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「8050」問題が深刻化!精神的・経済的に限界を迎える、引きこもり当事者の親たち

 「引きこもり」という言葉が世に知られるようになってから、およそ20年。今、40代〜50代の引きこもり当事者と、70代〜80代にさしかかり、精神的・経済的に限界を迎えている親たちの問題がクローズアップされている。16日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、引きこもりによって生活に行き詰まる親子の問題を考えた。

 内閣府が公表した調査(H30年度版『子供・若者白書』)によると、16〜39歳の引きこもり当事者は全国に約54万人いると推計されているが、実は40歳以上に関しては調査から外れているのだ。国は今秋以降に調査すると発表しているが、「大人の引きこもり」が多数存在していると考えられる。

 去年12月には北海道札幌市で82歳の母親が寒さと飢えにより死亡、その後、長年無職でひきこもり状態だったという52歳の娘も死亡するという事件が起きた。2016年には新潟県三条市でひきこもりの50代息子を殺害後、70代の母親が自殺するという事件も起きている。遺書には「夫の元へ息子と共に行く」と書き記されていたという。

 引きこもりになったきっかけとして多いのは、「職場になじめなかった 23.7%」「病気 23.7%」「就職活動がうまくいかなかった 20.3%」「不登校(小学校・中学校・高校) 11.9%」「人間関係がうまくいかなかった 11.9%」「大学になじめかった 6.8%」「受験に失敗した 1.7%」などがある。

 20年以上にわたって引きこもりを取材しているジャーナリストの池上正樹氏は「日本社会は他人の評価を気にし、比較をしてしまう価値観があるし、レールを一旦はずれると元に戻れなくなっている。そういう中で親は他人の評価を気にして正社員になれと圧力をかける。でも本人はそんなところどこにもなくて、苦しめられている。地域や周囲から隠すため、誰にも相談しないというケースが多い。親の世代、特に70〜80代になるとプライドもあるし、なかなかSOSを発信しない。親のマインドを変えることで引きこもりが解決するというケースもある」と指摘する。

 社会との関係を拒絶する彼らと10年以上にわたって向き合い、自立への支援活動を行う「ワンステップスクール伊藤学校」校長の廣岡政幸氏は、「引きこもりに陥る人には真面目な人が多い。すごく優しくて、人間関係の中でも波風を立てないようにする人が多い。原因は人それぞれだが、色々な問題を抱えて心が疲弊している状態なので、何がなんでも外に出ろとか、自立しろと強要するのは本人たちにとって酷」だと話す。

 その上で廣岡氏は、80代の親と50代の子が社会から孤立する「8050問題」が深刻化していると指摘。「親だけが原因というわけでもない。日本は原因を特定して、責任の所在がどこにあるかということから始まる。親は自分の子育てに問題があったのではないかと抱え込んでしまう。だから"見守りましょう・待ちましょう"では、親がどんどん孤立してしまう」と訴えた。

 ワンステップスクール主催の集まりに参加した、20代の息子が引きこもりだという女性は「息子が夜中にコンビニに行くたびに生きているんだと思う。だから眠れない。でも自分の家の恥のような気がしていて、誰にも助けを求められなかった」と明かした。また、40代の娘が引きこもりだという女性は「家に人が入ってくることに対して拒否反応がある。"来るな来るな""帰れ帰れ"とか独り言を言う」と打ち明けた。

■"ボタンの掛け違い"で対立が長期化する親子関係

 ある日、廣岡氏の姿は茨城県にあった。21年にわたって引きこもり生活が続いている51歳男性の母親から相談を受け、本人を交えて直接話し合うためだ。

 息子は東京で就職したものの、体調不良を機に29歳ごろ退職。それからはアルバイトをするも長続きせず、親を頼って暮らしている。父親は9年前に他界、母親は74歳になっている。男性は29年前に統合失調症との診断を受け、現在は障害年金約6万円を受給している。今後は働きながら一人暮らしを考えているというが、今は"まだ暑い"という理由から、9月以降に就職活動をする予定だと話す。

