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夫の異変は突然に:妊娠中の妻が知った、夫の無謀な計画。失望した女の決断とは

美男美女カップル、ハイスペ夫、港区のタワマン。

上には上がいるものの、周囲が羨むものを手に入れ、仕事も結婚生活も絶好調だったあずさ・30歳。

まさに順風満帆な人生を謳歌するあずさは、この幸せが永遠に続くものと信じていた。

…ところが、夫の非常事態で人生は一変、窮地に立たされる。

幸せな夫婦に、ある日突然訪れた危機。

それは決して、他人事ではないのかもしれない。もしもあなただったら、このピンチをどう乗り越える…?

うつ状態で休職中の夫・雄太と不安を感じながらも穏やかに過ごしていたあずさ。そんな矢先に、妊娠していることが発覚し…。




“今日は話しておきたいことがあるの”

雄太にLINEでそう宣言したあずさは、『千疋屋総本店 KITTE丸の内店』に立ち寄り、夕飯前の時間帯にも関わらずミルフィーユをオーダーした。

-好きなものでも食べて、気合いを入れなくちゃ。

実はまだ、妊娠した事実を雄太に言えずにいるのだ。

「妊娠してますね」

妊娠検査薬で陽性反応が出たあずさが、事実を確かめるためひとり産婦人科を受診すると、6週目に入ったところだった。

医師から紛れもない妊娠の事実を告げられたのが、4日前。報告しなくちゃと分かっているのになかなか心の準備が出来ず、すでに3日が経過している。

−よし。そろそろ帰ろう。

帰る支度をしながらルイボスティーを飲み干したところで、あずさのスマホの画面にメッセージが届いた。

“了解。俺もあずさに話しておきたいことがあるから”

あずさの心臓がドクンと音を立てる。

−え!?なに…!?

雄太から話があるなんて全く予想していなかった。

なんとなく嫌な予感がする。先制パンチを食らったような衝撃で、思わずよろけそうになった。

どんな話をされるのか見当もつかず、あずさは重い足取りで家に向かった。


ついに雄太に妊娠を伝えるあずさ。すると、雄太からもまさかの報告が…?


夫と妻、それぞれの報告


「ねえ、ゆうちゃんの話ってなに?」

あずさは家に帰るなり、コートも脱がずにすかさず切り出した。しかし雄太は、あずさの焦りに気づく素振りもなく、食卓にせっせと料理を並べている。

「おかえり。今日は肉じゃがに挑戦してみたんだ〜」

「あ、ありがとう…」

一刻も早く話を聞いてしまいたい。そう思っていたのに、雄太はあずさの問いには答えず、呑気な反応だ。

「いいじゃん、食事終わってからで。着替えておいでよ。お腹すいたでしょ?」

正直言えばミルフィーユのおかげでお腹は全く空いていないし、気分は食事どころではない。

雄太に促されるがままに食卓につき、夕飯が終わるのを待つことにした。夫が作った料理を黙々と口に運ぶが、気が気ではなく、せっかくの肉じゃがも味がほとんどわからなかった。




