戻る


竹下通り暴走男、転機は“父の死”と“進学の挫折”? 近年増加する無差別殺傷事件

中学生時代の日下部和博容疑者

写真拡大

原宿竹下通り暴走「元旦テロリスト」に化けたイカレ男の履歴書(2/2)

 年明け早々に原宿・竹下通りで起きた“暴走テロ”事件。8人に重軽傷を負わせた日下部和博容疑者(21)については、かねてから奇行が目撃されていた。ここ1年ほど祖父と2人暮らしをしていた大阪府寝屋川市の家の近隣住人は、昼夜問わず奇声が聞こえてきたと証言。枚方市の実家では、近所の子供に“マシンガンのようなもの”を向ける騒ぎを起こしていた。奇行に走るようになった背景には、父親の死と進学の挫折という、転機になったと思しき出来事があるのだ。

 ***

 日下部容疑者は寝屋川市の隣にある枚方市の公立小、中学校を経て府立高校に進んだ。

「彼は子供の頃は地元のサッカークラブに入っていて、大人しくて物静かなタイプでしたが、変な子だという印象はない。昔はあんなに太っていなかったし、僕が知っていた頃の彼は、今回のような事件を起こすような奴ではなかった」

中学生時代の日下部和博容疑者

 と、知人は語る。

「大学受験に失敗して、東京にある予備校のような学校に進んだと聞いています。そこは大学への3年次編入を目指す学校だったのですが、彼はうまく編入できずにその学校を辞め、こっちに戻ってきてお祖母ちゃんの家で暮らすようになったそうです」

 不動産会社を経営していた父親が死亡したのは5年前のこと。

「精神を患った上で亡くなったようで、彼がおかしくなった原因もそこにあるのかもしれない」(別の知人)

 父親の死からほどなくすると、日下部容疑者が育った枚方市の自宅に母親のパートナーと思しき男性が出入りするのが目撃されるようになった。東京での進学を諦めた彼がそちらではなく、寝屋川の祖母の家で暮らしていた背景には、そうした事情があったのだろう。

 祖母の家で周囲にトラブルをまき散らしながら生活していた日下部容疑者が運転免許を取得したのは、昨年12月上旬。12月28日に大阪府内のレンタカー店で軽乗用車を予約。31日朝に寝屋川を出発して東名高速に乗り、昼過ぎには明治神宮付近に到着していた。

措置入院が必要なレベル

 車で人ごみの中に突入し、無差別に人を傷つける――。同様の事件で人々が真っ先に頭に浮かべるのは、2008年に起こった、加藤智大による「秋葉原無差別殺傷事件」であろう。

「平成に入った頃から、個が重んじられる時代になり、それに伴って“自分はもっと幸せになれるはずだ”と鬱憤をため込み、ネットをその発散の場とする人が増えた。加藤智大の事件は、そうした欲求不満を抱える人たちに“こんなやり方があったのか!”と衝撃を与えるものでした」(評論家の唐沢俊一氏)

 実際、自らの境遇や人生に不満を抱く犯人が公共の場で無差別に人を殺傷する事件は最近、毎年のように起こっている。昨年6月、東海道新幹線の車内で複数の乗客が無職の男にナタで襲われ、1人が命を落とした事件は記憶に新しい。

「個を大事にする教育が進むと、ある面では、他者への理解力が育たないままになってしまう。また、おかしな行動をとる人間がいても、“個人の自由”の範囲内ならば周囲は手を出すことが出来ない。こうした問題に向き合うには、まず自由や人権の意味を今一度考え直す必要がある」(同)

 精神科医の片田珠美氏は、

「今回の容疑者は統合失調症を発病していた可能性があります。統合失調症は、幻覚や妄想などの病的体験が出現して、興奮した時には攻撃的になることもある。また、被害妄想があると、自分がやられるという恐怖や不安が非常に強く、自分を守るためにやり返さなければならないという論理が働いて自分の行動を正当化するのです」

 そう分析するが、精神障害者の移送サービスを手掛けるトキワ精神保健事務所の押川剛氏も、

「今回の日下部容疑者については、明らかに何かしらの治療が必要であると感じます。その症状は、患者を強制的に入院させる措置入院が必要なレベルに達していたかもしれません」

 とした上で、こう語る。

「明らかにおかしな行動をとる人間が周囲にいた場合、近隣住民はまず警察に通報すべきです。大切なのは、そうした異常行動を録画したりして証拠を揃え、警察に提示すること。そうすれば警察がその家を訪問し、保健所に繋ぐなど、対応をしてくれるはずです。一人でやるのが怖いなら、近隣のまとまった人数で団結して訴えると良いでしょう」

 もっとも、集団でやるにしても逆恨みなどが怖くて行動に移せない場合が多いに違いない。

 押川氏はこう訴える。

「多様化した社会の中で、おかしな行動をとる人間の人権も重んじられるようになり、精神科医療に繋ぎにくくなってしまっています。しかし、当事者の権利と同様に、被害者にも人権があることを忘れてはいけない。今は本人の同意が得られなければ医療に繋げなかったりするケースが多いですが、近年、こうした事件が増えていることからも、地域の保健所レベルでの対応に任されている現状を変え、政府が精神福祉医療の指針を示していくべきです」

 自分や家族が今回のような事件に巻き込まれることは絶対にない――そう言い切れない社会に我々は生きている。

「週刊新潮」2019年1月17日号 掲載

原文リンク

本站帖子來源於互聯網,轉載不代表認可其真實性,亦不代表本站觀點!
關於本站| 官方微博| 私たちの関心網| よくある問題| 意見反饋|copyright 私たちの関心網