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「暑過ぎ」が生む ビール販売の「新しい定説」

暑すぎて消費はマイナスに…?

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夏の暑さは景気にプラスというのが一般的なテーゼだが、異例の猛暑が消費を冷やす懸念が膨らんでいる。内閣府が2018年8月10日発表した4〜6月期の国内総生産(GDP、季節調整値)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.5%増(年率換算で1.9%増)と、2四半期ぶりにプラスとなったのは、GDPの約6割を占める個人消費が0.7%伸びたのが大きな支えだったが、ここにきて「暑すぎ」のマイナスを指摘する声が強まっている。

4〜6月期のGDPは、内需が2.4%増えたのに対して外需が0.5%マイナスだった。このところ輸出頼みと言われていたが、4〜6月期は内需がけん引した。要因は、まず所得の増で、雇用者報酬は前期比で実質1.9%増と約15年ぶりの高い伸びを見せている。これに、前期が寒波の影響による野菜価格高騰で他に使えるお金が減ったことなどが響いて個人消費は0.2%減だったが、4〜6月期はそうした要因が解消されたところに、全国的に梅雨明けが早く外出が増え、夏物商戦が活発になったことが消費を押し上げた。

「気温が1度上がると販売量が2.5%増」という定説

そして7〜9月期もこれまで、この勢いで消費は好調を持続するとの見立てが多く、民間シンクタンク13社平均で、7〜9月期GDPは年率1.4%増となっていた。

ただ、ここにきて、猛暑のマイナス面を示す兆候が出始めている。

第1に、暑さによる野菜の生育不良。あるスーパーは「関東の不作を補うため遠距離輸送で値段を上げた」という。必需品である野菜などの値上がりは、他の消費支出の切り詰めを招くおそれがある。

第2は外出を手控える動きだ。百貨店や外食などは「来客数が減った」との声がある。プールやレジャー施設は「猛暑日(35度以上)になると客足が鈍る」(都内の屋外プール)といった影響が出ている。

物販では、「相変わらずエアコンが絶好調」(都内の量販店)のほか、氷菓メーカーでは一部人気商品の製造が追いつかずに販売を休止するという、うれしい悲鳴も聞こえる。ただ、例えばビールは夏場に気温が1度上がると販売量が2.5%増えるといった「定説」があるが、7月は前半が好調だったのに、後半は販売が減少し、業界では「気温36、37度が限界で、それを超えるとマイナスの影響が出る」との新しい「定説」が生まれつつあるようだ。

実際、内閣府の7月の景気ウオッチャー調査(8月8日発表)でも、現状の景況感を示す指数(季節調整値)は2か月ぶりに悪化し、2016年9月以来の低水準になった。暑さを嫌い、外出を控える人が増え、小売りやレジャー企業が客足の減少を懸念したのが主因と分析している。

「7〜9月期の個人消費が再び落ち込む可能性も」と予測

株式市場も反応。ビールやアイスクリーム製造など、夏になると買われる「夏銘柄」が、今年は冴えず、7月以降に値を崩す銘柄が相次いでいる。ダイキン工業や富士通ゼネラルといったエアコンのメーカーは健闘しているが、アサヒグループホールディングスやキリンホールディングスはともに、株価が6月末に比べ10%以上安い。森永乳業と明治ホールディングスも20%前後下落しているのは、暑すぎるとこってりしているアイスクリームより、さっぱりした氷菓に需要が移るためという。レジャー産業では、プール中心のレジャー施設「東京サマーランド」を運営する東京都競馬が15%以上安い。

第一生命経済研究所のレポート「今年の猛暑は消費を増やすか、減らすか?」(8月2日)は、「今年については、気温の上昇が行き過ぎたことで外出の手控えが生じた可能性」があるとして、百貨店などの苦戦を指摘する。また、冬に台風や大雪の影響で野菜価格が急上昇し、1〜3月期の個人消費が下押しされたことから、記録的な豪雨と暑さが相まって、「今後も野菜価格の上昇が続くようであれば、7〜9月期の個人消費が再び落ち込む可能性も出てくるだろう」とも予想。結論として、「個人消費は均せば緩やかな増加基調とはいえ、天候次第で振らされる程度の強さでしかないともいえる。足元の景気は鈍化しつつも回復傾向が続いているが、それはあくまで輸出と設備投資を中心とした企業部門主導の回復という状況は変わっていない」としている。

景気全体では、米国・中国を中心とする貿易摩擦・貿易戦争、さらに米・トルコ関係の緊張に伴う途上国通貨下落など世界経済の不確定要素が続出しており、猛暑のマイナス効果も考えれば先行きを楽観できる状況ではない。

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