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最速で目標達成する人が使う「KPI以外」のワザ


世界の成長企業が注目している「OKR」という目標管理のツールとは?(写真:Fast&Slow/PIXTA)

一昔前とは比べ物にならないほどのスピード感が求められる現代。昔と同じようにPDCAを回していては間に合わない、もしくはMBO、KPIといった目標管理の仕組みを導入しているけれどうまく活用できていない、という企業も多いのではないだろうか。そこで注目されているのが「OKR」だ。

GoogleやFacebook、国内ではメルカリなどの成長企業がこぞって導入していることでも知られるこの新しいマネジメント手法は、実はシンプルで、あらゆる企業や個人で活用できるのだそう。OKR Japanマスターファシリテータ第1号である天野勝氏にその仕組みを聞いた。

GoogleやFacebookが導入するOKRとは?

OKRという新しい目標管理手法をご存じですか? GoogleやFacebook、インテル、メルカリといった成長企業が導入していることでも有名なので、注目しているビジネスパーソンも多いと思います。

こういった成長企業での導入事例を聞くと、スタートアップ(起業)にしか使えないものなのかと思ってしまいがちですが、そうではありません。スタートアップのほうが導入しやすいのは事実ですが、一般の企業においてもOKRは有用です。

伝統のある企業の場合、MBOやKPIといった目標管理の仕組みがすでに導入されている場合も多いと思いますが、これらとOKRを組み合わせて使うことも可能です。

OKRの仕組みは実にシンプルなので、企業レベルでOKRの仕組みを導入することはもちろん、個人の目標管理に使ったり、チームや部門の目標管理に使うこともできます。

さて、そんなOKR、「興味はあるけれど詳しくは知らない」という人のために、いったいどんなものなのか、解説していきましょう。

OKRとは「Objective(目標・目的)」と「Key Result(主要成果)」という2つの言葉の頭文字を並べた言葉で、Key Resultは、Objectiveがどのように達成しつつあるかを端的に測るための指標です。例えばチームの運営にOKRを採用するならば、そのチームとしてのあるべき姿を明文化し(Objective)、そのあるべき姿にどのように近づいているかという達成状況を測定するための主要成果を3つから5つ程度決めます(Key Result)。

測定するのですから、Key Resultは定量的なものである必要があります。主要成果の変化の具合を見ながら、チームが目的に向かって進んでいるかを確認していきます。

OKRの大きな特徴は、「野心的(Ambitious)」な目標値を決めることです。どのくらい野心的かというと、感覚的にその達成確率が60〜70%程度のもの。このような主要成果を、1つの目的に対して3つから5つ程度設定するのです。

達成できる確率が100%ではない、野心的な目標値を設定することで、大きく4つのメリットが得られます。

達成できれば大きな成果となる
失敗が許される
新たなアイデアが生まれやすくなる
対立しにくくなる

OKRでは、達成できなかったとしても、もともと困難なことをしようとしているのですから、とくにペナルティにはしません。創造性を必要とする仕事のほとんどは、計画どおりにはいかないもの。多くの試行錯誤が必要です。だからこそ、試行錯誤を繰り返せる環境、すなわち失敗が許される環境が必要なのです。「チャレンジしろ! だけど失敗するな」という矛盾がある中では成果は上がりません。

また、大切なのはOKRを決めるところからメンバーが参加すること。企業レベルでのOKRの導入を経営企画室といったスタッフ部門が推進するのはかまいませんが、スタッフ部門が個別の部門やチームの指標を決めてしまっては、計画の押しつけとなり、自主性を損ないかねません。

また、OKRは、より高い目標を掲げて、その目標を達成していくための仕組みであって、業績評価とは切り離して考えるべきものだという点もポイントです。

「O」はワクワクする内容にする

ではここで、OKRの設定例をいくつかご紹介しましょう。

【病棟の看護師チームの例】

Objective → 働きやすい職場にする

Key Result  A:患者からのクレーム0件
       B:ネガティブ理由による退職者0人
       C:残業時間を30%削減する
       D:各人の残業時間のバラツキ20%以下

看護師不足が問題となっている病院での、病棟看護師のOKRの例です。現場の課題として、「独身の看護師に負荷がかかる」「新人が定着しない」などがあり、それらの課題からKey Resultを決めています。

【オーダー式食べ放題チェーン店の店舗の例】

Objective → お客さんが笑顔で帰っていくお店にする

Key Result  A:端末からの注文から配膳までの時間3分以内
       B:セルフコーナーの食材、食器不足のクレーム0件
       C:売り上げX円
       D:利益率Y%

