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1万円札を発行すべきでないこれだけの理由


先日、2024年をメドに紙幣刷新が発表された。20年ぶりのデザイン更新となるが、高額紙幣廃止のチャンスを逃したのでは、と山崎元さんは言う(写真:時事通信)

新しい元号が「令和」と決まり、街のあちらこちらで「平成最後の」という言葉が使われている。令和の「令」の字は、「令息」「令嬢」「命令」などに使われていて、『論語』には「巧言令色、鮮(すくな)し仁」という言葉もあり、それ自体が悪い意味ではないとしても、少し冷たい印象を持つのだが、さてどんな時代となるのだろうか。

新紙幣発行は高額紙幣廃止のチャンスを逸する

さて、新元号に続いて、2024年度から使われるという新しい紙幣が発表された。20年ぶりのデザイン更新となる。新札の顔となった、多くの企業をつくった渋沢栄一、女性の学びを推進した津田梅子、医学に功績のあった北里柴三郎の人選は大いによいと思う。政治家ではない点が大変結構だ。


この連載は競馬をこよなく愛するエコノミスト3人による持ち回り連載です(最終ページには競馬の予想が載っています)。記事の一覧はこちら

しかし、偽札を防止するために、紙幣のデザインは時々更新が必要なのだろうが、キャッシュレス決済を推進しようとするときに新札が発表されるタイミングは何となく間が悪い。加えて、今回、1万円札を廃止しなかったことは大変残念だ。絶好のチャンスを逃したのではないか。

紙幣には、(1)発行・ATM・レジ締め作業などの各種のコストがかかること、(2)不正に利用されやすいこと、(3)不衛生であること、の主に3つの難点がある。加えて、現在のゼロ金利の環境下、いわゆるタンス預金が増えていて、お金の流通が滞っている。

1万円札を廃止すると、キャッシュレス決済が増えて、消費者にあっては高額紙幣を取り崩すことに対する心理的抵抗感が減るし、何よりもタンス預金の形で退蔵されていた資金が銀行口座に入ったり、経済取引に使われたりするようになる。経済にはプラス効果が大きいだろう。もちろん、脱税や不正な取引がやりにくくなることも好ましい。

キャッシュレス決済の普及は個人に関する大量のデータを生むので、新しいビジネスを後押しする効果があるはずだ。個人の取引のデータがビジネスに徹底的に利用されることには弊害もあるが、今後の技術進歩への効果を考えると、やはりキャッシュレス決済を推進することが正解だろう。

クレジットカードを持つことができない経済的弱者や、デジタル化になじめない高齢者などに配慮したのかもしれないが、「現金の使用を減らそう」という方向性を明確に打ち出すとよかったのではないか。1万円札の廃止とともに、日本銀行がデジタル通貨を発行することを発表するとよかったのではないか。このたびは、惜しいチャンスを逃したように思う。

「令和」のプラス・サプライズは消費増税再延期

「平成最後の」経済状況は、残念ながら明るくない。日銀短観も悪化してきたし、景気先行指数、同一致指数もともに下落トレンドにあり、機械受注(2月は前年比マイナス5.5%)、首都圏マンション契約率などを見ても、政府が言うような「ゆるやかな拡大」というような和やかな状況ではない。何よりも現金給与総額(全産業、2月)が前年比マイナス0.8%と、勤労者の収入が伸びていない点が重苦しい。

前回の本連載のぐっちーさんの記事によると、景気は消費税次第とのことだが、筆者もこの点に同意するし、とても消費税を上げていい環境ではないと判断する。予定通りに消費税率を引き上げると、消費者は急激に支出を絞り込むのではないだろうか。

筆者は、先日ある女性誌で「消費税増税対策」の取材を受けた。筆者を含めて4人が提起した消費増税対策は、「格安スマホへの乗り換えによる通信費削減」「不要な生命保険の解約」「電気・ガスの料金比較による節約」「スマホ決済の利用によるポイント獲得」とさまざまだったが、こうした企画自体が消費者の節約志向を強く意識したものだ。

ちなみに、世論調査では約6割の人が「食費」を節約対象に挙げているとのことだが、食費の節約はお勧めしない。

節約で大切なのは、確実であること、ストレスが小さいこと、悪影響が小さいこと、の3点だが、食費の節約はストレスになりやすいうえに、効果が不確実だし、栄養・味覚・満足度などに悪影響が及ぶ。一度決めると安定した効果が得られやすい「固定費」から見直すのが常道だ。

期待して裏切られた場合が悲惨であるかもしれないのだが、消費税の増税は再延期される可能性が大いにあるのではないか。

世界景気の減速が意識されて、アメリカの金融政策が引き締めから緩和方向に切り替わりつつある中で、日本が景気にブレーキをかける消費増税を行うのは政策協調上不調和だし、相当の円高・株安・景気の悪化に見舞われることになるだろう。

選挙のたびに消費増税延期を使うことの是非はさておき、消費増税自体は延期するほうがいいし、延期の確率が高まりつつあるのではないだろうか。

政治的にも、与野党対決となった北海道知事選挙で与党側が大勝するなど野党が弱体化しているタイミングであり、「消費増税延期、衆院解散、衆参同日選挙」というシナリオは十分ありうる。

消費増税が延期ないし凍結された場合、株価は急上昇することが予想される。前述のように、これを期待して裏切られるとかなり悲惨なのだが、投資家は「少し」期待してもいいのではないか。長期的な資産形成を目指す向きは、今、株式を売らないほうがいい。

なお予定どおり増税が行われた場合、景気は悪化し、株価も不動産価格もかなり下落することになるだろう。この場合には、久しぶりに絶好の買い場が到来することになるので、追加で投資できる資金の算段をしておこう(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が、週末の人気レースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。

今週末は、春の3歳馬クラシック第2弾の皐月賞が行われる。テレビ中継のアナウンサーは「平成最後の皐月賞」と言うのだろうか。皐月賞とダービーで元号が分かれることを思うと、改めて「元号」というものは不便だと思わざるを得ない。

皐月賞の本命は人気でもサートゥルナーリア

本命は、人気になるだろうがサートゥルナーリア(6枠12番、馬名は公現祭での行事の基礎ともなった古代ローマの祭り、母の名前からの連想)だ。過去3戦がいずれも楽勝であり、競馬が上手で安定感がある。

サートゥルナーリア陣営が、ミルコ・デムーロ騎手からクリストフ・ルメール騎手に騎手を交代させたのは、日本ダービー(5月26日、東京競馬場)を見据えたものだろう。

がむしゃらに勝ちにいくデムーロではなく、次戦への余裕も冷静に計算できる点でルメールのほうが安心だ。この点、皐月賞で目いっぱいに勝負しない可能性があって、わずかな隙を感じないでもないが、他馬とは性能に格段の差がある。

対抗は先行馬には絶好の1枠1番を引いたアドマイヤマーズだ。ダイワメジャー産駒なので、ダービーよりも皐月賞が勝負だろう。

単穴にニシノデイジー(4枠8番)を採る。アドマイヤマーズとサートゥルナーリアが抜け出して叩き合う展開に追い込んでくるイメージに最も合うのがこの馬だ。

以下、ダノンキングリー(2枠4番)、シュヴァルツリーゼ(5枠10番)、ヴェロックス(4枠7番)を押さえる。

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