戻る


貧困の子を救う「子ども食堂」が抱える課題


代表の湯浅さん(写真:GARDEN Journalism)

子どもの貧困問題を背景に、2012年ごろから注目を集めるようになった「こども食堂」。
農林水産省でも、「地域住民等による民間発の取組として無料または安価で栄養のある食事や温かな団らんを提供する」場として定義され、(1)「子供にとっての貴重な共食の機会の確保」し、(2)「地域コミュニティの中での子供の居場所を提供」できる等の意義も認められています(出典)。
現在は、「貧困家庭の子どもに無料か安価で食事を提供する」という本来の機能に加え、「地域の交流の場」としての機能を持つようになったこども食堂も増え、急激な広がりを見せています。
社会活動家で法政大学教授の湯浅誠さんが代表を務める「こども食堂安心・安全向上委員会」が2018年4月に発表した調査によると、こども食堂の数は全国で少なくとも2286カ所に達しています(出典)。2016年7月の朝日新聞の記事で、「(2016年)5月末時点で少なくとも全国に319カ所」と報じられていることから考えると、この2年で約2000カ所増えたということになります(出典)。
ただ、地域の子どもたちのために何かしたいという思いから手弁当で始めたこども食堂も多く、その安全面を不安視する方もいるかもしれません。そんな中、「こども食堂安心・安全向上委員会」は、こども食堂が安心で安全な場所として認知され地域に存在し続けられるようにと、こども食堂の保険加入をすすめる新たなプロジェクト(支援を募集中)を始めました。このプロジェクトの意義について、代表の湯浅さんにお話を伺いました。

安心感を育てる基盤強化のためこども食堂の保険加入を

:今回、こども食堂での保険の加入をすすめていこうとクラウドファンディングを行っていますね。必要性を感じた理由を教えてください。


本記事はGARDEN Journalism(運営会社:株式会社GARDEN)の提供記事です

湯浅:こども食堂を安心・安全な場にして、かつ、そういう場所として認知してもらうという両方の目的があります。こども食堂はいろんな人たちが自発的に立ち上げた場所なので、すごくしっかりやっているところもあるのですが、残念ながら保険にまで手が回っていないところも現実にある。そういう中で、底上げをして全体をしっかりとさせていく必要があります。

また、こども食堂のイメージが、「地域のおばちゃんが何かのきっかけで始めたので、安全面がきちんとしていないのではないか」と思われてしまっていることがあります。子どもたちがこども食堂の情報を知るきっかけは、親御さんが話してくれたり、地域の大人が話題にしてくれたりということなのですが、その大人たちの会話の中で「あそこ大丈夫なのか?」と誰かが言うと、「確かに心配だね」と話が止まってしまう。そうなると話題にならないので、結果的に子どもに情報が伝わらない。子どもたちがアクセスできるようにするには、「こども食堂は安心・安全な場所らしいね、大丈夫みたいだね」という雰囲気を広めることが必要です。そういう意味で、保険の問題は大事だねということになりました。


©︎こども食堂安心・安全向上委員会

:こども食堂のような仕組みに対しての保険というのは、もともとあるものですか?

湯浅:はい。「イベント用保険」や「行事用保険」と呼ばれるものです。1人28円の保険料で、転んでケガしたり、あるいは、万が一食中毒になることがあっても、その保険料ですべてカバーすることができます。もし参加する人が誰かわかっていれば、行き帰りの交通事故にも対応できる保険もあります。しかし、残念ながら場所によってはまだ保険に入っていないこども食堂があるということで、その部分をきちんとしていこうと。


©︎こども食堂安心・安全向上委員会

:今回のクラウドファンディングでは、各こども食堂が自分たちで負担することなく保険に加入できる、最初の費用手当を賄おうというものなんですよね。

湯浅:はい。3年分の保険料を賄うものです。正直、1人28円という頭数で計算するので、開催する頻度が多かったり、参加する子どもたちの人数が多かったりするところは、われわれが今回集める額では全額は賄えません。相変わらず持ち出しは続いてしまうところもありますが、それでもこうしてみんなに応援してもらい、3年の間にもっと「安心できる場所だ」という認知が広まれば、たとえば参加する子どもが増える、ボランティアさんも増える、場合によっては寄付も増えるかもしれない。場合によっては、お寺さんが「そういうことならうちの本堂を使っていいよ」と言ってくださるなど、場所を提供してくれる人が増えるかもしれない。そういう風に運営基盤が強化していけば、4年目以降は自分で回せるようになる、ということをイメージしています。


