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【山下 和之】2019年の「持ち家」「マンション」「住宅ローン」はこう変わる! ひっそり「グレードダウン」に要注意

2019年の「持ち家」「マンション」「住宅ローン」はこう変わる!

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住宅の買い時かどうかを見極めるためには、?価格や供給などの市場動向、?税制や各種住宅取得支援動向、?住宅ローンの金利動向――の三つの方向から検討した上で、総合的に判断する必要があります。

2019年の住宅購入を考える場合、10月から消費増税が予定されており、その影響を緩和する各種の住宅取得支援策がてんこ盛りの状態。まずは、消費税対策を中心とする?からみてみましょう。

〔photo〕iStock

消費税増税による住宅市場への「意外な影響」

まずは図表1をご覧ください。これは新設住宅着工戸数と前年比の推移を示したものです。

図表1 新設住宅着工戸数と前年比の推移

資料:国土交通省『建築着工統計調査』

過去10年の新設住宅着工戸数の推移をみると、2008年のリーマンショックによる着工戸数の落込みが前年比-24.7%と最も大きかったのですが、その次に2014年の消費税増税の影響も大きく、実に-13.2%と二桁の減少になっています。その落込み前の2013年レベルまで戻るのに3年の月日を要したほどです。

2019年10月からの消費増税に当たっては、このような影響が出ないように、政府は早くから充実した住宅取得支援策を実施するとアナウンスしてきました。実際、2019年度の税制改正大綱や予算案には、「住宅ローン減税」と「すまい給付金」を拡充、新たに「次世代住宅ポイント」を創設することが盛り込まれています。

それによって、増税で負担が増える以上に各種の給付や減税が増加、実質的な負担はむしろ軽くなる点を積極的にアナウンスしています。それが前述した?の供給や価格に反映されそうです。

今回は「駆け込み」も「反動」もない!?

では次に、消費増税が具体的に供給や価格にどのように影響していくのかを見ていきましょう。

まず供給面をみると、住宅生産団体連合会が大手住宅メーカーの幹部を対象に行っている調査では、2018年度の新設住宅着工戸数の見通しは94.1万戸と、2017年度の実績94.6万戸に対してほぼ横ばいとなっています。

2019年3月が消費税8%で建築請負契約を締結できる特例の期限なので、この期限に向けて大幅な駆込み需要が発生、2018年度の新設住宅着工数が増加しておかしくないのですが、今回はそれがほとんどないとみる経営者が多いことになります。

駆込みがなければ、2019年10月の増税後の反動減もさほど心配なく、住宅着工に大きな落込みもないでしょう。

新築マンションは「増え」もせず「減り」もしない

新築マンションの供給に関しても、不動産経済研究所では首都圏の2018年の発売戸数が3万6700戸と見込まれるのに対して、2019年は年間3万7000戸とほぼ横ばいと予測しています。

近畿圏も2018年が年間1万9900戸の見込みに対して、2019年も年間2万戸と予想され、やはりほとんど横ばいになるだろうとしています。

以上のように2019年の住宅供給は、ほぼ2018年と変わらず安定的に推移するのではないでしょうか。

〔photo〕iStock

2019年の住宅価格は「高止まり傾向」が強まる

次に、価格をみると、全般的には高止まり傾向になりそうです。首都圏の新築マンションの契約率をみると、採算ラインといわれる70%を大きく割込み、2018年11月には50%台まで低下、なかなか売れない環境が続いています。

売れなければ価格引下げの動きが起こってもよさそうですが、なかなかそうはいかないのが現実のようです。

ここで図表2をご覧ください。これは、首都圏の新築マンション平均価格と前年比の推移を示したものです。

図表2 首都圏の新築マンション平均価格と前年比の推移

資料:不動産経済研究所『首都圏・近畿圏マンション市場予測―2019年の供給予測―』

この図表にあるように、全国のなかでも最も激しい上昇が続いてきた首都圏の新築マンションは、2017年には平均価格が6000万円に迫る勢いでした。

それが、契約率の低迷によって価格上昇には歯止めがかかったものの、2018年(1月〜11月)の平均は-0.8%とほとんど横ばいになっています。価格は下がらず、高止まり傾向が強まっているといいでしょう。

ひっそりと「グレードダウン」されるのに要注意!

