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ローソン銀行の「キャッシュレス」戦略を分析する:モバイル決済最前線

ローソン銀行の「キャッシュレス」戦略を分析する:モバイル決済最前線
既報の通り、ローソンは本日(10月15日)よりローソン銀行の一般向けサービスを開始した。

このローソン銀行について、多くの方が思ったであろう2つの疑問について、ローソン側の見解と、筆者の分析を交えたこれからについて解説してみる。

いまなぜ、このタイミングでローソンが銀行業務に参入するのか


まず前提として、ローソンが「ローソン銀行」として参入する最初の銀行業務は「ATM」事業となる。ローソンは関連コンビニ(ローソン、ナチュラルローソン、ローソンストア100)を合わせて日本全国に1万4000店舗以上が存在し、同店舗の一部を含む全国にローソンATMが1万3000以上設置されている。

このローソンATM事業を引き継ぎ、新規口座を獲得していくのがローソン銀行の第一歩となる。

このATM数だが、誕生したばかりの銀行としては驚異的な数といえる。例えばメガバンクの「みずほ銀行」や「三菱UFJ銀行」が公開しているデータによれば、国内のATM設置数は5万以上。さらに数の多い地銀では多くて数百と3桁の水準が普通なので、メガバンクにこそ及ばないものの、カバー率が非常に高い点が特徴だ。

▲ローソン銀行の出発点となるATM事業

コンビニのような流通大手では、ライバルのセブン銀行がすでに17年前にあたる2001年に銀行業参入を果たしており(当時の名称はアイワイバンク銀行)、ローソン銀行はかなり出遅れた形となる。それでもなお、このタイミングであえてローソンが銀行業務に参入したのは勝算があるというよりも、それだけ「コンビニ+銀行」という業態が非常に"おいしい"商売なのだと考える。

前述のようにATMの広域での維持が難しい地銀にとって、全国どこでも24時間稼働しているコンビニATMは顧客サービスの有力な窓口になる。比較的近場に口座がある銀行の直営ATMを持つ顧客でさえ、すぐに引き出し等ができるATMは非常に便利だ。ゆえに入出金や振り込みを含む各種手数料収入だけでも大きな利益となる。

特に低金利政策が続く昨今、こうした手数料収入は銀行の大きな収益の柱の1つであり、既存の金融機関との提携関係や利用者ベースを軸に、新たに銀行業務を始めることでさらに強固な収益源としていくことが狙いとなる。


▲既存ネットワークと顧客、地方展開を武器に3方面からビジネスを展開

ローソン銀行代表取締役社長の山下雅史氏によれば、当面の目標として500万口座開設を目指しており、今後3年間で黒字を達成するという。3年間での黒字達成は銀行業免許交付時に金融庁によって定められた決まりとのことで、問題なく達成できる水準だと考えているようだ。

500万口座という数字は「既存のATMの定期利用者が約500万人」という数字から算出したもので、口座への入出金や振り込み、自動引き落としなどの基本的なサービスを提供してメリットを打ち出すことで、口座開設へと誘導する狙いだ。

10月15日のサービス開始時には、簡単な情報入力と身分証(免許証など)を撮影して送信することで口座開設が可能な「口座開設アプリ」をスマートフォン向けに提供し、口座開設が完了した段階でキャッシュカードが自宅住所へと送付されてくる。

2019年1月にはクレジットカードの発行も開始予定で(免許交付が問題なく行われた場合)、利用の幅がさらに広がる。一部ではローソン銀行の支店名(誕生月で自動的に割り当てられる)が非常にユニークだと話題になっているが、街のあちこちにATMがあり、かつネット銀行的な使い方が可能なサービスだといえる。


▲ローソン銀行の公式Webページ。受付開始は10月15日から

そしてここからが重要だが、なぜATMという出入り口だけに満足せず、ローソンは銀行業務に参入したのだろうか。近年、「キャッシュレス」を旗印にさまざまな業種の企業が決済を中心とした金融サービス事業に参入してきているが、サービス上のバーチャル口座であれ、最終的にお金の出入り口となるのは銀行口座であり、そこをしっかりと握っておくことが戦略上重要となる。

