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FacebookとWhatsAppのフェイクニュースを信じた群衆によって無実の2人がリンチのすえ火あぶりに



メキシコのプエブラにあるアカトランという街で、2018年8月、大衆によって2人の男性が「子どもを誘拐して臓器を売りさばいた」というフェイクニュースを信じた人々に殺害されました。男性2人は群衆によってリンチに遭い、最終的に火をつけられましたが、完全な無実だったとのことです。

Burned to death because of a rumour on WhatsApp - BBC News

https://www.bbc.com/news/world-latin-america-46145986

イギリスのニュースメディアであるBBCは事件のあったアカトランで、事件の目撃者に話を聞いています。クラフトショップのオーナーであるMaura Corderoさんは、その日、自分の店の隣にある警察署に人だかりができていることに気づきました。Corderoさんが目にしたのは、パトカーが2人の男性を警察署につれてきて、小さな拘置所に入れる様子。パトカーの後ろには何人もの人がついてきており、拘置所に入れられた男性2人に対して「誘拐犯」だと叫んでいたとのこと。警察はそれに対し、「彼らは誘拐犯ではなく軽犯罪者だ」と繰り返し説明していたといいます。

拘置所に入っていたのは、21歳のRicardo Floresという男性と、その叔父である43歳のAlberto Floreという男性。Ricardoさんはアカトランの街の外で生まれ育ったあと、街から250kmほど離れたXalapaという街へ法律を学ぶために移り住んだという人物です。Albertoさんは農家で、長年の間Albertoの外にある小さなコミュニティで生活していました。2人と連絡を取っていた親族によると、2人は井戸作りの材料を買いにアカトランを訪れていたとのこと。警察は、2人が何か犯罪を犯したという証拠は一切なく、拘置所に入れられたのは「地元住民から声をかけられ平穏を乱したこと」が理由だと説明しています。



しかし、拘置所の外で2人を誘拐犯だとして責め立てていた群衆は、別のストーリーを信じていました。この日、WhatsAppを通じて以下のようなメッセージが拡散されたのです。

「気をつけてください、誘拐犯たちがこの国に入りました。この犯罪者たちは臓器売買に関係しています。過去数日間において、4歳、8歳、14歳の子どもたちが姿を消し、何人かの子どもたちは、臓器を取り出された跡がある死体で発見されました。誘拐犯たちが子どもたちを切り開き、体の中を空にしたのです」

RicardoさんとAlbertoさんはSan Vicente Boqueronというコミュニティにある小学校の近くで目撃されたことから、2人は住民たちによって誘拐犯だと誤解されました。そして、恐怖に支配された住民たちによって、「誘拐犯が逮捕された」というニュースも瞬く間に広まっていったというわけです。

警察が「誘拐犯ではない」と繰り返し伝えたにも関わらず、人々はどんどん警察署に集まり、1つの目的を持った群衆へと形を変えます。そして、人々によって拘置所は破壊され、男性2人は引きずりだされて激しい暴力を受けました。その後、2人はガソリンをかけられ火が付けられましたが、この時点で既にRicardoさんは死亡していたとみられています。一方でAlbertoさんは、炎に包まれながらも手足が動いている様子がムービーで撮影されており、生きたまま燃やされたことがわかっています。



Ricardoさんの母親でAlbertoさんの妹であるMariaさんは、この日、Facebookを通じて息子と兄が逮捕され、誘拐犯だと疑われていることを知りました。2人が群衆によって殴られている様子を見て、「彼らを傷つけないでください。彼らは誘拐犯ではありません」というコメントを行いましたが、暴行は止まりませんでした。2人が焼かれてから2時間、遺体はその場に残されており、Ricardoさんの祖母のPetra Elia Garciaさんが到着した時には「Albertoの頬にはまだ涙が残っていた」といいます。「あなたたちがしたことを見なさい!」とGarciaさんは叫びましたが、その頃には群衆は散り散りになっていたそうです。

幼い頃のRicardoさんと、母親のMariaさんの写真。



また、Albertoさんの妻であったJazmin Sanchezさんもこの日、Facebookを通じて事件を目にしました。夫婦はアカトランから14km離れたXayacatlan de Bravoという場所で暮らしており、事件後はXayacatlan de Bravoの小さな家でSanchezさんと3人の幼い娘たちの4人で生活を続けています。「彼はいい人でした。こんな死に方をするような人間ではありません」とSanchezさんは語っています。

当局によると、この事件で犯罪を扇動した5人と、殺人を犯したとする4人に逮捕状が出されました。アカトランの住人であるFrancisco Martinezという人物は、FacebookやWhatsappを使って現場の様子を実況し、「信じてください、誘拐犯がここにいます」というメッセージでフェイクニュースを拡散させたとして逮捕された1人。また、Manuelという男も、警察が2人を解放しようとしている時に警告の鐘を鳴らしたとして逮捕されました。加えて、ガソリンを購入するためのお金を集めたPetronilo Castelanという男も逮捕されていますが、その他の実行犯たちは既に姿を消しており捕まっていません。

このような事件は、何もメキシコだけに限りません。 FacebookやWhatsAppのフェイクニュースによって、インド、ミャンマー、スリランカでも暴力事件が発生しています。インドのアッサム州では、2018年6月にも、児童誘拐のデマを信じた人々によるリンチ殺人が発生したと報じられています。

Mariaさんは2人の死に関し、「なぜ誰もチェックを行わなかったのですか?子どもは1人も誘拐されておらず、事件の正式な申し立てもなかったのに。フェイクニュースだったのに」と、語りました。この点について、イベロアメリカ大学の政治科学者であるManuel Alejandro Guerrero氏は「デジタルプラットフォームは、恐怖や偏見があわさると、人間の最良のものと最悪のものを即時的に広めます。これは、人々の安全を保証する権力や権威がない場合、特にはっきりと現れます」と述べています。



WhatsAppは徹底したエンドーツーエンドの暗号化を行っているため、フェイクニュースの発信源をトラッキングすることはできません。しかし一連の事件を受けて、同社は、一度に250以上のチャットにメッセージを転送できていた機能をインドでは5つまでに制限するなどして暴力拡大の阻止を試みています。「我々は群衆の暴力を止めるにはテクノロジー企業、市民社会、そして政府による行動が必要だと考えています」「私たちは誤情報に関するユーザーの教育をステップアップさせ、コミュニティーにおいてWhatsAppをどのように使用するのかという訓練を法執行機関に対して提供します」と同社は述べています。

また、Facebookの広報も、「暴力を生み出すために私たちのサービスが使われることを望みません。今年、私たちはプエブラ州で起こった群衆による暴力が映されたムービーを特定し、削除しました。そして私たちは、現実世界の暴力を引き起こすコンテンツを削除するという形でポリシーを改訂しました。テクノロジー企業や社会、そして政府と協力し、暴力を引き起こす可能性のあるコンテンツの拡散と戦っていきます」とBBCに対してコメントを発表しています。

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