©︎こども食堂安心・安全向上委員会

:クラウドファンディングでの寄付集めを始めてみて、具体的にどういう声が印象に残っていますか?

湯浅:「この寄付は、子どもにそのまま手渡される食品になります」というものだったらわかりやすいのですが、「保険」って少しわかりにくいですよね。「基盤整備をしっかりとやることが、ひいては子どもたちに利益をもたらすことなんだ」「そういう安心感を育てることが健全な運営に結び付いて、それが子どもに及んでいくことなんだ」ということを理解してのコメント、反応というのは、「ああ、伝わったんだな」と非常にうれしいですね。「こういう基盤整備は大事ですよね」とか、「保険料は気になっていたんです」とか。

自発性と多様性を持って続けていけるように

:こども食堂の取り組みの価値が、いろんな形で各地で広まってきたのかなと感じます。こども食堂のアクションは、現場からそれぞれの思いで立ち上がった草の根的な広がりがここまできたという象徴ですよね。


©︎熊本県熊本市「こどもキッチンブルービー」

湯浅:すばらしいと思います。こども食堂の数は、2年間で約2000カ所増え、7倍になりました。きっかけは人それぞれあるのだと思いますが、「きっかけがあったら動く」という人がこんなにもいたんだということに驚きますね。日本社会の底力を感じます。

:一方で、「担い手の育成」の点はいかがでしょうか。地域によってはけんかして解散した場所があったり、一方で、あるところでは指導力のある人が運営し「プロの食堂だな」と感じる場所もあったりと、クオリティや技術にはけっこう差があると思います。

湯浅:おっしゃるとおりです。こども食堂は自発的に始められているものなので、それが「悪い」とは誰も言えない。でも実際には、その自発性と多様性はすばらしいけれど、だからといって、質が良くないものは放置しておくわけにはいかない。そういう中でバランスを取っていくのが大事です。しかし、中には子育てが終わったおばあちゃんが2人で始め、自宅で地域の子どもを集めているというところもあります。そこは、いろんな意味でしっかりしていないかもしれませんが、そういう人たちがやり続けられるようにしたい。そういうところもキャッチアップできるように応援したいというのが、今回のプロジェクトの目的の1つでもあります。

:クラウドファンディングの呼びかけ文にも書いていらっしゃいましたが、ちょっとしたトラブルが発生しただけで、逆に今度はたたかれてガラガラと崩れ落ちる。それだけは避けたいんだと。

湯浅:そこは大きいですね。これまでいろいろと失敗も経験してきましたので。「こども食堂が何年かかけてこんな風に育つと良いな」「こんな風に社会に受け入れられていけば良いな」と思って動いていても、一度食中毒などが起これば、やはりそれはマスコミにも大きく取り上げられるだろうし、もしかしたら国会で質問も受けて何か規制が始まるかもしれません。そうなると、「こういうものはこども食堂と名乗って良いけれど、こういうものはダメ」という線引きが行われて、今までの自発性と多様性が一気に失われてしまう。こういうことが今年起こってもおかしくない。そうなると、私が大事にしたいと思っている、おばあちゃん2人で始めたような小さいところほど、「あなたたちはやっちゃダメ」と言われるようになる。結局その人たちは、「ああ、やっぱり自分たちが手を出せるようなものじゃなかったんだ。最初から始めなければよかったんだ」と思って今後生きていく。そういう世の中はだんだん活発ではなくなっていくと思うので、そういうことが起こる前に整えていきたい。事が起こってしまってからでは遅いので、そこはとても危機感を感じています。

:保険に加入すると、加入した団体と接触する機会も増え、各現場の状況の聞き取りなどにもつながってきそうですね。

湯浅:そうですね。地域と連携が取れているところのノウハウを、そうではないところが学ぶとか、そういう機会ももっと増やしていきたいですね。


©︎こども食堂安心・安全向上委員会

:こども食堂を運営されている方々からの反応はいかがですか?

