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「大臣になりたい! なりたい!」 “がっかりしている”発言の桜田大臣、歴代珍言を振り返る

 白血病と診断されたことを公表した競泳の池江璃花子選手について、桜田義孝五輪相が「がっかりしている」などと発言したことが大きな波紋を呼んだ。桜田氏は謝罪したが、その後、全文が公開されるとネットでは「切り取り」だとメディア批判が相次いだ。桜田氏の発言が妥当だったかどうか、桜田氏が五輪相として適格かどうかを考えてみたい。

【画像】衆議院予算委員会でオリンピック憲章を読む桜田義孝五輪担当相=2019年2月14日、国会内

桜田義孝 五輪相
「金メダル候補で、日本が本当に期待している選手なので、がっかりしている」
NHK NEWS WEB 2月12日


桜田義孝五輪相(左)と片山さつき地方創生相(右) ©時事通信社

 東京五輪でメダルの期待がかかっていた競泳の池江璃花子選手が白血病であることを公表したのが2月12日。その日の夜、NHK NEWS WEBが「白血病を公表 池江選手に励ましの声」と題した記事を配信した。記事には、スポーツ庁の鈴木大地長官、競泳の萩野公介選手らとともに桜田氏の次のようなコメントが掲載されていた。

「金メダル候補で、日本が本当に期待している選手なので、がっかりしている。早く治療に専念して頑張ってもらいたい。また、元気な姿を見たい。1人リードする選手がいると、みんなつられて全体が盛り上がるので、その盛り上がりが若干、下火にならないか心配している」

「一番言ってはいけない言葉」SNSで波紋

 池江選手の体調を案じるコメントが並ぶ中、桜田氏の「がっかりしている」「その盛り上がりが若干、下火にならないか心配している」という言葉は強烈なインパクトがある。ツイッターなどのSNSでは「一番言ってはいけない言葉」「選手はメダルを取るための駒ではない」などの批判の声が相次いだ。

 国民民主党の玉木雄一郎代表は13日、「閣僚がかける言葉か。安倍政権の体質を典型的に表している。罷免を求めたい」とコメント。立憲民主党の枝野幸男代表も「大変な病気でお嬢さんが苦悩しているのに寄り添えない。この6年余りの政治の象徴ではないか」と批判した。野党だけでなく、公明党の石田祝稔政調会長も「がっかりしているのは(池江選手)本人だ」と述べた(産経ニュース 2月13日)。

桜田義孝 五輪相
「突然の話にショックを受け、率直に残念と発言した。発言は配慮を欠いた。謝罪し、撤回する」
日刊スポーツ 2月13日

 13日の衆議院予算委員会では、自らの母も白血病と闘っていた経験のある立憲民主党会派の寺田学衆院議員から「あなたが今できる責任のとり方は、辞任以外ない」と詰め寄られたが、桜田氏は発言を撤回したのみで辞任は拒否。「治療を最優先で頑張ってほしい」と付け加えた。持参したメモを読み上げながら答弁すると、寺田氏から「紙なんか見ないで答えてくださいよ」と指摘された。

 桜田氏はかつて「答弁書を間違いのないように読むことが最大の仕事」と述べたことがある。「自分の言葉で答えてほしい」と野党議員に批判されると、「正確に答弁しようということだ。感情に任せて答えることはしない」と応えた(東京新聞 2018年11月23日)。今回の答弁にも桜田氏の感情は入っていないということなのだろうか?

ネットでは「切り取り」かどうか、論争が勃発

菅義偉 官房長官
「今回のことを深く反省し、配慮に欠けたということをしっかり胸に刻んで職責を果たしてほしい」
産経ニュース 2月13日

 野党からは桜田氏の罷免を要求する声が上がったが、安倍晋三首相らは退けた。菅官房長官も桜田五輪相の発言が「配慮に欠けた」と認めてはいるが、言いたいことは文章の後半の「職責を果たしてほしい」という部分のみだろう。

桜田義孝 五輪相
「びっくりした。病気のことなので、早く治療に専念していただいて、一日も早く元気な姿になって戻ってもらいたいというのが、私の率直な気持ちだ」
日テレNEWS24 2月13日

 桜田氏への批判一辺倒だったネットの風向きが変わるのが13日の夜のこと。日テレNEWS24が桜田氏と記者の問答を全文公開した。続いて14日には産経ニュースが「『がっかり』だけではなかった 桜田五輪相発言」と題して同様の問答を掲載した。

「全文公開」によると、桜田氏はまず最初に上記のように発言、その後、記者の質問に答える形で「本当にがっかりしている」「盛り上がりが若干、下火にならないか、ちょっと心配している」などの発言が続く。

全文公開後も賛否両論

 これに対してジャーナリストの佐々木俊尚氏はツイッターで「全文だと印象はかなり違う」と桜田氏を擁護(2月14日)。堀江貴文氏は同記事へのリンクにコメントする形で「マジでマスコミくそ」とマスコミ批判を行った(2月14日)。

 一方、作家の百田尚樹氏はツイッターで「全文読んで、ひどいコメントとあらためて思ったね」「命を失うかもしれない女の子を前にして、五輪やメダルへの落胆を言葉にする感覚が許せない」などと桜田氏への怒りを表明。「切り取り」だとメディア批判するフォロワーも「全文読んだら、『がっかり』なんて言葉がないのか! 『盛り下がらないか心配』なんて、言葉がないのか!」と切って捨てた(いずれも2月13日)。

