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医学部合格に必要な「異常に高すぎる最低点」


医学部合格には相当な覚悟が求められる(写真:Fast&Slow/PIXTA)

高校3年生にとって、夏休みは、進路を定めなければならない重要な時期。医学部に進むべきかどうか、まだ悩んでいる受験生と親御さんを対象に「医学部受験のスペシャリスト」である代々木ゼミナールの加藤広行さんがその心得を解説する。第2回のテーマは「覚悟」(次回は8月22日配信予定、初回はこちら)。

言うまでもないが、医学部に合格するためには、つらい勉強に耐え、全国から集まるライバルに勝つ覚悟が必要だ。さらに、医学部合格は「ゴールではなく1つの通過点」であって、医師をやめるまでは一生努力・勉強を続ける覚悟も必要だ。

「覚悟」なくして、最難関の医学部に合格できない。

とにかく高得点が必要


連載一覧はこちら(今回が第2回です)

国公立医学部の一般入試は、大学入試センター試験と各大学の個別試験(以下、2次試験)との合計点で合否が決まる。センター試験と2次試験の配点比率や、各教科・科目の配点ウェートなどは「各大学が独自に設定」している。

全般的な傾向は次の通りだ。

●センター試験は5教科7科目(東京医科歯科大学の後期日程のみ4教科6科目)が必須で、目標点は「全教科平均で90%」
●募集人員の約9割を占める前期日程では「2次試験重視の大学が主流」で、センター試験で目標点が取れても「合格は確約されない」

7科目平均で90%の得点率が目標――。前期日程の合格者平均は例年、概ね85〜95%の範囲にある。そのため、90%と高めに目標を設定する必要がある。

90%となれば当然、英語・数学・理科の主要教科だけでなく、「国語・地歴公民の文系教科も含めて」高得点が求められる。レアケースではあるものの、センター試験で80%前後(70%台後半も含む)の得点率だったにもかかわらず、2次試験で高得点を取って合格する受験生もいる。

だが、初めから最低ラインを当てにすることは、最難関の医学部受験において「目標設定が甘すぎる」と言わざるをえない。



全科目平均90%が「いかに高いハードル」なのか、詳しく説明しよう。

上表は、センター試験の国語と数学Bについて、過去10年間の平均得点率を示したものだ。全科目で90%が目標であるのに対し、この10年間の最低点は「国語が49.3%、数学Bに至っては39.3%」という惨状だ。

医学部志望者以外も含めた全受験生の平均ではあるものの、この2科目の状況を見るだけでも、全科目で90%得点するのがいかに難しいかわかる。

国公立と私立の入試状況には「ケタ違いの格差」

国公立の一般入試では2校までしか受験できない。さらに、センター試験7科目で90%というハードルによって、「倍率には一定の限度」が存在する。

一方で、私立医学部の一般入試の全般的な傾向は次の通りだ。

●受験校数の「制限はない」。日程の重複などがなければ、「何校(何方式)でも受験が可能」
●必要科目は英語・数学・理科2科目が基本で、国公立よりも「負担が軽い」

倍率の高さ(合格率の低さ)は国公立とはケタ違いだ。参考までに2018年度入試の各データを紹介しよう。

国公立の前期日程で志願者数が最多だったのは名古屋市立大の599人、合格者は74人で倍率は8.1倍。これに対して、私立の一般入試で志願者数が最多だったのは帝京大の8499人、合格者は161人で倍率52.8倍。

このように、国公立と私立の入試状況には「ケタ違いの格差」が存在する。



上図は、私立の2018年度入試について、一般入試とセンター試験利用入試、それぞれの合格率の高い例と低い例を示したものだ。

志願者数と最終合格者数で算出すると、合格率の高い大学でも「12〜13%程度」にとどまる。低い大学に至っては、「わずか2〜3%の狭き門」と、かつての司法試験並みの厳しさだ。

センター試験利用入試を実施しているのは、2018年度入試で31校中の17校(産業医科大はセンター試験が全員必須)と限定的だ。実施されていても募集人員(合格者数)が少ないため、合格率は「一般入試よりもさらに低下」する。

合格者数の公表が正規合格者のみ(補欠合格者が非公表)の大学もあり、実際の合格率は判明データより高いケースがあるものの、私立の合格が「至難の業」であることに相違はない。

合格には相当な覚悟が必要

医学部受験は全国から集まる強者たちと「しのぎを削る争い」だ。

医学部受験の準備に早すぎるということはまったくない。医師になりたいと思ったら、その日、その瞬間から準備を始めるべきだ。そういった気持ちや努力がないと、データで説明した通り、合格するのは困難だ。

1浪して北海道大学に合格した受験生はこうアドバイスする。

「医学部受験は全国から集まるライバルたちと争う戦い。自由になる時間はすべて勉強に捧げるべきだ」

現役・浪人にかかわらず、実際にこれくらいの「志と覚悟」がないと、医学部には合格できない。今の受験生はついついスマホに手が伸びてしまうのではないか。使用する時間を決めておくなど、まずは「勉強に専念できる環境づくり」が必要だ。

勉強を進めていく際には多くのスランプもあるだろう。模擬試験の成績などでなかなか結果が出ないこともあるだろう。とはいえ、医学部合格のためには、そういった「1つ1つの困難を乗り越えていく」ことが不可欠だ。

「覚悟」なき受験では最難関の医学部に合格できないことが、これでわかってもらえただろう。

医学部合格は「1つの通過点」にすぎない。合格後も数々の苦難が待ち構えている。大学での講義で解剖実習などが始まると、専門的な内容へと一気に深化していく。

2023年以降、アメリカ医科大学協会か世界医学教育連盟(WFME)の基準で評価を受けた医学部の卒業生しか、アメリカの医師免許試験を受験できなくなる。これに対応するため、医学部では現在、「医学教育の国際化・国際基準への対応」が進行中だ。

これにより、在学中の臨床実習もかつての「見学型」から「参加型」にシフトされている。早期化・長期化などもあわせて、「質・量ともにハード」になっているのが実情だ。

「強い志」と「覚悟」をもって受験を

医学部卒業前の最終関門が卒業試験と医師国家試験だ。

国家試験は2018年2月実施分から問題数が500題から400題に、日数が3日間→2日間に変更された。とはいえ、合格が大変なことに変わりない。膨大な勉強量が必要となることに加えて、卒業試験をパスできないなど、状況によっては国家試験を受けられないこともありうる。

医学部卒業・国家試験合格もゴールではない。

研修期間を経て進路(開業医・勤務医・研究医など)が最終決定した後も、医師は「一生勉強が必要」だ。医学は日進月歩なので、自らの知識・技能を常に最新の状態にアップデートしなければならない。

そうでなければ、最新の医学・医療から自分だけが取り残されてしまって、救えるはずの命が救えない。

医師を目指す受験生は「患者や家族のため、世のため人のため、日本と世界の医療のため」に貢献できるよう、「強い志」に加えて「覚悟」をもって臨んでほしい。

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