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1億再生も生み出せる新世代YouTuberの正体


キズナアイを筆頭に「VTuber」への注目が高まっている(画像:A.I.Channel/YouTube)

「ええとぉ……。見えてますか〜? (両手を耳に当てて)ん〜聞こえてるかなぁ?」

YouTubeの画面上で、かわいらしい振り付けと表情でこちらに語りかけてくる美少女。彼女の名前は「キズナアイ」。今年、2つあるYouTubeチャンネルの合計登録者数は270万人、累計動画再生回数は1億回を突破した人気ユーチューバーだ。ただ、彼女は、ヒカキンやはじめしゃちょーを代表とする人気ユーチューバーとは大きく異なる特徴を持つ。それは、彼女が生身の人間ではなく、「バーチャル」な存在であること。

現在、こうした3DCG(あるいは2DCG)で描かれた「バーチャルユーチューバー」(以下、VTuber)が注目を集めている。VTuberもユーチューバーと同様、YouTubeの動画番組をナビゲートするタレント的存在だ。毎月100件以上のVTuberへの新規参入が相次いでいる。

「VTuberは儲かる」とみた企業の積極的な姿勢も目を引く。グリーは今後1〜2年で100億円規模のVTuber事業に対する投資を予定しており、「ゲームやアニメ、VR(仮想現実)、コミュニティなど従来の事業とのシナジーやクリエーターとの協業によって、売り上げを年100億円規模にのせる」(広報担当者)と、鼻息が荒い。また、今月、ロート製薬がキャンペーンの一環として、VTuberを社員に起用すると発表したことも注目を集めた。

なぜこんなにもVTuberの人気が高まっているのか? また、ビジネスにどんな影響を与えるものなのか?

「VTuber」が人気になった理由

VTuberがもてはやされるきっかけを作ったのは、2016年11月にYouTube上に現れたキズナアイの存在が大きい。見た目は3DCGキャラクターだが、実際には「中の人」が存在している。男性がバーチャルな美少女に成り代わることも可能で、「なんだか暑苦しいおじさんが多い」とも評されるユーチューバー界隈とは随分様子が異なっている。

CGというと専用のソフトや機材が必要で難しそうなイメージがあるが、VTuberとしての配信は簡易的なものであれば、パソコンとWebカメラ、マイクさえあれば、スカイプのような感覚で手軽にはじめられるものもある。また基本的なCGの知識と環境さえあれば、それらの素材をもとに、自分好みにVTuberをカスタマイズでき、無料の変換サービスを使えば、男性でも女性のような声で配信を行える。

トップVTuberの多くは、CGの造形やそのアニメーションにもこだわり、声もプロの声優が担当するなどかなり大掛かりな制作を行っている。しかし、総じて特定の個人が前に出て自分の顔をさらしたり、身なりや個人情報の管理に気を配ったりする必要があるユーチューバーよりも、配信にあたってのハードルは低い。それも短期間のうちに広まった一因だろう。

ビジネスに与えるインパクト

現在、この新しいタレント=VTuberを活用したビジネスへの新規参入が相次いでいる。冒頭で紹介した企業だけでなく、DeNA やカドカワ、エイベックスなどもVTuber市場の成長に期待し、注力する姿勢を明らかにしている。

人気を集めるVTuberをうまくプロデュースできれば、ユーチューバー同様にアクセス数に応じた広告収入や、商品やブランドの宣伝を担うことで企業からのスポンサー収入が期待できる。もちろん自社について宣伝してもいいし、グッズ販売やイベント・ライブの開催によって利益を得ることも考えられる。

メリットはそれだけではない。取材によると、「ユーチューバーと『ファン』の構成が異なり、一般層への広がりもより期待できる」とも関係者は話す。

実は、VTuberの活躍の舞台はYouTubeだけではない。たとえば、キズナアイのツイッターの公式アカウントには、41万人を超えるフォロワーがいる。そして、そのキャラクターや世界観に触発された二次創作も盛んだ。「ギフト」という形で、フォロワーによるイラストが公式アカウントに送られ、公式アカウントからもそれに対する感謝や感想のリプライがあることも珍しくない。

ライブ動画をリアルタイムで視聴する「コアファン」に加え、ツイッターのフォロワーで構成される「ボリュームファン」、キャラクターの二次創作やその閲覧を楽しむ「派生ファン」、そしてオンデマンドで動画を再生したり、広告に接触する「ミドル・ライトファン」など、YouTubeやツイッターのフォロワー数だけでは測れない層にVTuberのコンテンツは訴求していく。

さらには、日本のアニメやマンガの人気が高いアジア諸国など海外への展開も期待できる――大手企業がVTuberに注目を寄せるのはそういった背景もある。

とはいえ、さまざまな試行錯誤が続く中、ユーチューバー同様に「炎上」などのリスクも存在する。世界初のVTuberともいわれるキズナアイの誕生から1年と半年あまり。多くのVTuberもスタートから1年程度と、この新しいタレント(才能)が、どのように支持され、どこまで広がりを見せるかを予想することは現段階では難しい。

現在、BS日テレで毎週放送されているキズナアイの冠番組「キズナアイのBEATスクランブル」は、VTuberが初めてテレビ番組に出演するとなって注目を集めた。しかし、今年4月の放送開始からまもなく番組内容があまりにもひどすぎるとして、スポンサーがツイッターで批判を展開、提供を降りるという事件が起こった。この件は低予算を理由に再放送が繰り返されたり、安直とも見える番組内容であったりしたことが原因とみられている。

再生数に応じた広告収益がその運営を支える以上、過去にユーチューバーが起こした騒動と同様、「目立つために露悪的な行動をする」VTuberが出てくることは想像に難くない。運営事業者による監視やペナルティ付与の体制が十分に整い、悪質な投稿者が淘汰されるまでは、VTuberも残念ながら子どもに手放しで見せられるメディアではないのもまた事実だ。

「仮想空間」でのライブや交流が実現する可能性も

一方で、VTuberには、そのコンテンツが広がる空間をYouTubeという2次元だけにとどまらない力を秘めている。たとえば、最近注目を集めている「Oculus Go」などのVRゴーグルを活用することで、VTuberや視聴者が仮想空間に集まって、見るだけにとどまらないリッチなコミュニケーションが取れる可能性が現実のものになりつつある。

オキュラスは、すでに多人数参加型のVRライブ配信サービス「Oculus Venues」をリリースしている。このサービスは、アバター(分身となるキャラクター)に扮したほかのユーザーと同じバーチャル空間で試合中継や音楽ライブなどの視聴を楽しむことができるというものだ。離れた場所にいても同じ場所で、フェイスブックの友だち同士で人気VTuberのライブ番組を参加しながら楽しむ、というスタイルがまもなく当たり前のものになるかもしれない。

2000年代前半に話題を集めた「セカンドライフ」で語られていたような3Dバーチャル空間での生活が、約15年の時を経て現実のものになろうとしている。いま、VTuberの活躍の範囲とビジネスの可能性は2次元空間であるYouTubeに縛られるものではないはずだ。

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