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イヤホンなのに音楽が聴けない? ボーズが睡眠用イヤホン「Bose sleepbus」を発表

現代人の心のストレス、身体の病は「不眠」にも起因しているといわれています。特に人口が密集する都市部に暮らしている方は、日々様々な種類の騒音に囲まれがちなので、不眠・寝不足に悩みやすいともいえるのではないでしょうか。

 

これまで不眠への対策としては食生活を改善したり、寝付きを良くするためのサプリメントや薬剤を採り入れる方法が一般的だったかもしれません。今回筆者はアメリカの人気オーディオブランドとして知られているボーズが「睡眠改善をサポートするイヤホン」という、目の付け所が斬新なスマートデバイスを開発したと聞いて、ニューヨークで行われた新製品発表会を取材してきました。

 

↑心地よい眠りをサポートしてくれるイヤホンを多くの人々が待ち望んでいるであろう、大都市・ニューヨークでボーズの新製品発表会が開催されました

 

音楽を聴けない睡眠用イヤホンとは?

ボーズが発表した新製品は「BOSE noise-masking sleepbuds」という、見た目には完全ワイヤレスイヤホンのかたちをした画期的なデバイスです。円形のケースのフタをスライドさせて開けると、中からとても小さなイヤホンがふたつ顔をのぞかせます。ボーズからは音楽リスニング用の完全ワイヤレスイヤホン「Bose SoundSport Free wireless headphones」が既に発売されていますが、こちらの新製品はサイズが一回り以上もコンパクトで軽いのが特徴です。

 

↑完全ワイヤレスイヤホンのようなルックスの「Bose noise-masking sleepbuds」。アルミケースがとてもスタイリッシュです

 

このBose noise-masking sleepbuds(以下:Bose sleepbuds)は、どんなことができる製品なのでしょうか。ボーズの新製品開発チームでシステムエンジニアとして活躍するダニエル・リー氏に訊ねてみました。

 

↑ケースから取りだしたイヤホンはとてもコンパクト。片方の質量は約14g

 

Bose sleepbudsはボーズが新たに開発した「ノイズマスキングテクノロジー」を搭載した入眠サポート用のイヤホンです。ケーブルのない完全ワイヤレスイヤホンのデザインによく似たBose sleepbudsの本体にはフラッシュメモリーが内蔵されていて、10種類の「sleeptrack」がプリインストールされています。使用時にはまず本体を両耳に装着して、BLE(Bluetooth Low Energy)に対応するiPhoneまたはAndroidスマホとペアリングします。

 

↑専用アプリ「Bose Sleep」のシンプルなメインメニュー

 

スマホに専用アプリ「Bose Sleep App」をインストールしておくと、10種類の音源選択やボリューム操作、目覚ましやスリープタイマーなど本機の機能が設定できるようになります。ちなみに10種類のsleeptrackとは「いびき」や「ざわつく人の声」「交通騒音」など、不眠の原因になりがちな生活ノイズを効果的にマスキング(打ち消す/覆い隠す)するためにボーズが独自に開発した技術に基づいて作られた特殊な音源です。

 

↑アプリには10種類のsleeptrackがプリインストールされています。今後ソフトウェアのアップデートによって、新しいトラックが次々と追加される予定なのだとか

 

Bose sleepbudsはイヤホンの形をしていますが、ユーザーが好きな音楽を聴くためのものではありません。スマホとペアリングしてアプリから操作するように設計されていますが、Bluetooth接続はイヤホンをリモコン操作するためのものでしかなく、スマホから音楽をストリーミング再生したり、楽曲ファイルをイヤホンの内蔵メモリーに転送・保存して聴くといった使い方はできません。「なぜならノイズマスキングとは科学であり、単にイヤホンを装着してリラックスできる音楽を再生するだけでは心地よい睡眠をサポートすることができないからです」とリー氏が本機ならではの仕様の理由を説明しています。

 

また、ボーズといえば独自のアクティブノイズキャンセリング機能を搭載するイヤホンやヘッドホンがあまりにも有名ですが、Bose sleepbudsに搭載されているのはノイズキャンセリング技術とは異なるものです。

 

「昼間に目の覚めている状態で生活している時に、周囲のノイズを消して集中力や生産性を高めるためにはQuietComfortシリーズのような当社のアクティブノイズキャンセリング技術を搭載したオーディオ機器が有効かもしれません。でも、夜間に眠るときには必ずしもそうではありません。静かな環境の中できこえてくるノイズの性質を理解して、より効果的なノイズマスキングを実現することに私たちボーズの開発チームは注力してきました」(リー氏)

 

↑Bose sleepbudsの開発に携わったシステムエンジニアのダニエル・リー氏

 

リー氏によれば、QuietComfortシリーズのようなアクティブノイズキャンセリングヘッドホンは、継続的に響いているロードノイズやファンノイズのような低域付近の不快なノイズを打ち消す効果には優れているものの、独自のアルゴリズムはいびきや人の声を消すためには設計されていないそうです。

