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不登校児をゼロにした元中学校長の「非常識」


大人の思い込みを子どもに押し付けるのでは、不登校はなくならない(写真:xavierarnau/iStock)

公立学校でもここまでできる。子どもを育てる“学校マネジメント”とは。『クリエイティブな校長になろう』を書いた広島県の平川理恵教育長に聞いた。

──広島県に赴任し、1カ月半ですね。

今までに40を超える公立の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校に足を運んだ。夏休みまでの約3カ月で県内23の全市町にあるすべての公立学校を回ろうと、むちゃな要望を事務局に出した。県議会開催などもあるので、7月17日を最終日として訪問する予定にしている。

──幼稚園を除いても県内の公立学校数は800校を超える?

市町立学校を合わせると、小中が714校。高校が94校、特別支援学校が18校。児童・生徒数は27万人を数える。

──前任の横浜市立中川西中学校のような、生徒数が1000人を超えるところは?

いくつかはあるが、小学校でも多いところで800人ぐらい。

──この本は横浜の中学校での話が中心ですね。

3月末に刊行して、校長としての8年に区切りをつけた。

教育界も理念が大事

──はっきりした理念を打ち出していますね。

10年前までビジネス界にいたが、そことの違いはおカネや利益のことぐらいであり、教育界も理念が大事だと判断した。校長としてもマネジメントのやり方は同じでよかった。

──「自立貢献」をモットーに。

広島県でも、自立貢献を教育の個人的な理念の柱としている。

皆さんも、たぶん今の日本の沈滞ムードを何とかしなければと思っていることだろう。だがその一方で、自分が頑張らなくても誰かがやってくれるとも思っているかもしれない。そういうメンタリティが大いにあると、校長就任時から、厳密に言えば10年前からずっと思っていた。覚えられないような教育目標を掲げるのではなく、一言でまとめた教育理念として、自立貢献を「上位目標」に掲げてきた。

──上位目標?

集会時のあいさつでも、中川西中の教育理念は自立貢献ですね、との言葉から必ず始めた。生徒の皆さんが教育を受けているのは、大人になったときに自立するため。貢献も大それたものでなくて、自分がいるから家族が幸せとか、あるいは友だちに迷惑をかけないとかいったことも貢献に値し、貢献にはいろいろな形があると子どもたちに言ってきた。

不登校生徒をゼロに

──不登校生徒をゼロにしたそうですね。

ドイツ発祥のイエナプランの考え方を多様に取り入れた。ただ、イエナプランは中でも初等教育との親和性が高い。中学校全体で採用するものではないととらえ、異年齢学級や自分で時間割を決めるなどの形で取り入れた。

中川西中では、30人いた不登校が今年はゼロという形まで改善され、前任の市ヶ尾中でも、600人の学校で不登校が16〜17人いたものが、転任のときにはゼロになっていた。

──全国では不登校が13万人を超えるとの統計も。


平川理恵(ひらかわ りえ)/1991年リクルート入社。1999年留学仲介会社を起業し10年間経営。2010年に公募で女性初の公立中学校民間人校長として横浜市立市ヶ尾中学校に着任。2015年に同市立中川西中学校長、中央教育審議会教育課程企画特別部会委員。2018年4月から現職(撮影:今井康一)

きちんと居場所を作ってあげる。そこにピカイチの先生を置き、その子に合ったカリキュラムを用意すれば、必ず学校に来るようになる。毎日でなく、その子が体調や状況に合わせて、登校するかどうかを自分の主体性で決める。毎日来なければいけないという呪縛から解き放つことも大事だ。

毎日、決まった席に座って、ただ「授業劇場」を見てばかりでは登校をボイコットしたくなる。自分から登校日を選ばせると、週休4日の子も日を選んで来る。大人の思い込みを子どもに押し付けるのでは、不登校はなくならない。不登校は今の教育を子どもが嫌だと言っている表れだからだ。

2割の子はノーと言っていると思ったほうがいい。この子らには違うものを提供しなければならない。小中高の時代は人と人との距離を理解する時間だ。この試行時間に引きこもりになったら、今後どうやってソーシャルスキルを構築するのか。その子の人生を考えたらつらいものがある。

──子ども目線で見よと。

私自身、学校に行って何を見ているのかというと、子どもたちしか見ていない。どんな様子で授業を受けているのか。楽しい顔をしているのか、しーんと静まり返っているのか。

実は、私自身が手書きしたインターナルコミュニケーション(職場報)を、教育委員会や教育事務所内などのトイレに張り続けている。この小学校には、あるいはあの中学校、高校にはどういう特徴があり、また私自身はどう感じたか。簡潔に書いて張ってもらっている。トイレで用を足す際に読んでもらう。トイレの活用はリクルート創業者の江副浩正さん仕込みなのだ。

いちばん変えたいところ

──いま一つ、脱・上意下達がモットーとも。

(湯崎英彦)知事になぜ私が教育長なのかと聞いたときに、とにかく忌憚なく意見を出し合う教育委員会にしてほしいと言われた。役割として教育長は存在するが、上下関係は意識しないでほしい。教育長から言われたことへの返答には、「はい」か「イエス」か「喜んで」しかないと思うのは、間違いだ。いちばん変えたいところはそこだ。現場主義に徹し、あくまで子ども目線で、インターナルなコミュニケーションを作り、物を言いやすい雰囲気づくりに努めている。


──国際バカロレア対応の県立中高一貫校ができるそうですね。

広島叡智学園中学校・高等学校(英語名はHiroshima Global Academyで、略称HiGA =ハイガ)。広島市と福山市の中間、竹原市からフェリーで20分ほど行った風光明媚な大崎上島に来年4月に開校する。中学校1学年40人、4年目から高校に外国人が20人入って1学年60人定員。全寮制で、通常学費の県立校にてインターナショナルスクールの環境で学べるチャンスになる。私としては、以前創設した留学仲介会社の留学コンサルティングの経験が生かせると思っている。

──ここでも「クリエイティブな校長」を貫徹できますか。

1年ごとにクリエイティブなことを手掛けないといけないと思っている。最低3つのコミットメントをしないと、プロとはいえない。教育の現場は管理型では難しい。どれだけクリエイティブさに磨きをかけられるかが問われている。

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