 "早い段階で自立させたい"。そう願う母親の意を汲んだ廣岡氏は「この家庭はお母さんがいなくなってしまうと家計を維持できなくなってしまうが、体力的にも精神的にも年齢的にも、面倒をみるのが難しい年齢に入ってきている」と語りかけ、スクールで自立支援を受けるよう説得を試みる。長期間社会生活を行なっていない彼が、いきなり自立するのは難しいと考えている廣岡氏は、精神科医や臨床医師などの専門家の支援が可能なスクールへの入寮を提案。しかし男性は「できれば人とあまり接したくない」と一蹴した。

 男性は「面倒はもうほとんど見ていないに等しいと思う。気持ちの中であったとしても。母は面倒をみているつもりなんでしょうけど、家にいるだけの話で金銭的にはシミュレーションできているし、計算もできている」と反論。

 「もう無視してもらっていいから。お母さんに養ってなんて言ってないよね?」

 「ここに住んでるんでしょ?住んでるっていうのは養ってるってことなんだよ!50歳の男が昼間ゴロゴロしてる姿見られると思う? 」

 「俺は一人でいいと思ってるんだよ、死ぬ時も一人でいいと思ってる」

 と、母子の話し合いは口論のようになってしまった。普段はメモを残してお互いの意思疎通をしているそうで、面と向かっての会話は久々だったという。

 「親子はいがみあい、憎しみあうものではない。でもほんのちょっとのボタンの掛け違いで5年、10年と対立が長期化していく。そこに僕らが間に入って交通整理をするだけで解決することもある。1人でも多くの親や本人たちが元気になればいい」。廣岡氏は「自分で考えたい」という男性の気持ちを尊重し、2か月経って状況が変わらなければ支援スクールに入る約束を取り付けた。

■「彼らも自立しないといけないと考えている」

 廣岡氏が校長を務める「ワンステップスクール」は、ひきこもりや不登校などの問題を抱える人のための全寮制学校で、職業訓練を通じ自立を目指して共同生活をする。これまでに1000人以上が卒業し、自立した生活を送ることに成功している。現在10〜40代の約160人が在籍しているが、このうち半数近くが30歳以上だという。

 廣岡氏は「我々のところは、自分と同じような境遇の人と一緒に生活をして、ゆるやかに人と関わり、孤立から脱却し、色んな情報に触れながら、自立に向けた計画を立てていく。彼らも自立しないといけないと考えている。ただ、彼らにとっては社会に"普通"を求められること自体が恐怖。一歩を踏み出すハードルは高い。引きこもりは当事者だけでなく、家族も孤立してしまう。我々は最後の砦であって、経済的にも精神的にも限界を迎えて相談にくるケースが多い。もっと前の段階で本当は色々な支援団体に相談することが大事。家族だけで抱え込まないで、まずは行政や支援団体に相談に行った方がいい」と話す。

 国の対策・支援としては、66の都道府県、政令指定都市に行政・ハローワークなど関係機関と連携した「ひきこもり地域支援センター」や、各県や市町村にて地域に潜在する当事者の早期発見を促す「ひきこもりサポーター養成研修事業」、研修修了者が当事者宅を訪問する「ひきこもりサポーター派遣事業」などが設置されている。

 池上氏は「周囲の空気が変わらないといけない。まだ偏見が強いところがあるし、行政の支援が失敗してきたのは、"若者就労支援"という昔の制度設計のままで支援をしていたから」だと指摘した。

 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「日本は共同体への帰属が過剰な部分があり、"学校に行けなくなって中退しました。ブラック企業に入って辞めました"というケースも、学校や会社から全人格の没入が求められていることが背景にあると思う。世の中には小さな共同体がたくさんある。気楽な"つながり感"というのを、日本社会が作らないといけない。また、終身雇用モデルも崩れてきていて、正業・副業という境目も亡くなってきている。在宅でできるクラウドソーシングの仕事も最近はたくさんあるので、そういうのを活用しながら、ひきこもって行きていくことも可能ではないか」とコメントした。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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