湯浅:今回は「全国200のこども食堂の3年分の保険料を」ということで集めているのですが、その200のこども食堂の人たちは、とても協力的で、日々たくさん情報や写真を寄せてくれるので、クラウドファンディングのページに活動情報を毎日更新できています。これを通じて世の中の人たちに理解してもらいたいという気持ちの表れです。44都道府県からの200団体が参加しているので、全国隅々の団体の人たちがこの問題に関心を寄せて参加して一緒に盛り上げようとしてくれています。こども食堂は新しい動きなので、まだネットワークもちゃんとできていません。でも、こういうことを通じてお互いつながりが生まれていくというのも、1つの作用かなと思っていますね。

子どもの貧困問題における「体験」の重要性とは

:子どもの貧困率(相対的貧困率)が、2012年時点で「6人に1人」だったのが、2015年時点ではほんの少しだけ回復。とは言っても、まだ「7人に1人」が貧困状態にあります。改めて、ずっと貧困の問題に取り組んでこられた湯浅さんは、今の状況をどのように認識し、どういう点に課題を感じていらっしゃいますか?

湯浅:子どもの貧困は、相変わらず厳しいです。昔から言っているのですが、貧困はおカネだけの問題ではありません。やはり「体験」が人生の価値観になり人生の選択肢を増やしているという意味で、「体験」も大事。こども食堂は、いろんな大人とかかわることで「体験」を得られるというところに、重要な機能、価値があるのではないかと感じます。

たとえば、冬場にみんなで鍋をやっていた時の話ですが、「鍋をつつくって本当にあるんだ」と言った高校生の女の子がいました。彼女は高校生になるまで家族で鍋をつつくという体験をしたことがなかったんですよね。「テレビでは見たことがあるけど、実際には体験したことがない。あれはフィクションだと思っていたから、みんなが目の前でつつき始めたのを見て『これ、本当にあるんだ』って言っちゃった」と。その時の体験から彼女が何を持ち帰ったか、ということを言っているのですが、「みんなは鍋を食べるのが普通らしい。もしかしたらうちは違うところがある家庭なのかもしれない」と気づくかもしれない。もしかしたら、「自分が家庭を作る時には、みんなで鍋をつつくような家庭を作りたい」と思うかもしれない。「鍋を食べるって何の意味があるんだ」と感じるかもしれませんが、そういう「体験」を通じて人生の選択肢が増え、価値観が変わっていくというのがとても大きいことだと思います。

貧困の問題は相変わらず厳しいのですが、おカネだけでなく「体験」も重要。その両方をやっていこうという時に、「体験」の提供は民間のほうがある意味得意。その中でのこども食堂の役割というのは、とても大きいのではないかと思います。


©︎こども食堂安心・安全向上委員会

:僕も大学で授業をしているのですが、毎年学生たちには「子どもの貧困について啓発する動画を作る」というのを課題にしています。「みんなは日々の日常に不満はあるかもしれないけど、こうやって大学に通えているというのは余力があるほうだね。余力があるほうのみんなが何をやるかというのはけっこう大事なんじゃないか」という話をすると、学生たちは一生懸命聞いてやってくれます。でも、いまいち「貧困」というイメージがない。ところが、調べていくうちに「あ、これ私のことです。私、奨学金を払うために家賃を節約して実家にいるのですが、週3日間は大学の授業が朝早いから、友達の家を泊まり歩いて大学に通っているんです」という子も。また、「私の友達は遊びに行くときに必ず自転車なんです。『電車で来ればいいのに』と言ったら、『自転車で途中まで頑張ってから電車に乗る』と。今までは『自転車が好きな子だね』とみんなで言っていたのですが、よくよく聞いてみたらおカネがないんだということがわかりました。これって貧困なんですね」と話す学生もいました。そういう「気づき」が次の扉を開くのだなと改めて感じました。

