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世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 ★第299回 移民法

 2018年11月27日、衆議院法務委員会は、「移民」受け入れ拡大を可能とする出入国管理法(入管法)改正案を、自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数により可決した。立憲民主党などの野党の反対を押し切り、採決は強行された。事実上の「移民法」成立である。

 ちなみに自民党の労働力確保特命委員会は、移民について、
「入国時に永住権を持っている者」
 と、奇天烈な定義をしている。さらには、就労目的の者は移民ではないと決めつけているわけだから、異常としか表現のしようがない。移民の定義は、国連の定義によると「通常の居住地以外の国に移動し、少なくとも12カ月間当該国に居住する人」になる。OECDも、ほぼ同じ定義だ。労働目的の者はもちろん、留学生も定住目的も、1年以上外国に住んでいれば、全て移民に該当する。

 現在、日本には約250万人の在留外国人が暮らしている。彼らはすべて「移民」なのだ。特に今回の入管法改正における「特定技能2号」は、明確に移民政策になる。家族帯同や永住が可能であるため、これを「移民政策ではない」というのは、黒を白と言い張るようなものだ。

 元々、政府が想定していた土木・建設分野や造船分野における特定技能2号制度は、「志願者の見込みがつかない」とのことで、見送りになった。とはいえ、問題は「制度ができてしまった」という事実である。

 派遣法を思い返してほしい。日本で労働者派遣が解禁されたのは、’86年になる。当初は一部の特筆すべき技能を有する14業種16業務(※通訳など)に「限定」された形での解禁だった。その後、’96年に対象業務が26業務に拡大。この時点でも、正社員では代替できない専門性が高い業務が中心と、やはり「限定」ではあった。

 限定が外れたのが’99年。派遣業種は原則自由化され、ネガティブリスト(派遣禁止業務)に掲載されている仕事以外はOKとなってしまう。そして’04年、ついに製造業における派遣が解禁された。当初は、期間1年だったのが、’07年に派遣期間が3年に延長される。最初に開けられた「蟻のひと穴」がジワジワと拡大されていったのだ。移民法も、同じ道をたどることになるだろう。短期的には、
「2号の業種がかなり絞り込まれているため、移民政策には当たらない」
 と、強弁して「蟻のひと穴」を開ける。その後、何十年もかけて穴を拡大していく。グローバリストや構造改革主義者のいつものパターンだ。しかも、特定技能1号は、単に「技能実習生」をスライドさせ、在留期間を延ばすだけの制度にすぎない。

 何しろ、技能実習生として3年以上の経験を積んだ外国人について、「特定技能1号」への試験を免除するという“抜け道”をすでに政府は示しているのだ。実に露骨である。

 要するに、今回の移民法は、特定技能1号で、
「技能実習生を、現状のまま、低賃金奴隷的労働者として雇用し続けたい」
 という経営者のエゴイスティックな欲求を満たすと同時に、将来的には「特定技能2号」で日本を移民国家化するという、二重の意味で非人道的、非国民国家的な法律なのだ。

 しかも、移民を雇用したとして「日本人の所得を引き下げない」ための工夫等は一切ない。日本人は、今後も移民と「低賃金競争」を強いられることになり、実質賃金は低下を続けることになる。

 現在の日本は、少子高齢化に端を発する生産年齢人口比率の低下で人手不足が深刻化している。本連載で繰り返している通り、人手不足下における「生産性向上のための投資」こそが、経済成長と「国民の豊かさ」をもたらす。

 何しろ、実質賃金とは中長期的には生産性向上以外に上昇する術がない(短期的には、労働分配率の引き上げで上昇させることが可能だが)。
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