 

またQuietComfortシリーズはそもそも音楽を聴くためのポータブルオーディオ製品なので、大型のバッテリーにDSP、より強力な通信用モジュールなどを搭載する必要があります。そのためサイズが大きくなってしまうので、飛行機に乗って旅する時など一時的に静かな環境を得ることには向いているものの、耳や頭に装着して毎日ベッドで眠る時に使うデバイスとしては最適ではありません。

 

ボーズが得意とする「音」まわりの研究技術を活かしながら、睡眠をサポートすることに特化したイヤホンを、「Comfortable(快適)・Efficient(高効率)・Effective(効果的)」であることを重視して作った製品がBose sleepbudsなのです。だからこそのこのサイズ感、シンプルな操作性が実現できたのだといえそうです。

 

装着していることを忘れそうなほど快適

今回筆者もニューヨークのホテルで開催された発表会のデモンストレーション会場でBose sleepbudsを体験してきました。

 

↑筆者もデモンストレーションを体験してみました。日本で発売されるときにも効果を事前に体験できるスペースができるといいと思います

 

イヤホンは確かにびっくりするほど小さいです。最近のボーズのイヤホンを使っている方にはお馴染みのStayHearシリーズのシリコンイヤーチップは本機専用に作られている「StayHear+ Sleep tips」。柔らかくて、耳のくぼみにぴたりとフィットする装着感がとても快適です。

 

↑ダミーヘッドに装着。スタイルはこんな感じになります。スタビライザー付のイヤーチップがしっかりとしたフィット感を実現します

 

イヤーチップを外してみると、本当にここにバッテリーや電気回路などが入っているのか不思議に感じるほどのサイズ感。例えとして適切かどうかわかりませんが、M&M’sのチョコレートひと粒ぐらいの大きさです。耳に着けてみても、イヤホンを装着している実感がすぐに消えてしまうほど体に馴染んでしまいます。ベッドに寝転んでもみましたが、イヤホンがゴツゴツとする不快な感触もありません。

 

↑イヤーチップを外してみたところ。本体はとても小さい

 

↑本体は1ペニーコインぐらいの1cm四方のサイズ感

 

↑内部構造はとてもシンプル。ボーズのイヤホン製品としては初めてBA型ドライバーが採用されています

 

 

気になる騒音だけをマスキング

デモンストレーションではスピーカーを使って周囲にいびきや生活騒音を擬似的に発生させた環境の中で、数種類のsleeptrackの効果を試すことができました。いびきに対しては「Rustle:木々のざわめき」、生活ノイズに対しては「Downstream:川のせせらぎ」など、それぞれに最適なsleeptrackを再生すると、不思議と気になるノイズだけが効果的にマスクされます。

 

イヤホンのメモリーに内蔵されている音源は、それぞれに尺が32秒ほどと短くデータ容量の小さなファイルをループ再生する仕組みになっています。リー氏は「寝ている間もずっと再生しておけば、不意に発生したノイズで目が覚めてしまうこともなく安心して眠っていただけると思いますが、反対に音が鳴り続けていることが気になるという方のために、一定時間で再生をストップするスリープタイマーも用意している」と解説。繰り返しになりますが、本機が搭載するノイズマスキングテクノロジーはアクティブノイズキャンセリング機能ではないので、マイクで周囲の音を解析してノイズを打ち消すようなことはしません。sleeptrackの再生音量も眠る前にあらかじめ心地よいレベルに設定しておく必要があります。ユーザーにとって複雑に感じられる機能は搭載していないので、シンプルに使いこなせるところがBose sleepbudsの良い所だと思います。これなら私も習慣的に使えそうだと感じました。

 

↑アラーム機能なども備える

 

Bose sleepbudsは北米・カナダから先行して6月21日に発売されました。アメリカでの販売価格は249.95ドル(約2万7500円)。日本での発売は今年の秋を予定しているそう。

 

いくら装着感が安定しているとはいえ、寝ている間に身に着けて使う製品なので、もしかすると朝目が覚めたら何かの拍子でイヤホンが耳から外れていて、どこにいったか見当たらなくなることもあるかもしれません。その場合はイヤホンを“買い直し”することもできます。ただ左右のペアリングをあらかじめ済ませた製品が必要になるので、片方ずつではなく両方を同時に買い直すかたちになります。価格は162ドル(約1万7900円)を予定しています。

 

音質や消音効果が音を鳴らしてすぐにわかるノイズキャンセリングイヤホン・ヘッドホンとは少し毛色の違う製品なので、ノイズをマスキングしてくれるイヤホンの効果がどれほどのものなのか、Bose sleepbudsに興味を持った方々が体験して購入を決められる機会が数多く設けられると良いですね。また秋の日本発売までに、より詳しい体験レポートなどもお届けできればと思います。

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