湯浅:幸いにして「子どもの貧困問題など日本にはないんだ」という人はあまりいなくなりました。状況が深刻だということの裏返しでもあるので、喜ばしいことばかりとも言えないのですが。でも、多くの人がその問題を知るに至って、「何か自分にできることはないか」考えたり、あるいは「すごく遠い話だと思っていたけれど、実は自分の身近にもあるんだな」と気づいたりということがあります。私が大学で教えていても、「子どもの貧困の問題に関心があります」という学生がごく普通にいるという世の中になりました。10年前だったら考えられなかった。そういう意味では世の中変わったなと思います。

:まさに、二方向ありますね。社会的に啓蒙が効いて子どもの貧困に対する認知度が上がった一方で、この10、20年の間で格差も開き貧困が日常の当たり前のものになってしまっているというのも問題ですね。何がそうさせているのでしょうか。

湯浅:世の中の社会状況ですよね。特に日本が弱いのは、「家族支援」の領域と、「所得再分配」の領域。ここが弱いので、たとえばシングルマザーのお母さんは、どれだけ働いてもなかなか貧困から抜けられないという状況になっています。そこに大きな問題があるのは間違いないと同時に、先ほどの女子高校生が100万円もらったらすべての問題が解決するかと言うと多分そうではない。彼女が「鍋をみんなでつつくという体験が、本当にみんなにとっては普通のことなんだ」と気づくのは、おカネの問題ではありません。おカネの問題と、おカネ以外の問題と、その両方を同時にやっていく必要があるのだろうと思いますね。

「市民、地域、社会の理解」が、問題解決への近道

:湯浅さんご自身は2009年に内閣参与に就任されたご経験もあり、公が担う部分の舞台裏についてはよくご存じかと思います。公は何をやるべきで、一方で、公が抱えるジレンマは何なのか。当時と今、そこに変化はあったのか。その点についてはいかがでしょうか。

湯浅:私は、最後は民主主義の問題だと思っています。たとえば、今やっている保険の問題もそうですが、こども食堂に対する市民の理解、地域の理解、社会の理解を広げていけば、その人たちが1票を持っているので、政治家もそれを無視できなくなる。市民、地域、社会の理解を抜きに、政治家へのロビー活動だけで問題解決しようとすると足をすくわれるんですよね。というのは、その政治家が地元に帰ったときに、有権者に「なんでそんなことをやっているんだ」と言われるからです。日本は国民主権の国ですから、最後は私たちが主権を持っています。私たちが最終決定権者なので、私たちがこうした問題に対しての理解を市民レベル、地域レベル、社会レベルで広げていくことが、確かに迂遠に見えるけれども本当は近道なのではないかと思います。そこを省略すると、一時的にうまくいっても、ちょっとした流れが変わっただけでごっそり足をすくわれるようなことが起こります。地道だし迂遠に見えるかもしれませんが、それが民主主義というものだと私は思っているので、そこからやっていきたいと思っています。

:そういう思いを強くされていった要因は何でしょうか?

湯浅:私の出発点は、ホームレス問題です。一人ひとりのホームレスに人生がある。その人たちと付き合う中で、欠点もいっぱいある人だけど、いいところもあって、その人の人生を知れば知るほど、ある意味で敬意が生まれてきました。それぞれ一生懸命に生きてきた中で、失敗もさんざんしてきて、ある人はうまくいき、ある人はうまくいかず。そういう中で、その人たちも含めて作っているのが世の中で、私はその人たちも含めて自分の力を100%発揮できるような社会にしたいと思っています。何年か前に『ヒーローを待っていても世界は変わらない』という本を書いたのですが、これは誰かに何とかしてもらってできることではない。やはり自分たちが、面倒だけれど意見を交わして擦り合わせて、もちろん全員一致なんて起こらないけれど、いろいろと話す中で「ここまで話して別の結論になるんだったらしょうがないか」という納得感が生まれていく世の中が、やはり多くの人にとって生きやすいし、活力も生まれるのではないかと思っています。ホームレスの人たちは「ダメな人」だと思われてしまいますが、私はその人たちの中にあるいろんな力を見てきたからこう思うのかな。さかのぼると、うちの兄も障害者で。できないことを数え出せばすごくいっぱいあるけれど、できることもある。だから、その人のできることに注目する社会を作りたいですね。