収益向上を大目的として、各チームで改善活動を始めた外食産業の、ある店舗でのOKRの例です。

収益向上を大目的とすると、Objectiveに「売り上げ」や「利益率」などを挙げてしまいがちですが、それだと「ワクワク」しません。そこで、店舗のスローガンとして「お客さんが笑顔で帰っていくお店にする」をObjectiveにしました。

なお、このObjectiveも、当初は「最高のおもてなしをする」というものだったのですが、「おもてなしをする」というのはスタッフ側の自己満足にすぎません。「おもてなしをした結果どうなるか?」という観点から、「お客さんが笑顔で帰っていくお店にする」に着地しました。

Key Resultには、当初「おいしい食事を提供する」というものが挙がりましたが、これは飲食店として当たり前のことであり、また測定が難しいため、却下。「値段が高ければおいしいはず」という意見もありましたが、そうなると収益向上につながるとは判断できないというのも、却下の理由でした。

【システムインテグレータの人材採用チームの例】

Objective → Webマーケティング事業で1番になる

Key Result  A:データサイエンティストを採用する → 3名
       B:データサイエンティスト候補と面談する → 20名
       C:データサイエンティストの職務が定義されている

システムインテグレータで新たな事業分野を開拓することになり、ふさわしい人材を雇用するために、人事部と担当事業部の代表で人材採用チームを結成。そのチームのOKR例です。

当初は、Objectiveが「データサイエンティストを3名採用する」、Key Resultが「人材募集サイトに告知を掲載する→10サイト」「告知文を作成する」というものでした。これでは「Key Resultがタスクになっている」という、好ましくない兆候が出てしまっています。

そこで、チームで「なぜ、データサイエンティストを3名採用する必要があるのか?」についてディスカッションをしてもらったところ、「Webマーケティング事業で1番になる」へとメンバーの意見が収束されていったため、それを新たなObjectiveとしました。

このディスカッションの中では、「そもそもデータサイエンティストってどういう人なのか」という疑問も挙がりました。実は、誰しもぼんやりとしたイメージはあったのですが、言葉にしようとするとできなかったのです。そこで、それを決めるということを、最初のKey Resultとしました。

「Action」を加えた「KPTAふりかえり」

このように目標が決まったら、それを進めるための設計をし、1日、1週間といった複数のPDCAを回しながら取り組んでいきます。

そしてこのOKRを進めるうえでキモとなるのが、1週間に1回集まってOKRブリーフィングを行い、達成状況を自己評価する「ふりかえり」のプロセスです。

1つの例として「KPTAふりかえり」を紹介しましょう。KPTとは、ご存じKeep、Problem、Tryの3項目。KPTAふりかえりとはこの3つに「Action」を追加した4つの視点を持つ思考フレームワークを用いてふりかえるファシリテーション手法です。

Actionは、「実施すること」。Tryを受けて、具体的に行うことです。誰が、いつ、何を、どうやって行うのかを明確にします。ここがポイントになります。

初めてKPTAふりかえりを行うときは、次の5ステップで進めます。

Keepを挙げる
Problemを挙げる
Tryを挙げる
Tryを選択する
Actionを決める


まず、Objectiveおよび、Key Resultの達成に対して、いいと思われる行動を各自が付箋紙に書き、「KPTAボード」(図を参照)のKeep欄に整理しながら貼ります。このとき、1人が1枚ずつ順に意見を出していく「ラウンドロビン」という進め方がおすすめです。

2回目以降のKPTAふりかえりは、前回のKPTAの確認から始めてください。Try、Actionを確認し、今後も続けていくことが望ましいならば付箋紙をKeepに移動します。不要なTry、Actionは取り除きます。

Problemを確認し、不要なProblemがあれば取り除きます。Keepを確認し、不要なKeepがあれば取り除きます。

いちばんのカギは、続けるべきことのあぶり出し

Keep欄には、TryとActionから付箋紙が移動してくるのでたくさんたまります。そのため、見やすくするために整理するということもありますが、本当に重要なのはチームとして続けていく行動を明らかにすることです。


チームの能力が向上したり、外部環境が変化したりすることによって、ある行動を行い続けることが、チームのパフォーマンス低下を引き起こしているかもしれません。そのようなものは、Keepから外しましょう。その後は、初回のステップ1〜5の進め方と同じです。

これを行うことで、チームとしてなにを続けることが重要なのか、簡単にあぶり出せるでしょう。

いかがでしょう。駆け足の解説になってしまいましたが、OKRについて、またその効果についておわかりいただけたのではないでしょうか。

仕組みは実にシンプルであらゆる業種と親和性が高いこのフレームワーク、ぜひ、みなさんのオフィスやみなさん個人でも取り入れてみてください。

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