接続先金融機関を地道に増やしているLINE Payのほか、収益に苦しむ地方銀行を取り込んでネットワーク化を進めるGMOペイメントゲートウェイの「銀行Pay」など、結局は銀行口座がや既存の銀行顧客をいかに取り込むかが鍵となっている。すでに共同ATM事業を通して顧客を獲得しているローソンにとって、銀行業務参入はこの波に乗るまたとないチャンスであり、「なぜいま?」の疑問の答だろう。


▲銀行業務参入にあたっては地方経済を巻き込む

山下氏によれば、ローソン銀行は「当面は基本的な銀行機能の提供を中心に活動する」としており、資産運用や各種ローン商品などの付随するサービスは「顧客の属性や意向をみて決めていく」と述べている。つまり、共同ATMでの運用実績を基に収益を確立し、「銀行口座」というキャッシュレス時代に向けた"次"の戦略の基点を用意することが目的だと筆者は考える。

ローソンの考える「キャッシュレス」とは


ローソン代表取締役社長の竹増貞信氏は会見冒頭の挨拶で「諸外国でのキャッシュレス化が進んでいるなか、日本のキャッシュレス比率は20%程度といわれており、その理由として決済規格の乱立が挙げられる」と述べている。

一方で、「ローソンPayのような(フロント向けの)決済サービスを提供する意向もある」とも述べており、これは今後国内で10から20以上誕生するとみられているアプリ決済(QRコード決済)サービスの乱立状況にさらに拍車をかける矛盾した発言を行っている。

竹増氏は「便利なサービスであればユーザーは使う」とも加えている。「参入のチャンスがあれば打って出るのは当然」という意図は当然あるだろうが、ローソンとしては「ローソン独自の決済サービス」というのは「成功できれば御の字」というオマケに近い存在で、むしろお金の循環サイクルを握ることが主軸にあると考える。


▲諸外国でのキャッシュレス事情


▲キャッシュ社会ではATMがキャッシュポイントとして活躍していたが、今後はそれがデータビジネスへと変化していく

キャッシュレスと一口ではいうものの、実際に電子化することでできること、見えてくるものは多い。シンプルなところでは個人間送金サービスで、ローソン銀行ではバンキングアプリのようなものも提供し、こうした仕組みを簡単に行えるようにする。銀行口座を持つことで資金の流れを可視化することが可能になり、いわゆるデータマーケティング的なものも可能になるだろう。

既存の地方銀行とのネットワークを活かし、一連の仕組みをプラットフォーム化することもできるはずだ。会見では地域ポイントやコインの話題にも触れていたが、こうした地域活性化の取り組みをローソンが支援するプランもある。ローソンPayだけでなく、クレジットカードや電子マネーを含む決済プラットフォームをアクワイアラとしてローソンが地方都市の商店に提供することも考えられる。POSを使って業界最多ともいえる決済手段をサポートするローソンならではの仕組みといえそうだ。

これは地域経済活性化をうたうイオングループの方針にも近いが、地方都市でのキャッシュレス化に必要な要素をバックエンドからフロントエンドを含むすべての面で提供するのが、同社の「キャッシュレス」戦略といえるかもしれない。


▲既存のネットワークを介してお金やデータの流れをプラットフォーム化する

まとめると、ATM事業での実績を武器に全国単位で顧客や地方都市の商店らを取り込み、お金の出入りに関する部分を管理することで少しずつキャッシュレス化を実現していくという流れだ。

なお、ローソン銀行では基本的に店舗でのATM以外の物理的な窓口を持たないとのことで、特に地方都市で顕著なスマートフォン等の仕組みになじんでいない高齢者への応対や、金融商品を取り扱うための店舗窓口など、今後銀行業務を拡大するうえで気になるポイントもある。

ローソンPayを含む決済プラットフォームの詳細については現時点で説明されていないものの、「おつり預金」「個人間送金と利用者間コミュニケーション」「チャットボットを使ったサポートやアドバイス」など、キャッシュレスやスマートフォン活用でいくつか興味深いキーワードが紹介されており、実際のサービスインが非常に楽しみだ。


▲ローソンPayに限らず、決済手段をローソン店舗以外の小売店にも提供していく


▲ローソン銀行が当面計画している金融サービス群。軸となるのはスマートフォンとATMという

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