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経済学的に見て「アベノミクス」はやっぱり失敗なこれだけの理由 <ゼロから始める経済学・第1回>

賃金指数と消費者物価指数の推移・(厚生労働省「毎月勤労統計調査」、総務省「消費者物価指数」から筆者作成)(賃金指数は、事業所規模5人以上〔全産業〕、現金給与総額のデータを用いた)

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 厚生労働省の「毎月勤労統計」の不正が発覚し、「アベノミクス」自体の評価が揺らいでいる。だがそもそも6年にわたって継続された「アベノミクス」とはどのような政策だったのか。成功しているといえるのか。

 埼玉大学の結城剛志准教授に、アベノミクスの成否について寄稿していただいた。

◆「アベノミクス」とは何か?

 今回のテーマはアベノミクスです。それも特にトリクルダウンと呼ばれる経済の考え方について説明します。こういったよく分からないカタカナ用語が出てきたときは要注意。うまく説明できないことを難しい言葉でごまかそうとしているかもしれないと疑ってかかった方がよいでしょう。

 2012年12月に発表されたアベノミクスももう6年が経ち、すっかり用語として定着しました。首相の名を冠した経済政策で日本経済を底上げすることができたのでしょうか。私たちの生活はよくなったのでしょうか。

 その前に。そもそも、アベノミクスってなんですか? この質問にビシッと答えられる方は意外にも多くありません。6年の間にすっかり私たちの生活になじんでしまって、意識することも少なくなってきているのかもしれませんね。意識しなくとも、空気のように流れていく政策でしたら、それは結構なことです。私たちの暮らしを、少なくとも意識のうえでは煩わすことがないのですから。でももしかすると、見るべきものを見ていないだけかもしれません。

 まずは、アベノミクスって「なに」ということから思い出してもらうことにしましょう。

◆アベノミクスが目指していたこと

 アベノミクスとは何か、といわれれば、「大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略」からなる経済政策のパッケージです。

 おっと、いきなり難しそうな四文字熟語が並んでいますね。金融政策と財政政策は、実は多くの方が高校で習っています。金融政策は、日本銀行が金融機関と国債を売買して、市場にお金を出し入れするものです。財政政策は、国が集めた税を使って、景気を刺激したり、所得を再分配したりするものです。成長戦略はなんでしょう。バズワードに近い、アベノミクスの殺し文句ですが、成長を阻害する規制をなくすことが主な内容です。

 2012年12月26日の、安倍氏が首相に就任したときの記者会見を見てみましょう。

「内閣の総力を挙げて、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略、この三本の矢で経済政策を力強く進めて結果を出してまいります。頑張った人が報われる日本経済、今日よりも明日の生活が良くなると実感できる日本経済を取り戻してまいります」

 これは同じ日に発表された閣議決定「基本方針」に沿う内容です。なかでも「大胆な金融政策」は、経済政策としてのアベノミクスの屋台骨を支えている点で重要なだけでなく、経済学の常識を覆す点でも「大胆な」ものでした。

 上の記者会見の1週間後に語られた安倍首相の言葉も読んでみましょう。

「日本にとって何より喫緊の課題は、デフレと円高からの脱却による経済の再生です。(中略)大胆な『金融政策』、機動的な『財政政策』、民間投資を喚起する『成長戦略』が経済再生の『三本の矢』です。頑張った人が報われ、今日よりも明日の生活が良くなると実感できる日本経済を取り戻すために、内閣の総力を挙げて、経済政策を強力に進めてまいります」(平成25年1月1日 安倍内閣総理大臣 平成25年 年頭所感)

 さらに、先の閣議決定には次のような文言があります。

「強い経済は、日本の国力の源泉である。強い経済の再生なくして、財政の再建も、日本の将来もない」

 まとめましょう。

 アベノミクスの目的は、「強い経済」を創り出すこと、それは「デフレと円高からの脱却による経済の再生」ともいいかえられています。そのための手段が「大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略」からなる経済政策のパッケージです。そして、これらの経済政策をやると「頑張った人が報われ、今日よりも明日の生活が良くなると実感できる日本経済」になる、というものです。
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