新築住宅価格は、大きくは土地取得費、建築費、分譲会社の経費・利益から成り、売値の8割前後を土地取得費、建築費が占めているといわれますが、この両者ともに上昇傾向、あるいは高止まり傾向にあります。

2018年9月に発表された国土交通省の『基準地価』では全用途平均の地価が上昇に転じました。バブル時以来27年ぶりのことです。特に大都市部の商業地では4.2%も上がっています。

しかも、国土交通省の調査よると、東京23区に本社を置く企業の担当者の49.1%は「1年後も地価の上昇が見込まれる」と回答、「下落が見込まれる」はわずか1.6%という結果ですから、当面地価上昇が続きそうです。今後は、こうした高い価格で仕入れた土地の上にマンションが供給されることになります。

建築費も同様で、2012年からの6年間でほぼ1割上がり、このところはその高い水準で張りついた状態にあります。

そんな上昇圧力が強いなかで、何とか価格を抑えるため、面積の圧縮、構造・設備のグレードダウンなどが始まっているので、2019年の新築マンション選びにおいては、価格をみるだけではなく、こうした点にも注意しておく必要があります。

中古マンションから「値下がり」が始まる可能性

新築マンションの上昇を追うように、中古マンション価格も上がっています。

首都圏中古マンション成約価格をみると、下記の図表3(『首都圏中古マンションの成約価格と前年比の推移』)にあるように、2012年には2500万円だったもので、2017年には3195万円まで上がっています。それでも新築に比べるとかなり安いので、まだ上がるのではないかという見方が強いようですが、それはどうでしょうか。

図表3 首都圏中古マンションの成約価格と前年比の推移

資料:東日本不動産流通機構『東日本レインズ年報マーケットウォッチ2018』

というのも、価格の高い新築マンションを買う層と、価格の安い中古マンションを買う層には大きな違いがあります。

住宅金融支援機構のフラット35を利用してマンションを買った人たちの平均像をみると、世帯主の平均年齢は42歳前後とほとんど変わらないのですが、世帯年収は新築が775.7万円で、中古マンション595.6万円と大きな差があります。

中古マンションに関しては、それだけギリギリの資金計画で取得している人が多く、新築マンション以上に価格上昇が取得能力、取得意欲に大きく影響してきます。

そうしたなか、高値のうちに売っておこうと、中古マンション市場では新規登録が増えています。その結果、在庫の積み増しが進み、東日本不動産流通機構によると、図表4(『首都圏中古マンション在庫件数と前年比の推移』)にあるように2018年末の在庫は過去最高水準の4万7000件台まで増加しています。

まだ、この在庫の増加が需給バランスを崩すには至っていませんが、新築価格の高止まりや、中古価格も十分高くなっていることを考え合わせれば、2019年に価格低下が始まるというのは十分にあり得るシナリオです。新築は分譲会社の採算維持という観点から価格を下げるのは簡単ではありませんが、中古は原則的に売主は個人ですから、売れなくなれば売れる価格に下げることは比較的容易です。

そうした点を考慮すると、このまま在庫が増え続ければ、やがて中古価格もピークアウトして、下がり始める可能性があります。もちろん、下がり始めるといっても、急激な下落ではなくジワジワとした値動きになるのではないでしょう。

図表4 首都圏中古マンション在庫件数と前年比の推移

資料:東日本不動産流通機構『月例マーケットウォッチ』

住宅ローンの「金利」はどうなるのか?

住宅の購入には、?の住宅ローン金利動向も大きく影響してきます。ある意味、金利の影響は消費税や市場価格動向どころではありません。

消費税が上がるといっても建物価格の2%のアップですから、3000万円の建物ならその2%の60万円の税負担の増加にとどまります。価格動向もこのところは新築マンションでは前年比横ばいから若干下がっている程度ですから、やはり数十万円の影響です。今後、先に触れたように中古マンション価格から下がる可能性があるといっても、そんなに急激な下落にはならないでしょう。

それに対して、金利の影響は図表5(『住宅ローンの金利別の返済額の差』)にあるように、金利0.5%の差でも返済総額では286万円も違ってきますし、1%上がると587万円の負担増です。

幸い、このところは金利も安定的に推移しています。メガバンクの変動金利型の最優遇金利はこの数年0.625%に張りついています。固定金利型も、その代表格であるフラット35の金利は1%台の前半で大きな動きはありません。

消費税増税も積極的な支援策によって影響は軽微におさまると期待できます。ですから、リーマンショックのような想定外の事態に遭遇しない限り、2019年の住宅ローン環境も2017年、2018年同様のたいへん利用しやすい金利が続くのではないでしょうか。

図表5 住宅ローンの金利別の返済額の差

中長期的には「金利上昇」の可能性も…

ただ、注意しておきたいのは、住宅ローン金利は原則的に申込み時の金利ではなく、建物の引渡しを受けたあと、融資の実行を受けたときの金利が適用されるという点。現在の金利ではなく、2年先、3年先の金利が適用されるのです。

大規模開発の新築マンションを取得する場合。物件によっては、販売開始から物件が完成して引渡しまでに2年以上かかるケースもあります。この半年、1年ほどは急激な変化はないにしても、それぐらいの時間が経過していると、現在の超低金利時代が終了し、金利が上がっている可能性もあります。

そうした事態を想定して、資金計画を考えるときには現在より多少金利が上がっても返済計画などに影響がないかどうかをシッカリとチェックしておく必要があります。

幸い、消費税増税による影響は少なく、価格も安定した動きになっているだけに、近い将来金利上昇の可能性があるとみるのであれば、2019年の低金利が続いているときがチャンスのときになるのかもしれません。

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