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あなたが知らない深刻なSNS疲れの世界潮流


『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』に出演したケリー・マリー・トランさん。インスタグラムの投稿を全削除した(写真:Shutterstock/アフロ)

海外では、昨年頃からインスタグラムの投稿を全削除する有名人が増えてきている。昨年8月、歌手のテイラー・スウィフトがツイッターやインスタグラムの投稿を全削除しているほか、今年の5月には女優のブレイク・ライヴリーが同様にインスタグラムの投稿を全削除している。

だが、これは「セレブのSNS離れ」といったようなものではない。実際、二人とも、しばしの沈黙の後、活発に投稿を再開している。実は、これらはプロモーション活動の一環として行われているものだ。テイラー・スウィフトは、ツイッターやインスタグラムの投稿を全削除した後に、新作『Reputation』を発表しているし、ブレイク・ライヴリーは、自身が出演している映画『A Simple Favor』を積極的にプロモーションしている。

海外ではミュージシャンや俳優が、自分の作品をプロモーションするために、SNS上の投稿を全削除したり、(インスタグラムであれば“アーカイブ”機能を使うことで)非表示にさせたりするやり方がよく用いられる。いったん、自分のアカウントのプロフィールやタイムラインをまっさらの状態にすることで、ファンに「何かあるぞ」と思わせることが目的だ。

これは期待感をあおるだけではなく、これまでの作品のイメージにとらわれずに新作を強く印象づけるという効果もある。『Reputation』で新しいイメージを打ち出したかったテイラー・スウィフトは、これをうまく使った例だろう。

「SNSをやめる」有名人が増えてきている

だが、最近はプロモーション目的で投稿を全削除するのではなく、本当にSNSの舞台から去ってしまう著名人も少なくない。実際、今年の春あたりを境に、海外のニュースサイトなどでは「Celebrities Who Have Quit Social Media(ソーシャルメディアをやめた著名人)」という見出しをよく見掛けるようになった。

たとえば映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』で、アジア系女性として初めてメインキャラクターを演じた女優、ケリー・マリー・トランが、今年6月にインスタグラムの投稿を全削除したのは、その最たる例だろう。彼女は大役に抜擢されたことで大いに注目を集める存在となったが、一方で同作の一部のファンからのバッシングが絶えなかった。彼女の容姿に対する中傷だけではなく人種差別的なものを伴うコメントや攻撃を受けたことで、インスタグラムの投稿を全削除している。

また、7月には歌手のアリアナ・グランデと婚約しているコメディアン、ピート・デヴィッドソンが一部のファンからの強いバッシングを受け、インスタグラムの投稿を全削除している。婚約といえば、イギリス王室のヘンリー王子の妻であるメーガン妃も結婚を控えていた今年1月にツイッターとインスタグラムのアカウントを削除している。

海外だけではなく、日本でもSNSから去ることを選択する著名人が増えている。昨年には女優の真木よう子や、満島ひかり、宮沢りえが相次いでインスタグラムやツイッターのアカウントを削除している。最近では歌手の華原朋美が週刊誌による報道をきっかけに、自身のインスタグラムやツイッターといったSNSアカウントやブログを削除している。

リスクのほうが大きい

PRを目的に“意図して”投稿を全削除する著名人がいる一方、本当にSNSから姿を消してしまう著名人も増えてきている。その原因の多くは“疲れ”だ。

もともと世間から注目を集めている著名人は、もちろんSNS上でも、一般人より注目される存在になりやすい。しかもSNSの場合、誰もが同じ空間の中で、発言し、コミュニケーションを取るので、著名人からすると普段以上に一般人との距離感を近く感じることになる。

もちろん、その距離感の近さをうまく利用して、ファンとの結びつきを強めたり、より親しみやすいイメージを作ることも可能だろう。少なくとも、これまで著名人らにとってSNSはそう使われてきたし、それは一定の効果をもたらしていたはずだ。

だが今は、それ以上に荒らしや批判にさらされることに対するリスクのほうが大きいと考えられている。SNSに投稿をする際にはさまざまな考えを持つ人たちの注目を一斉に、かつつねに集め続ける中、言葉の使い方や写真の撮り方、そして投稿するシチュエーションなど、細かな部分にも、一つひとつ気を配る必要がある。しかし、それでも中傷を受けたり、炎上する可能性をゼロにすることはできないのが現状だ。また、SNS上の発言に限らず、自分自身の作品や日常生活の中から、批判や、いわれのない中傷を受けやすくもなっている。

さらに今は、“過去の発言”が時間を経て、批判の的と化すケースも少なくない。今年に入って、ニューヨーク・タイムズの記者が採用後すぐに過去のツイートの内容が理由で解雇されている。同社ではほかにも、先月編集委員に任命された韓国系アメリカ人のサラ・チョンが同様に過去の発言をきっかけに炎上するということが起こっている。SNSへの投稿は話し言葉のように気軽に発することができ一瞬でタイムラインを流れていくが、実際には何年にもわたって発言した本人につきまとう結果を招く。

もちろんSNSを利用する際にはそういった点をきちんと理解し、“書くべきではないこと”は絶対に書かないなど、発信する際には十分気をつけなくてはならない。

しかしつねに気をつけるということが負担となり、“疲れ”という形で表れてしまうのも、また事実だ。そして、それを上回るようなメリットを、SNS上に投稿すること対して見いだせなくなった結果、SNSから距離を置くという選択をする人が、著名人らの間に増えているのが現状である。

SNSがオワコンになる日も近い?

これは著名人だけに当てはまる話ではない。いわゆる「ジェネレーションZ」(“Z世代”とも呼ばれ、1990年代後半から2000年代に生まれた世代を指す)の間では、“SNS離れ”が、いよいよ本格化している。

ある調査機関によるデータでは、米国のジェネレーションZの約3分の1がひとつ、もしくは複数のSNSをやめてしまったと回答しているし、さらに約60%が一時的な”SNS絶ち”を行ったことがあると回答している。これは荒らしや批判、炎上などのリスクを負いたくないという理由だけではなく、そもそも“スマートフォンを使いすぎている”ことに懸念を感じているジェネレーションZが増えてきたことにも関係している。

こういった流れを受けてか、“SNS離れ”をする企業も出始めている。英国の大手パブチェーン、JDウェザースプーン社は、今年の4月にツイッターとインスタグラムのアカウント、そしてフェイスブックページをすべて閉鎖してしまった。その理由は「個人情報が誤って使用されることへの懸念」、そして「SNSへの中毒性に対する危機感」だという。また、同社会長は「SNSの投稿の90〜95%はビジネスにとって役に立たない」ともコメントしている。

著名人がSNSを離れ始め、今後の社会の中心となる世代の中でもSNSはおろか、スマートフォン離れが見え始めている。そして企業もSNSから距離を置き始めている中、SNSの中毒性から抜け出せない人が時代遅れの象徴となる日が来るのかもしれない。昨今の“SNS離れ”は、そんな未来を映し始めているかもしれないのだ。

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