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スタバがまだない極東ロシアの「手づくりカフェ文化」

スタバがまだない極東ロシアの「手づくりカフェ文化」

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ロシア人は甘いもの好きで、ウラジオストクにはカフェの数がやたらと多い。とくに手づくり感覚の個性派カフェが多いのが特徴だ。なにしろこの町にはまだスターバックスがない。この種のグローバルチェーンが入り込んでいないことも、この街の魅力のひとつだ。

とはいえローカルの小規模カフェチェーンの店はいくつもある。坂道の多い港町の散策の合間に、ゆっくりとくつろげるスポットがどこにでもあるのは、実にありがたい。

この町にコーヒー文化を広めたローカルのカフェチェーンが「カフェマ」だ。どの店も席数はほどほどでこぢんまりとしているが、40種類以上のコーヒー豆があり、バリスタがその場で淹れてくれる。


ロシアの伝統菓子ブリャーニクとアメリカンコーヒー(ロシアではアメリカンが日本のブレンドに近い)

日本では1970年代頃から一般化したスタイルだが、同チェーンの創業は2002年。第1号店はウラジオストクではなく、極東ロシアのもうひとつの主要都市・ハバロフスクだ。現在では極東ロシアを中心に20店舗を展開し、ウラジオストクには4店ある。

起業はグーグルのやり方から学んだ

ロシアの飲み物といえば、広く知られているのは紅茶だろう。タイガの森でとれたフレッシュで濃厚なハチミツやジャムを舐めいただくのがロシアンティーの作法である(普通は紅茶自体にまぜたりしないそう)が、実はコーヒーの愛好者も多かったという。

カフェマの創業者ヴラジーミル・ヴィクトローヴィチさんは語る。

「ロシアでは昔から紅茶だけでなく、コーヒーも飲まれていました。各家庭にトゥルク(トルココーヒーをいれる道具)があったのです。いまでは世界中の国々と同様、コーヒー文化が人々を魅了しています」

ヴィクトローヴィチさんは昔からコーヒーが好きで、最初、海外から豆を仕入れて販売する仕事を始めた。しかし、そのうちカフェにも手を広げてみたくなり、「自分の好きなものを扱いながら、経済的にも利益を上げるという実験のつもり」で、現在のチェーンを開業したという。

カフェマでは、店に来たお客さんには、ただコーヒーを飲むだけでなく、心地よい体験もしてもらいたい。そのため、それぞれの豆の特徴を説明して、好きなものを選んでもらい、それをバリスタが淹れるというやり方を採用している。


「カフェマ」のバリスタ、マリアさん

「起業の際に参考にしたのは、グーグルのやり方です。ビジネスへの向き合い方や、従業員を一緒に働くチームとして構築していく手法が素晴らしいと思い、グーグルのような創造的な活動を続ける企業をつくりたいと考えました。こうした企業には、魅力的で創造的なスタッフがいるものです。お客さんに心地よい体験を提供するためには、スタッフ自身が仕事を愛し、喜びを得なければなりません」

ヴィクトローヴィチさんはこう語るが、実はスタッフのマネージメントについては、日本の企業からも学んだという。

「日本では、スタッフの選抜と教育について、企業が高い関心を払っているのは知っています。重要なのは、適正や能力に応じてきちんと人を配置すること。その結果、スタッフは自分の担当する仕事を好きになり、質の高い仕事を追求するようになります。これは私に言わせれば、教育というよりは遊びに近いことだと思いますが、こういうやり方が大事だと考えます」

グローバルチェーンを知らないゆえの自由

ヴィクトローヴィチさんの話はふたつの点で興味深い。いまでこそ、ロシアでは海外と同じような質の高いコーヒーが市場に出回り、誰もが気軽に味わえる環境が生まれているが、そんなに古くからの話ではない。カフェがこれほど街に出現したのも最近の話といっていい。

近隣国に目を転じると、このようなシーンは上海あたりでは2000年代に入ってから、中国の地方都市で2010年代、極東ロシアでも同じ頃から始まっている。

いまでは、われわれの取り巻く世界はグローバルチェーンに席捲されてしまった感がある。そこで提供されるスマートなサービスや快適さを否定するつもりはないが、その存在を未だに知らない人たちだけが持つゆるさや手づくり感覚を自由に楽しむ姿が、いまのウラジオストクにはあるのだ。

さらに、ロシア人であるヴィクトローヴィチさんが、グーグルのようなアメリカ西海岸発の企業文化に心酔していることが面白い。国際政治的には険悪に見える米ロ関係だが、太平洋に向けて開かれたパシフィック・ロシアの地に住む人たちにとって、それはむしろ受け入れやすいものなのかもしれない。

そんなウラジオストクのコーヒー文化を知るには、7月6日から8日までグム百貨店裏の路地で開催されるコーヒーフェスタ(kofevostok2018)に行ってみるといい。豆や器具などを扱うブースが出店し、コーヒー文化に関するワークショップやセミナーもある。


ウラジオストクのコーヒーフェスタの様子

日本人の目からみると、それほど目新しいものはないかもしれないが、そこかしこにいかにもロシアらしいセンスが感じられるフェスティバルだ。

連載 : 国境は知っている! 〜ボーダーツーリストが見た北東アジアのリアル
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