「それで…ゆうちゃんの話ってなに?」

夕食後、雄太が食器の片付けを終えたタイミングを見計らい、改めて切り出した。

「俺は後でいいから。あずさ、何か話があるんでしょ?」

普段の雄太なら言いたいことをさっさと言うし、変に気を使ったり譲ったりすることはしないはずだ。やはり彼の話というのは、何か言いにくいことなのだろうか。

そんなことを考えていると、雄太はもう一度尋ねた。

「ねえ、あずさの話って、何?」

今言わなくては、この先も言えなくなってしまう気もする。あずさは雄太の目をじっと見据え、意を決して口を開いた。

「…私、妊娠したの」

雄太にとっても想定外の報告だったのだろう。先ほどまでの朗らかな表情とは打って変わり、焦りと驚きをあらわにした。

「に、妊娠!?」

「そう。この前一人で病院に行って確かめてきた」

あずさは祈るような気持ちで、じっと雄太の反応を待つ。

彼だったらきっと喜んでくれる気もするが、現在の雄太は、自分の不調で精一杯のはずだ。今はそれどころじゃないと言って、困惑するかもしれない。

すると雄太は、あずさの手を突然ぎゅっと握りしめてきた。驚いて顔を見ると、目を真っ赤にして涙を堪えているようだった。

「あずさ、嬉しいよ。ありがとう。これからはあずさと子どもを支えられるようにする」

−ゆうちゃん…。良かった…。

どんな反応をされるか、不安で不安で仕方なかったのだ。あずさの心にじんわりと雄太の言葉が染み、不安と緊張から解放されてホッと胸をなでおろした。

まさに、夫婦が手を取り合って再起を誓う、そんな感動のシーンになるはずだった。

が、しかし。続いて雄太の口からは、衝撃的なことが飛び出したのだ。

「あのさ、俺、会社辞めようと思う」


妊娠を喜び合ったのもつかの間、まさかの「会社辞める」宣言。夫の真意とは…?


攻める夫、守る妻


「な、何言ってるの?」

雄太の言葉こそ、あずさにとっては想定外だ。思わず大きな声を出してしまった。

「あずさ、落ち着いて。何も働かないって言ってるわけじゃないんだ。俺、会社には復帰しないで転職しようと思う」

−辞める?転職する?何を言ってるの…?

あずさは高ぶる感情を抑えられず、雄太に詰め寄った。

「ちょっと待ってよ。私と赤ちゃんはどうなっちゃうの!?」

「だから、これからはあずさと子どもを支えるって言っただろ?そのためにも転職するんだよ」

そうじゃない。妊娠が発覚した今、あずさが求めるものは安定だ。

今の雄太には、休職が終わった後に戻れる会社がある。それなのに今ここで辞めて転職だなんてー。

いくら華麗な学歴と職歴があったとしても、彼の現在の状態や、病気で休職している状況を考えると、転職活動が容易だとは到底思えない。

もしうまくいかなければ、雄太はおろか、あずさも子どもも露頭に迷うことになってしまうではないか。

たとえ部署が変わったり、多少収入が減ったとしても、雄太には今の会社に復帰してもらいたい。

外資系企業というと厳しいイメージがあるが、彼の会社では、バックオフィスでリハビリ的に働いている人間も一定数いる。そんな話を、昔雄太から聞いたことがあった。もちろん当時の雄太は、自分がそんな立場になる日がくるとは想像もしていなかったと思うが。

今は、その一人になってでも、とりあえず会社に戻るべきだ。

「ゆうちゃん、転職は考え直して欲しい。子どものこと考えたらそうでしょう?」

「俺は、最前線で働けなくなるならあの会社にはいたくない。お荷物社員になるなんて、そんなの惨めだ」

雄太も自分の主張を通そうと、力の限り声を張り上げる。

だけどここは、夫として、父として腹をくくってもらう必要がある。ぶらさがり社員でもお荷物社員でも、周りから何と言われようと、今の会社を離れてもらっては困るのだ。

−家族の安定を守らなければ。

そう思ったあずさは、負けじと大きな声で言い返し、気がつけば二人で話しているとは思えないほどのボリュームになっていた。

「今の状態じゃ転職なんて出来るか分かんないじゃない!とりあえず復帰して落ち着いてから考えるとか…。何も今じゃなくていいでしょ?」

「俺の学歴と経歴なら…」

あずさは雄太を遮り、真っ向から否定する。

「だから、今の状態じゃ転職なんて出来るわけないじゃない。出来たとしても、満足な結果なんて得られないよ。転職って、そんな簡単なものじゃないんだから…」

しかしその時、雄太はこう叫んだのだ。

「事務職のお前と一緒にしないでくれ!」

−…今、なんて!?

聞き捨てならない言葉に、一瞬にして、怒りと嫌悪感があずさの身体中を駆け巡った。

雄太は、自分を蔑んでいるのだ。ここ最近のサポートへの感謝の気持ちもなく、結局は自分のプライドばかり気にしている。あずさはそんな夫に、心の底から失望した。

−もうだめかも…。

途端に、先ほどまでのほとばしるような感情がすぅーっと引いていくのを感じた。そして自分でも驚くほど冷静に、雄太の目をしっかりと見つめ、こう告げたのだった。

「私、実家に帰ります」

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ついに別居を始めた雄太とあずさ。決別した夫婦が出した結論とは?

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