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日本代表が断ち切るべき負の歴史。打倒サウジ…決勝Tで「本当のアジアカップ」開幕

日本代表は1試合通してのポジティブなプレー内容、そして確実な勝利が必要だ【写真:Getty Images】

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次なる相手はサウジアラビア。警戒すべきは…

 AFCアジアカップ2019はグループリーグの全日程が終了し、16ヶ国による決勝トーナメントに突入する。日本代表はこれまで負けたら終わりの戦いに突入するたび、出だしで苦戦してきた。強豪ひしめくトーナメントを勝ち上がるために、今こそサムライブルーの負の歴史を断ち切る時だ。(取材・文:元川悦子【UAE】)

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 AFCアジアカップ2019もベスト16が出揃い、20日から決勝トーナメントに突入する。日本は21日にラウンド16を迎えるが、その相手は宿敵・サウジアラビア。ロシアワールドカップ出場国であり、2017年9月の敵地ジェッダでの前回対戦時は0-1の黒星を喫している。

「お互いに監督もチームも変わっていると思うので、前回の試合を比較材料にするのはちょっと難しいかなと。特に僕らはオーストラリアとの試合で(ロシアワールドカップの)予選突破を決めていて、移動や気候の環境の変化もあって、短い時間でアジャストしなければいけないなど、いろいろな材料があったから」とその試合に出ていた吉田麻也はあくまで敗戦が過去の話であることを強調した。

 とはいえ、相手の1トップを務めているのは、その試合で決勝点を挙げたファハド・アル・ムワラッド。今大会のサウジアラビアは4-1-4-1をベースにしているが、彼を筆頭にアタッカー陣のスピードはやはり脅威だ。

「サウジアラビアは組織的にしっかりしているし、前線にスピードのある選手がたくさんいて、裏へ飛び出しが彼らの1つのポイントになる。(17日の)カタール戦でも裏に抜けるタイプの選手がいてスピードで勝負してくるというのが見られたので、そこは警戒しないといけないと思います」とキャプテンも速さ封じが勝利の鍵になるという見方を示した。

 それはボランチの遠藤航も語っていること。「次から一発勝負なので、できるだけ先制点は与えたくない。サウジアラビアの前線は1人ひとりの能力が高いというか、技術のある選手が揃っているとは思うので、リスクマネジメントをしっかりする必要がある。ワイドの選手が結構、中に入ってくるという分析なので、相手が人数をかけてきた時にはボランチがどう守っていくかが大事かなと思います」と中盤を軸にチーム全体で強固な守備組織を構築することが準々決勝進出に向けたテーマになると分析していた。

試合開始直後に潜む悪魔

 しかしながら、アジアカップの決勝トーナメント1回戦というのは、日本にとっての鬼門。過去に王者の座をつかんだ1992年の広島大会、2000年のレバノン大会、2004年の中国大会、2011年のカタール大会の4度とも相手に先制され苦戦を強いられているからだ。

 1992年は準決勝の中国戦がそれに該当する。開始早々の1分に失点し、前半を0-1で折り返すことになった。後半に入って福田正博、北澤豪らの得点によって3-2で逆転勝利したものの、決して楽な戦いではなかった。

 出場国数が16ヶ国に拡大した2000年は準々決勝のイラク戦が決勝トーナメントの1戦目。やはり開始4分にゴールを許し、序盤からビハインドを背負った状態での戦いを強いられている。最終的には名波浩の2発などで4-1と突き放したが、スタートダッシュに失敗したのは間違いない。

 2004年の準々決勝・ヨルダン戦はアジアカップ史上最も苦労した一戦と言っても過言ではない。11分に1点を失って、3分後に鈴木隆行が同点弾を叩き出したものの、そのまま90分が終了。延長戦でも決着がつかず、PK戦へともつれ込んだ。そのPK戦で中村俊輔と三都主アレサンドロが立て続けに失敗。

 崖っぷちに立たされたところでキャプテンの宮本恒靖が主審に「ピッチが荒れている」と抗議。サイドを変えさせたことでガラリと流れが変わった。そして守護神・川口能活が2本のセーブを見せるなどヨルダンを4人連続ミスへと追い込み、ミラクルな形で勝利を収めている。

 2011年も準々決勝のカタール戦は同大会屈指の死闘だった。やはりこの試合も開始12分に失点。香川真司の同点弾で前半を1-1で折り返したものの、後半に入って再びリードを許した。そこで香川が2点目を奪い、最後の最後に伊野波雅彦が決勝点をゲット。辛くも3-2で逃げ切っている。

「1つのミスが命取り」の戦いを勝ち抜くために

 この4度の死闘に共通するのは「前半の早い時間帯での失点」だ。さらに言えば、ベスト8でまさかの敗退を強いられた1996年UAE大会の準々決勝・クウェート戦の1失点目も17分、2015年のオーストラリア大会も準々決勝・UAE戦のアリ・マブフートのゴールが開始7分に生まれるという有様だ。

 この悪癖を克服することこそ、今回の森保一監督率いる日本代表の最重要課題。吉田も「次から本当のアジアカップが始まる」と語気を強めていたが、負の歴史を教訓に、チーム全体で緊張感と集中力を共有して試合に入っていく必要がある。

 大一番2日前の19日昼、決戦の地・シャルジャで行われた練習では、右でん部負傷で別メニュー調整が続いていた大迫勇也がスパイクを履いてピッチに登場した。だが、全体練習には合流せず、サウジアラビア戦出場は厳しくなった。

 となれば、前線は武藤嘉紀を軸とした構成になるだろう。武藤は17日のウズベキスタン戦で日本代表では3年3ヶ月ぶりのゴールを挙げ、ようやく迷いが吹っ切れた様子。とはいえ南野拓実や堂安律ら若手アタッカー陣との連係構築は不十分なままだ。前線のコンビネーションが噛み合わないことも想定されるだけに、ディフェンス陣はより強固な守備組織を築き上げる必要がある。

「一発勝負なので、1つのミスが命取りになる。グループリーグはミスを途中でカバーできる可能性があるけれど、次からはそれはない」と吉田は自分たちの心がけるべき点を再認識していた。

 ウズベキスタン戦の失点シーンに象徴される通り、日本は最終ラインの背後に走られると脆さを露呈する。そこがサウジアラビアの強みでもある以上、これまでと同じ轍を踏んではいけない。センターバックコンビが吉田と冨安健洋なのか、槙野智章が割って入ってくるのかは未知数だが、とにかく最終ラインとGKは確実に無失点を目指していかなければならない。

「決勝トーナメント初戦の立ち上がりに集中が切れる」という日本の負の歴史にピリオドを打って勝ち進むために、1試合通してのポジティブなプレー内容、そして確実な勝利が必要だ。

(取材・文:元川悦子【UAE】)

text by 元川悦子

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