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花形だったフジの月9が失墜した本当の理由「男女関係の絶望」とは

『家なき子』で主人公を好演した幼少の安達祐実

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「平成の前半に当たる'90年代、ドラマといえばフジテレビ、もしくは月9と言われてきました」

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かつての主人公は「お金をかけながら恋愛していた」

 そう話すのは、元テレビプロデューサーで上智大学の碓井広義教授。当時は『101回目のプロポーズ』『東京ラブストーリー』(ともに'91年)など、タイトルどおりの恋愛ドラマが花盛り。同志社女子大学メディア創造学科の影山貴彦教授は、

「まだバブルの時代。ヒロインは20歳そこそこのOLなのに、都心部の高級マンションに住み、華やかな生活を送っていた。今の時代なら違和感、嫌悪感を持たれるはずですが、当時はみんなが憧れの眼差しで見ていました」

 と指摘。人々がシンプルなものをストレートに享受していたと話す。

「あのころのドラマの主人公は“いつ仕事してるの?”というくらい、恋愛に時間とエネルギーを注いでいました。ドラマ内外の誰もが心や懐に余裕があって、見栄を張ったり、背伸びをしたり。お金をかけながら恋愛をしていました。それができた時代でしたね」(碓井教授、以下同)

 しかし、'91年にバブルがはじけ景気は急降下、日本経済は暗転する。

「ただ、一般の人の生活に影響が出るまでにはタイムラグがあった。不況がドラマにわかりやすく表れるようになった作品といえば『家なき子』('94年、日テレ土9)でしょう」

 小学生だった安達祐実が叫ぶ“同情するなら金をくれ”は、流行語に。

「『ひとつ屋根の下』('93年、フジ月9)にしろ『人間・失格〜たとえばぼくが死んだら』('94年、TBS金10)にしろ、苦みがあって、ゲラゲラ笑って見られるような作品ではない。恋愛ドラマも『愛していると言ってくれ』('95年、TBS金10)『星の金貨』('95年、日テレ水10)など、明るく元気な恋愛ではありません」

常識や概念が変わっていった

 ヒット作には、フジテレビの月9だけでなく、TBSや日本テレビが違う角度からアプローチした作品も混ざるように。主要ドラマはほぼ視聴しているというライターの吉田潮さんは、こう分析する。

「平成前期のテーマは“男女関係の絶望”じゃないですか? 恋人や夫婦間のもろさ、結婚したからといって必ずしも幸せにならないというメッセージ性のある作品が目立ちます。不倫ブームの火つけ役は『失楽園』('97年、日テレ月10)。意欲作、問題作も多く'93年なんて『悪魔のKISS』(フジ水9)『高校教師』(TBS金10)『誰にも言えない』(TBS金10)『同窓会』(日テレ水10)。もう、カオスですよ(笑)」

 '95年には阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件という歴史的な出来事が相次いで発生。

「科学技術では抑えられない自然の脅威。人間がやるはずがないことを、実際にやったという恐ろしさ。常識や概念がひっくり返り、日本人の意識下をじわじわと変えていったんです」(碓井教授、以下同)

 だが、フジの月9は変わらず『ラブジェネレーション』('97)のような恋愛ドラマを量産し続ける。

「視聴者は明るい月9の恋愛ドラマを、もう『東京ラブストーリー』のころと同じ気持ちでは見られなくなっていたはず。実際、習慣や惰性で見ていたのでは? しかしフジは“まだ行ける”と突き進み、時代の空気とズレてしまった。そこが成功体験の怖さであり、フジのドラマが最盛期から下っていった背景だと思います」

《PROFILE》
影山貴彦教授 ◎同志社女子大学メディア創造学科教授。毎日放送のプロデューサーを経て、現職。専門はメディアエンターテインメント論

碓井広義教授 ◎上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。テレビマンユニオンに20年以上在籍。近著に倉本聰との共著『ドラマへの遺言』(新潮新書)

吉田潮さん ◎ライター、イラストレーター、テレビ批評家。主要番組はほぼ網羅している。『週刊女性PRIME』で『オンナアラート』を連載中

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