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二日酔いで犠牲になる能力と犠牲にならない能力とは?



by Michael Frank Franz

二日酔いになると明らかなパフォーマンスの低下を感じますが、実は二日酔いの影響を受けない能力も存在します。二日酔いになるとタスクのパフォーマンスにどのような悪影響が出るのか、バース大学のCraig Gunn氏とSally Adams氏が発表しています。

A systematic review of the next‐day effects of heavy alcohol consumption on cognitive performance - Gunn - 2018 - Addiction - Wiley Online Library

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/add.14404

The hidden costs of a hangover

https://theconversation.com/the-hidden-costs-of-a-hangover-102059

二日酔いがいかに生活に悪影響を及ぼすのかは、二日酔いを経験した人であれば簡単に理解できるはず。しかし、意外にもその影響は、人の予測とは違うものもあります。例えばテスト勉強についていうと、二日酔いの生徒としらふの生徒が受けた選択式のテストのパフォーマンスを比較したところ、両者の点数に有意な差は見られないことが判明しています。ただし、二日酔いの学生でも学習をした時点ではしらふだったわけで、この研究は情報の検索が二日酔いの影響を受けにくいという内容を示すにとどまっています。

一方で、「思い出すこと」ではなく「記憶すること」が二日酔いの影響を受けるかどうかを調べた研究もあります。二日酔いの最中の被験者に「情報の記憶」と「情報を思い出すこと」という2つのタスクを行ってもらったところ、「記憶する」というタスクの結果は散々だったとのこと。ここから言えるのは、既に学習内容を覚えている場合はテスト前日にお酒を飲みに出かけてもテスト結果への影響が小さいのですが、「学習すること」がメインになる重要な講義の前には飲みに出かけるのを控えた方がいいということです。



by Theo Crazzolara

また、二日酔いの症状の1つに「疲労」がありますが、疲労により集中力が損なわれる可能性も考えられています。集中力が重要になるタスクの1つが「車の運転」だということで、研究者が過去研究を調査したところ、調査対象となった19の論文のうち運転能力について言及している論文はわずか3つでした。このうち2つの研究には、二日酔いで運転能力が失われるとは書かれていなかったとのこと。しかし、残り1つの研究では、アルコールの影響下にある人と、二日酔いの人とで、運転能力が損なわれるレベルがどう違うのかが示されていました。

研究者によると、二日酔いの人の運転レベルは、血中アルコール濃度が0.05〜0.08%の人と同じとのこと。日本では血中アルコール濃度が0.03%で「酒気帯び運転」にあたり、これは大体ビール中びん1本を飲んだ時に相当します。つまり、二日酔いの時の精神運動スキルは法的に認められないレベルのものであるわけです。



by Vinicius Zeronian Mattoso

精神運動スキルは、手と目を同調させて動かすような「動き」に関する情報処理を含みます。この精神運動スキルについて調査を行った結果、二日酔いの人は、感覚刺激の提示から行動による反応が生じるまでの反応時間が遅くなることが判明。つまり、運転時であれば他の車に反応したり、車の向きを変えるタイミングが遅れることにつながります。

上記のように、脳の情報処理を行う基礎的な部分は二日酔いの影響を受けます。では意思決定や抑制、気分の統制といったより高次の思考プロセスは影響を受けるのかというと、残念ながらこの分野に関しては研究が十分にないそうです。この分野の研究が進めば二日酔いと職場で起こる問題との関係や、二日酔いとパフォーマンスの関係も明らかになるはず。イギリスでは二日酔いによる欠勤や生産性低下によって年間20億ポンド(約3兆円)が失われているといわれており、同分野の研究は強く求められるところとなっています。

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