつけるための、認知行動療法です。

部下に対して、「親バカ」な態度をとることで、部下に自信をつけ、自分がすばらしい人材だと思い込ませてあげましょう。そのために、愚痴は、リフレーミングしてあげられる絶好のチャンスだと考えてください。部下から「愚痴がきた!」と思ったら、そのたびに、子どもを溺愛している親が言いそうな言葉でその愚痴を「リフレーミング」してあげるのです。

自己評価が高い、ということ自体は、決して悪いことではありません。こういったタイプの人はうつ病にもなりにくく、比較的打たれ強い性格です。問題なのは“他人に”「自分を高く評価してくれ」と求めすぎる人です。

「高すぎる評価を求める部下」をどうするか

「高すぎる評価を求める部下」編

上司として困るのは、彼らの求める「高評価」が、実際の業績と見合わないときでしょう。すばらしい成果を上げているならともかく、大したことがない成果に対する評価を求められても、手放しでその気持ちに応えてあげることは難しいですよね。


(C)JUN OSON

そんなときに使えるのが精神科のテクニック、「認め」です。

部下との面談において、「認め」から入ることは非常に有効です。認めるとは「○○をしたのですね」「○○の収益を上げたのですね」「○○という結果を出したのですね」という、事実を認めることです。

「認めるだけでは彼らは満足しないのではないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、心配いりません。なぜなら、「認め」とは、「あなただったらそれくらいはできると思っていた」という確認としても相手に響き、人そのものの賞賛にもなるからです。褒められた興奮というよりは、静かな満足感を得られるため、プライドの高い部下には効果的です。

「指示待ちニンゲンな部下」編

「ダメ出し」の連発は、人のやる気を奪います。まずはこの事実をしっかりと認識していただきたいと思います。ダメ出しを連発すると、なぜ、やる気がなくなるのでしょうか。それは、自己肯定感が下がるからです。自己肯定感とは、「私は大丈夫」という気持ちです。

ではどうすればいいのでしょうか。他でもない上司のあなたが、「自己肯定感」「自己効力感」の育て直しをしてあげてほしいのです。

「育て直し」の方法は単純。ダメ出しの反対、「ヨイ出し」の連発をすればいいだけです。「ヨイ出し」、あまり聞いたことがないフレーズかもしれませんが、上司の辞書には必須ワードだと思ってください。ぜひ、書き込んでおいてください。

「ヨイ出し」とは、なにもホメホメ大作戦、というわけではありません。ここまで読んできてくださった方はピンときていらっしゃるかもしれませんが、部下をむやみに褒めることではなく、「いいところを認めて、言葉に出す」ことだと思っていただけたらと思います。言ってみれば「ミトメミトメ(認め認め)大作戦」です。

とにかく加点方式で考えて、まずは彼らに自己肯定感の種を植え付けていきます。ヨイ出しは、何も仕事のことだけでなくてもいいのです。仕事以外のことでも、雑談の中のことだっていいのです。たとえば「いい字を書くなぁ!」といったことでも、それが本当に思っていることであれば、悪い結果になることはありません。

「失敗して……自信ソウシツ部下」編


著者近影(写真提供:文藝春秋)

失敗して、自信を喪失している部下に対して、次のような対応をとった経験はないでしょうか。

直属の部下が大きな失敗をしてしまいました。ひどく反省し、落ちこんでいるようです。自信を喪失し、顔色も悪い。「やっぱりここは話を聞いてあげることかな」。あなたは部下と、1時間以上の面談タイムをとることにしました。

でも、待ってください。本当に、「部下の話をじっくりと聞いてあげるのがいい上司」?実はこれは、私が企業向けに行っているセミナーの中で、いちばん反響が大きく、「誤解していました」という感想をいただく部分なのです。

部下の話をしっかり、じっくりと聞いてあげること。それはもちろん間違いではありませんが、必ずしも、いつもいつもじっくりと、最後まで話に付き合い、聞いてあげることが部下のためになるとは限りません。

では、失敗して自信を喪失してしまった患者さんとの面談。精神科の医師なら、どうするでしょうか? 

確かに、多くのクリニックにおいて、初診ではじっくりと時間をとり、患者さんの話や状況をしっかりと伺います。しかし精神科医は、親身にはなるものの、やたらに共感したり、わざと涙を流させたりするようなことはしません。そして再診時には、必要だと判断される場合を除いては、初診時ほどたっぷりと時間をとって相手の話を聞くことばかりはしないのです。

なぜなら、失敗やつらい気持ちというものは、多くの場合、それを反芻したり考えたりするたびに、負の感情が増幅されて、うつ状態が悪化したり、攻撃性が高まったりする場合があるからです。

ですから、失敗は反省しすぎないほうがいいし、つらい気持ちは反芻しすぎないほうが、精神衛生上いいのです。

では、上司の方々は、「失敗して…自信ソウシツ部下」に、どう対応したらよいのでしょうか。私は、次の3つをお願いしたいと思います。

失敗談やつらい気持ちはサラっと聞き、繰り返させない

失敗の中に今後に役立つ可能性を見つけてあげる

前向きなエピソードを用意する

受け取り方までをコントロールすることはできない

私は一生懸命、患者さんが生きることに前向きになれるよう、生きる意味を見つけ出してくれるよう、日々努力しています。しかし残念ながら、私が発した言葉を悪く受け取ってしまう患者さんもいましたし、努力が実らず、転院されてしまった患者さんもいました。精神科医になった当初は、それこそ自分自身がメンタル不調になるほど悩んだりもしていました。しかし、あるとき気づいたのです。


私は、持っている知識、技術、愛情を込めて一生懸命やった。ここまでは私の範疇であるが、それを彼らがどう受け取るか、また彼らがどう行動するかは、私の範疇外であり、患者さんの自由である、ということに。「患者さんの受け取り方」までをコントロールすることはできないということに。

上司の方々へ。今のあなたの知識、技術、愛情を総動員して、一生懸命、部下に接したならば、落ち込むことは何もありません。彼には彼の受け取り方があり、彼には彼の人生があります。それはそれで、尊重すべきなのです。

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