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刺されると激痛! ハリケーン後の米国東部を襲った「巨大蚊」の正体

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今年の9月中旬、ハリケーン「フローレンス」がノースカロライナ州とサウスカロライナ州を襲った。内陸のカンバーランド郡では、ケープフィアー川の水位が40フィート(約12m)上昇し、郡庁所在地であるファイエットヴィルは1945年以来で最悪の洪水被害に遭った。

しかし水が引き、破壊された自宅に住民が戻ったあと、新たな災難が始まった。

災害発生から2週間後のファイエットヴィルには、家財が流されて空っぽになった家々と、泥まみれになった家の残骸が並んでいた。しかし、クルマからその様子を確認するのは難しい。クルマのフロントガラス全体に、攻撃的な蚊の大群が群がっていたからだ。

「燃えるような痛み」を与えるひと刺し

ハリケーン通過後、カンバーランド郡を含むノースカロライナ州の27郡では直径約2cmの巨大な蚊が大量発生した。「プロソフォラ・シリアタ」と呼ばれる蚊で、通称「ガリニッパー」として知られている[編註:刺されたら血を1ガロン=約3.8リットル吸われそうなほど巨大なことからその名がついたと言われている]。ノースカロライナ州のロイ・クーパー知事は9月26日、蚊に対応する救援資金として400万ドル(4.5億円)の拠出を指示した。

「本当にあらゆるところにいるんです」と、カンバーランド郡環境衛生プログラムの専門家であるトム・タトゥーロは言う。カンバーランド郡では毎年、雨の多い季節に少数のガリニッパーが発生してきた。しかし、このときは特ににひどかった。

ガリニッパーがヒトの病気を病気を媒介するという話はないが、この蚊は昼夜を問わず哺乳動物に瞬時に群がり凶悪なひと刺しを繰り出す。「燃えるような強烈な痛みを感じます」とタトゥーロは言う。

その口器は牛の皮膚をも貫通する

すべての蚊には、血を吸う際に獲物の皮膚を切り開くのに使う「小顎」と呼ばれる鋸歯状の口器がある。たいていの種はこの小顎が小さく鋭いので、刺されてもチクリとした痛みしか感じない。

しかしガリニッパーの小顎は、もっと大きな獲物向けだ。牛の皮をも貫通する小顎をもっているのは、ガリニッパーだけである。肌のかなり深いところまで突き刺すため、表皮の神経細胞はひどい刺し傷を負ったと体に伝達する。つまり、体は鋭利な物で刺されたと判断するわけだ。

サウスフロリダ大学セント・ピーターズバーグ校の生物学者デビー・カッシルは、次のように話す。「皮膚の深い部分を傷つけられたということは、体が危険な状態になったということを意味します。そのため、非常に激しい痛みを引き起こすのです」

異常気象に適応したガリニッパー

米南東部全域で少数が見つかるが、もともとはミシシッピ・デルタの沼沢地に生息していた種だという。殺虫剤と人口密集地における人間による土地開発の影響で、ほかの種の蚊は小型化し、繁殖ペースを速めている(年に複数世代発生することもあるくらいだ)。

しかし、ガリニッパーは別の戦略をとった。巨大な雌が低地の草原に大量の卵を産むのだ。ほとんどの卵は干上がって1〜2年で死滅する。しかし大雨が降ると、生育可能な卵がすぐに孵化するのである。「彼らは頻繁には起こらない珍しい気象条件に適応したのです」とカッシルは語る。

ではハリケーン「フローレンス」のように、めったに見られない規模の洪水を引き起こす気象現象がもっと頻繁に起こるようになったら、どうなるのだろうか?

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、地球温暖化によって今後ハリケーンが増えるかどうかについては科学的に不明だが、発生するハリケーンはいままでよりも強力になるという。大気中の水蒸気が増え、海水温が上昇すると、沿岸沿いに何日も停滞する「フローレンス」や「ハービー」のようなハリケーンが増えるのだ。

ノースカロライナ州立大学の公衆衛生昆虫学者マイケル・ライスキンドは次のように語る。「気候変動と巨大蚊の関係は難題であり、科学者が予測するのは困難です。とはいえ、フローレンスのように大洪水をもたらす気象現象が毎年起きるようになったら、こうした蚊の個体数は増えると考えねばなりません」

洪水の頻度が増えれば、卵の死亡率は年々低下する。ガリニッパーの卵たちは、毎年の受難から解放されるわけだ。

進む温暖化、激化する異常気象、増える害虫

人間は過去何世紀ものあいだ、沿岸生態系の自然現象である洪水を最小限に抑えようと懸命に取り組んできた。拡大する都市を守るために、沼沢地の干拓や川の流れを変える工事、ダムや堤防の設置といったことを行ってきたのだ。だがこうした対策はいずれも、気候変動の結果発生する異常気象を想定したものではない。それどころか、こうした施策が事態を悪化させることも多いのだ。

米国南部では近い将来、超大型ハリケーンがたびたび洪水を発生させる恐れがある。その洪水とともに、6本脚の害虫も発生するだろう。「米国内のどこであれ、温暖化と湿度の上昇が進めば虫たちが現れます」とカッシルは言う。そしてその影響は、数カ所のひどい虫刺されどころではない可能性がある。

研究者たちは最近、気温が1度上昇するごとに、世界の作物は虫害により収穫高が10〜25パーセント減少すると予測した。そうした災難への対策は、いくらかの殺虫剤や網戸程度ではすまないだろう。

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