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話題沸騰の書、百田尚樹著『日本国紀』を100倍楽しみ、有意義に活用する方法

Twitterでは同書へのツッコミが大喜利の様相を呈している『日本国紀』(幻冬舎刊)

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 11月12日に発売された作家百田尚樹氏による日本の通史『日本国紀』が話題です。版元の幻冬舎社代表見城徹氏によると、発売前から増刷となり、11月9日時点で35万部を刷ったとのことで(参照:見城徹氏の755より)、昨年話題となった呉座勇一氏『応仁の乱』(中公新書)の部数が現在約50万部といいますから、日本史関係書では有数の売り上げとなることはおそらく間違いないのでしょう。

 著者の百田氏は、発売前から同書が自信作であることをツイッター上で盛んに吹聴していました。
“『日本国紀』を読まれた方は、「この本を長く持っておきたい!」と思うはずだという自信があります!
もし、大量に中古書店に売られるようなことがあれば、私の物書きとしての才能が終わっているということの証明以外のなにものでもありません!”

 これだけなら宣伝文句と受けとめることもできるでしょうが、百田氏の口調はときに熱を帯び、学者への明らかな挑発行為にまで及んでいます。
“『日本国紀』が発売されたら、歴史学者から批判が殺到するはず、と期待するアンチが多いが、彼らの期待は裏切られる。
なぜなら『日本国紀』に書かれていることはすべて事実だからだ。
ただ、その事実の多くが、それまでの歴史教科書には書かれていなかったということだ。”

 人の好奇心とは抑えがたいもので、「『日本国紀』に書かれていることはすべて事実」とまで言われてしまったら、本当かどうか確かめたくなるのが人情というもの。百田氏の巧みな煽りが功を奏してか、都内の書店の棚に同書が先行して並びはじめた11月9日午後から間もなく、SNS上では各方面から入念な検証が行われ、現在でもその勢いは衰えていません。

 かつて発売直後からこれほどまでに注目を集めた“歴史書”があったでしょうか。以下、平成最後の年末を迎えるにあたってのマストアイテム『日本国紀』を楽しむためのいくつかの方法を紹介してみます。

◆「ヘビのように入念にチェック」

 百田氏はジャーナリスト兼編集者の有本香氏が『日本国紀』の編集に参加したことについて、
“『日本国紀』は、有本香さんに編集をお願いして大正解でした!
 一つ一つの文章をヘビのように入念にチェックし、わずかでも疑問があれば、容赦しませんでした。
 もう堪忍してくれ!と何度も悲鳴をあげましたが、出来上がってみると、感謝しかありません!”

 とツイートしています。では、この「ヘビのように入念にチェック」されたはずの『日本国紀』を改めて「ヘビのように入念にチェック」してみましょう。

“卑弥呼は『魏志』「倭人伝」に「鬼道を使って人を惑わす」と書かれていることから、一種のシャーマン(巫女(みこ))であったと考えられる。もしかしたら「日巫女」であったかもしれない。”(『日本国紀』P16)

 百田氏のいう卑弥呼は「日巫女」、つまり太陽に仕える女シャーマンだとの説は別に目新しいものではなく、Wikipediaにも(出典が明示されないまま)掲載されているものです。この説が誰によって唱えられたのかは今回の調査では突き止められませんでしたが、Google検索すると「超古代史」やら「竹内文書」やらといったものを取り扱ったブログや書籍が多数ヒットしました。『日本国紀』は「すべて事実」であるはずなのに不思議ですが、百田氏は「かもしれない」とあくまで推定として述べていますから、この方向から責めるのは止します。

 さて、推定を述べるにしても、やはり少しぐらいはもっともらしさが欲しいところです。もっともらしさこそ「歴史のロマン」(P17)の原動力でもありますから。この点で「卑弥呼=日巫女」説はじつは大きな弱点を抱えています。というのも、この説が成り立つためには、卑弥呼が生きていた3世紀頃に女性シャーマンを意味する「ミコ」という日本語が存在していなくてはなりません。
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原文リンク

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