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「トルコの次は中国経済がヤバイ」は本当か


トルコの次は中国?ということで「中国バブル」は崩壊するのだろうか。ぐっちーさんはまったく違う角度から中国の怖さを指摘する(写真:AFP/アフロ)

前回のコラム「なぜカープは東京から『お金を奪える』のか」からあっという間にわたくしの番になりました。引き続きわがカープは絶好調であります。「カープのことさえ書いていればアクセスが取れると思ってるのか」、という意地悪い書き込みもありましたが、すみません、こちらは50年来のカープファンですので、年に数回は広島の記事になるのです。


この連載は競馬をこよなく愛するエコノミスト3人による持ち回り連載です(通常は最終ページに競馬の予想が載っていますが、今回はナシです)。記事の一覧はこちら

さて、次回までにどうなるか……と書いた「トランプ劇場」も夏休みなのか、今のところさしたる話も「表面上なし」です。

しかし、アメリカにいますと、中国の切り札とでもいうべき、王岐山(国家副主席)の話があちこちで聞かれるようになってきました。結構神出鬼没でして、ああ見えてちゃんと両国のコミュニケーションラインは確立されていると思われます。

アメリカのビジネスマンにおける王岐山に対する信頼感は、みなさんの想像を超えています。ああいうタイプの人がいて、それを側近に置いているのが習近平の強みでしょうか。水面下ではしっかり動いているので、前回も書いたように「中国が一方的にやられる」というシナリオは、大間違いです。

トルコで「通貨危機」が起きても…

そうこうしているうちに、「紛争」はトルコに飛び火(というか残り火が再炎上したというのが正解)してまいりまして、まだ結構な話題となっています。中には「今度は通貨危機だ」などという言葉も飛び出すなど、まあ、メディアというのはつくづく罪な存在だと思います。貿易戦争もそうですが、トルコ一国あるいはその通貨がほとんど無価値になったところで、世界経済が危機的な状況に陥るというのはありえないわけです。

世界経済はトルコに大きな危機があったところで吹き飛ぶほど小さくはない。欧州の金融機関が大量に融資しているといわれていますが、もっと大きな南米の危機時にも世界経済は大きな影響を受けなかったわけですから、規模感が違います。

そもそも、両国の関係がこじれた直接のきっかけは、ドナルド・トランプ大統領によるアメリカ人牧師・アンドルー・ブランソン氏拘束に対する猛烈な批判、それに対してレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は「応ずる気がない」、と言い出した「一連のもめごと」と言われています。

しかし、一方でトルコ経済自体のインフレ体質、経済不振はここ最近の出来事ではなく、もう昨年には表面化していました。ですからトルコリラが今さら急落するといって驚くこともないわけで、元々いつ急落してもおかしくありませんでした。いわゆる高金利通貨国で経済が極めて順調だなんて国は今ではありませんから、それが何にせよ(ブラジルレアル、南アフリカランド、ルーブルその他)この手のリスクはつねに存在しています。

トルコについていえば、2001年に金融危機に陥り事実上破綻、IMF(国際通貨基金)の管理下に入ったことがあります。例によってIMFは強烈な管理経済を敷きますので、国民の不満が爆発、それを受けて出てきたのがエルドアン大統領です。そのエルドアンは見事に経済を立て直し、2013年にはIMF向け債務を完済し、経済の立て直しに成功しましたから、トルコ国民にとってはある意味ヒーローなのです。

ですから、あれだけ支持率が高く、今のところ政情不安には至っていませんが、今のような経済情勢が長引けばもちろんその限りではありませんし、いつも書いているように通貨高で倒産した国はなく、通貨安で倒産する国は枚挙にいとまがありません。従ってトルコがそうなってもあまり驚きはありません。

「通貨とは何か?」を改めて考えるきっかけに

ここでの教訓があるとすると、「通貨とは何か」ということを改めて考えるいいきっかけであるということでしょうか。

仮想通貨のときも書きましたが、仮想通貨は、資産か国家権力が裏付けとなるならともかく、実際には発行体の信用力しかありませんから(それもどこの馬の骨なのかもわからない)、その「価値」は幻想(まぼろし)でしかなく、いつゼロになってもおかしくありません。そのものに価値があるように考えている人が多くいるのは驚きです。

ですからトルコリラにしてもドルにしても、もっと言うなら円にしても資産、経済力、国家権力、場合によっては軍事力の裏付けがまずあるのか否か、という点が決定的に重要で、それを前提条件に「円がいい」「ドルがいい」、という選択肢が成り立つわけであって、その前提条件さえ満たせないトルコリラのような通貨を、分散投資のツールの1つに使っていることがそもそもおかしいわけです。

高金利通貨と言われるものは「資産」の段階でもうだめですし、まして経済力となればもう吹けば飛ぶようなもので、国家権力も安定していませんし、円と比較する資格すら有しません。

こんなものを売っていて「投資は自己責任」などと言われてしまうのもどうかと思いますが、投資家保護の観点からはこういう事実をきちんと説明することが必要でしょう。つまり「今は高金利でもうかりますが、最後は危ないですよ、だから安いんですから」と、銀行員や証券マンがきちんと説明する……わけないですよね、現実は。

世の中、ハイリスクハイリターン。ノーフリーランチ。この機会に肝に銘じておきましょうね!

中国経済は本当に大丈夫なのか?

「じゃあ、ついでに中国はどうなんだ」、というご質問も最近よく受けるのですが、あそこは習近平国家主席がどうするかをすべて決定できるので、そもそも危機になりようがありません。

いくら危機に見えても「これは中国政府が管理するので危機ではない」、と言い切るに決まっています。ですから中国の場合は、その中国政府の管理が不能になるほどの巨大な危機が迫りくるまでは、なんてことはないわけですね。

もう1つのシナリオは、習近平が常識外の行動をとる、というリスクです。たとえば今「破綻するのでは……」と問題になりはじめた、政府系金融機関などの企業に対する融資については、表面上中国政府が返すようなことを言っていますが、契約書を見てみると、保証するなんて文言は例によって一言も書いてありません。つまり契約書上は保証する必要はまったくない。ただ、民間企業ではない政府系企業や地方政府あるいはそれに準ずる組織についてはレーティング会社も結構高い格付けを付けたりしていて、西側の金融機関が融資している、というケースはかなり多いと見られています。

まさに怖いのはこういうケースで、「さすがに政府系企業は見捨てないだろう」、と信じ込んでいると危険ですよ、ということです。「だって保証なんてしてないもん」、と習近平が言い出す可能性は高いと私は見ていますが、今のところ市場はまったく無警戒です。危ないのはこういうケースなんですね。実は中国は過去からこういう事例には枚挙にいとまがなく、突如のルール変更で撤退を余儀なくされた(=大損をした)日本企業は多数あります。

一人の権力者が何でも決められるような国にお金を置いておきたい人がいるわけもなく、外に持ち出せる富裕層はなんとかして資産を持ち出し、海外に持っていこうと必死の努力をしているわけです。そんなときにわざわざ飛び込むのは……「飛んで火に入るなんとやら」、であります。くれぐれもご注意ください。

(コラムはここで終了です。競馬予想コーナーは夏期期間中、原則お休みとなります。ご了承下さい)

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