 筆者個人としては、全文を読んでも印象はそう変わらないし、まともなことも言っているから失言が許されるとは思わない。だが、印象とは主観のものなので人それぞれだろう。「印象が変わった」という人が現れてもおかしくはない。しかし、それと大臣の適性は別の問題である。桜田氏はこれまでにも何度も失言や言い間違い、担当事案についての知識不足を露呈している。

五輪関係の質問で露呈する知識不足

桜田義孝 五輪相
「話には聞いているが、自分では読んでいない」
朝日新聞デジタル 2月13日

 13日の衆議院予算委員会で、国際オリンピック委員会(IOC)に採択された基本原則「五輪憲章」への理解を問われた際の桜田氏の回答。なんと、五輪相が五輪憲章を読んでいなかったのだ。詳しい内容だけでなく、憲章に書かれている五輪の目的についても理解していなかった。

 桜田氏は昨年11月、参議院予算委員会で立憲民主党の蓮舫氏から東京五輪の三つの基本コンセプトや大会ビジョンを問われて一つも答えることができず、「事前通告がなかった」と野党に責任転嫁したが、後に事前通告はあったことが判明して謝罪している。桜田氏は東京五輪のことも五輪そのもののことも何も知らないというのだろうか?

安倍首相は「五輪招致に尽力した」と擁護したが……

桜田義孝 五輪相
「私が望んでもできない場合もある。私を任命する人の判断による」
毎日新聞 2月14日

 14日の衆議院予算委員会で、東京五輪の開催時まで担当相を続けるかを問われた桜田氏は、任命した安倍首相次第だと話した。桜田氏は五輪相に選ばれた理由を問われたときも「なぜ選ばれたか私にはわからない」とした上で「総理が適材適所と思って選んだ。その選んでいただいた人に、立派に任務を果たすように、しっかり取り組んでいる」と話していた(朝日新聞デジタル 2018年11月11日)。国民のためではなく、すべては安倍首相のために、というのが桜田氏のスタンスなのか?

安倍晋三 首相
「桜田大臣においてはですね…文部科学副大臣としてオリンピック招致に大変、ご尽力した一人。オリンピック担当大臣には適任」
テレ朝news 2月14日

 13日に行われた衆議院予算委員会での安倍首相の発言。しかし、桜田氏が文部科学副大臣に就任したのは2013年9月のこと。IOC総会で東京五輪の開催が決定したのは2013年9月7日(日本時間8日)のことだ。少なくとも桜田氏が文部科学副大臣としてオリンピック招致に尽力したことはない。今年1月、フランス当局が五輪招致疑惑についてJOCの竹田恒和会長の本格捜査に乗り出したときは、「(日本の)イメージとしてよくない。非常に残念だというのが率直なところだ」と他人事のようなコメントを出していた(朝日新聞デジタル 1月15日)。

 それでは一体、安倍首相は何をもって桜田氏が「適任」だと考えているのだろう?

自民議員「失言は昔から常態化、本人は全く気にしていない」

桜田義孝 五輪相
「大臣になりたい! なりたい!」
『週刊文春』2018年11月29日号

 サイバーセキュリティ戦略担当大臣を兼務しながら、昨年「自分でパソコンを打つことはない」と言ってのけて大騒動になった桜田氏。『週刊文春』は自民党中堅議員の声として、「『鈍感力』抜群で憎めないキャラ。大物政治評論家が月一回開く朝食会に必ず出席して愛想を振りまくマメな面もある。失言は昔から常態化しており、本人は全く気にしていない」という言葉を紹介し、「一流の政界すり寄り術」と見出しを打っている。

 桜田氏は日本会議国会議員懇談会の副幹事長を務め、神道政治連盟国会議員懇談会、みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会、国際観光産業振興議員連盟(カジノ議連)、パチンコチェーンストア協会などに名を連ねる。これらは桜田氏の主義主張であると同時に、彼の「政界すり寄り術」なのかもしれない。

 文部科学副大臣だった2013年には「(放射能汚染されたごみの焼却灰は)原発事故で人の住めなくなった福島の東電の施設に置けばいい」と発言して批判を浴びた(産経ニュース 2013年10月7日)。「復興五輪」の五輪担当相とは思えない発言だ。2016年には「(従軍慰安婦は)職業としての売春婦だった。犠牲者だったかのような宣伝工作に惑わされ過ぎだ」と言い放って与野党の批判を集めた(日本経済新聞 2016年1月14日)。

朝日新聞と産経新聞の意見が珍しく一致

 組閣前に記者の前で「大臣になりたい! 大臣になりたい!」と連呼して周囲を呆れさせたという桜田氏だが、どうやら弱い立場の人に寄り添う気持ちがまったくなく、出世欲ばかり強いようだ。

 朝日新聞は社説で「かねて閣僚としての資質が疑われてきた桜田氏だが、その任に堪えないことが改めて明白になった」と記したが(2月14日)、産経新聞の社説も「五輪そのものに理解を欠く担当相を、適格とはいえまい」と厳しく批判している(2018年11月11日)。両紙の社説の内容がこれほど一致することも珍しい。日本は本当に桜田氏をこのままにして五輪本番を迎えるつもりなのだろうか?

(大山 くまお)

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