戻る


月額3000円の「飲み放題コーヒー」が儲かるわけ


coffee mafia飯田橋店。通りすがりよりもリピートで来店する客が圧倒的に多い(記者撮影)

「月額3000円を支払えば、コーヒー飲み放題」。そのようなサブスクリプション(定期購入)形態のカフェが登場して、2年半が経過した。店の名は「coffee mafia(コーヒー・マフィア)」。現在、都内に3店舗(西新宿、飯田橋、銀座)を展開している。

顧客はあらかじめウェブ上で会員登録して、月額料金3000円(税込み)を支払う。すると1カ月間、来店のたびに1杯300円(同)のハンドドリップコーヒーを受け取れる。1日に複数回利用することもできる。

毎日ほぼ1回、利用されている

コーヒー・マフィアの運営会社である飲食店マーケティング支援企業「favy」によると、詳細は未公表ながら「会員数は着実に増加している」(高梨巧社長)という。

4月半ばの平日に飯田橋の店舗を訪れてみると、朝10時台にもかかわらず多くの顧客が来店していた。数えてみると、30分間で約20人もの利用者がいた。顧客は会員であることを提示するためにスマートフォンの画面をスタッフに見せ、支払いをすることなくコーヒーを受け取り、せわしそうに近くのオフィスビルへと消えていった。

サブスクサービスを開始した当初、高梨社長は「月10回で元が取れるので、月あたり十数回は利用されるかな」と見込んでいた。ところが、ふたを開けてみると、平均で月22回も利用されていることがわかった。コーヒー・マフィアは平日のみの営業なので、ほぼ毎日1回は利用されていることになる。

一度会員になったら、長期的にコーヒー・マフィアの顧客になる。継続率は100%に近い。新規の会員が増えるほど、売り上げが伸びていく。

ところが、想定以上に利用回数が多いとなると、気になるのは「この仕組みで儲けることができるのかどうか」である。3000円で22杯となると、単純計算で1杯当たりの売り上げは136円。一般的なカフェチェーンは最低でも1杯200円で販売しており、それと比較してもかなり安く提供している計算になる。


西新宿の店舗には16席が設けられ、ランチの客も多い(記者撮影)

ましてや、コーヒー・マフィアは仕入れ値が高いシングルオリジンコーヒーの豆を使用する。当然のごとく、家賃などの店舗運営費やスタッフの人件費といったコストも生じる。

儲けの秘訣はスマートフォンでの会員登録にある。顧客はオンライン登録するため、店側には会員の年齢や性別、来店時刻などのデータが蓄積される。

狙いは効率的運営と「ついで買い」

大手の飲食チェーンでは楽天ポイントやTポイントなどの共通ポイントを利用し、顧客データを分析・活用しているところも多いが、その提示については顧客の任意だ。中小の飲食店にいたっては、顧客データをまともに蓄積できていない店がほとんどだろう。一方で、コーヒー・マフィアは顧客の購買行動をかなり正確に把握できる。

蓄積したデータを分析して、飲み物やフード、組み合わせメニューの開発に活用する。売れ筋商品や顧客の来店ピークが正確に予測できることもあり、廃棄や品切れといったロスもほとんどない。

また、毎日のように利用する「常連客」が多いため、スタッフは顧客の顔を覚え、自然にコミュニケーションが生まれる。そうなると「新しい商品はいかがですか」などと声を掛けることで、追加購入を促進できる。

つまり、サブスクサービスでのコーヒー販売は来店頻度が高すぎると利益が圧迫されるように見えるが、逆にデータ蓄積やコミュニケーションの向上により効率的な運営と「ついで買い」の商機を生むことができる、というわけだ。

「月に22回も利用してもらえる飲食店はほかにないだろう。顧客の囲い込みができている」と高梨社長は胸を張る。現在は直営で3店舗のみだが、「フランチャイズ展開をしたい、との問い合わせも多い」(同)と明かす。

飲食店のサブスクサービスは、ラーメンチェーンにもある。1都3県に16店を運営する「野郎ラーメン」だ。2017年11月に開始したサービスは専用アプリで登録し、月額8600円(税抜き)を支払う。アプリ上の「パスポート」を提示すると、1日1回「豚骨野郎」(税込み780円)、「汁無し野郎」(同830円)、「味噌野郎」(同880円)の3種類のどれかを食べることができる。


新橋の店舗は昼時になると、サラリーマンでごった返す(記者撮影)

利用者は、近隣のオフィスで勤務するビジネスパーソンや学生が多い。平均で月に17〜18杯を食べるといい、「損益としては正直厳しい」(野郎ラーメンを運営するフードリヴァンプ社の黒木勝巳氏)。月に11〜12杯を食べないと元を取れないため、継続率もさほど高くないようだ。

ただ、収益確保というよりも常連客へのサービス拡充の側面が強い。期待どおり、常連客とのコミュニケーションが増え、「会員は券売機を使用せずに、スタッフにアプリを提示して商品を注文する。『常連客』だとすぐにわかり、声を掛けやすくなった」(黒木氏)。同社は今後もこのサービスを継続する考えだ。

利益は出ないが、PR効果は大きい

野郎ラーメンのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)での露出が増加する効果もあった。SNSで1カ月間ラーメンを食べ続ける様子をアップする会員が少なくない。テレビニュースでも頻繁に取り上げられ、広告費をかけずにサービスの知名度を上げることができた。サブスクの仕組み自体では利益を出せていないが、全体的にはPR効果が大きいようだ。

飲食店でも広がりつつあるサブスクサービス。飲食店のビジネスは注文があった商品を販売する単純な収益モデルに限られていたが、月額制が定着するとサービスの多様化につながる。購買方法の選択肢が増えるのは、消費者にとって悪くないことだろう。

原文リンク

本站帖子來源於互聯網,轉載不代表認可其真實性,亦不代表本站觀點!
關於本站| 官方微博| 私たちの関心網| よくある問題| 意見反饋|copyright 私たちの関心網