:メディアが変わるには、「マスコミが変われ」と言っていても変わらない。やはり一人ひとりがそれぞれ発信できるように変わっていかないとダメだろうなと思っているので、聞いていてすごく共感します。100人いれば100通りの専門家ですよね。

湯浅:そう思います。しかもこの時代は、一人ひとりがFacebookやTwitterなどのSNSで言葉を持ったので、混乱も生まれてはいるけれど、基本的には本来一人ひとりが持っている1票と同じように、今まで沈黙していた人たちがしゃべるようになった。これは受け入れるべきことだと思います。あとは、その人たちも含めて、どう社会全体の底上げをしていくかということが大事なのではないかと思いますね。

地域の集まる場で気付き合う「共助」の形

:今回の取り組みを機に、最終的には子どもたちが支えられ、子どもを育てている親御さんなどの大人たちもおそらく支えられているでしょうね。今後、こども食堂がどんな取り組みに発展していけばいいと考えていますか? ゴールを教えてください。

湯浅:私は、こども食堂がもっと社会のインフラになればいいと思っています。そういう意味では、まだ質、量ともに足りません。こども食堂は約2300カ所まで増えましたが、小学校は約2万校あります。小学校の数と比べると、まだ10分の1。子どもの立場に立てば、私の小学生時代を思い出してみても、小学校区を超えるというのはけっこう遠くへ行くというイメージだったので、やはり小学校区に1つこども食堂があってもおかしくない。そういう意味では、まだまだ数も足らないし、また、質ももっと安心できるものにして、多くの人が気軽に立ち寄れる場所になる必要があります。まだ、こども食堂は「特別な人がやっている、特別な場所」というイメージなんです。だから多くの人が「自分が行っていいのか」と感じてしまう。でも「自分が行っていいのか」と思われているうちは、インフラとは言えないですよね。道路歩くときに、「私はこの道を歩いていいのだろうか」と思う人はいませんからね。そういう意味で、「自分も行っていい場所」「ちょっと行ってみるかと気軽に行ける場所」になるくらい社会の中に浸透していけば。地域の人が交流し、その交流の中から子どもが「体験」を得る、あるいは、子どもが虐待などのサインを出している時は誰かが気づく、そういう場所になると、もっと生きやすい世の中になるのではと思います。それがゴールのイメージですね。

:そうですね。虐待ひとつとっても、児童相談所なのか、警察なのかという前に、ほかにもセーフティネットがあるはずですしね。

湯浅:地域でできることはまだまだあると思っています。役所も、一軒一軒訪問して回るというのは人手的にも限界です。でも、集まる場がもっとあれば、その中で気づくこともある。「地域的養護」という言葉を最近よく言っているのですが、今までは「家庭的養護」と「社会的養護」しかなかったんですよね。「社会的養護」、つまり親の親権を止めるということはよっぽどのことなので、ギリギリまで家庭で頑張れと言うのですが、家庭だってそんなに頑張れない。そんな中で今回、目黒で悲惨な虐待事件も起こっています。ワンオペ育児でとても疲れて大変なお母さんは、子どもがどれだけかわいくても、やっぱりしんどいときはきつくしかってしまうわけですよね。覚えているのは、こども食堂に来たお母さんが「ここで週1回子どもと一緒に食べられるから、普段もう1品おかずを増やそうという力が湧いてくる」と言っていたこと。「ああ、親支援にもなっているんだな」と思いました。こういうことが、家の中で親子が楽しく過ごすために必要なんだと思います。


©︎広島県尾道市「みなりはらぺこレストラン」

:そうですよね。「自助」「共助」「公助」の中で「共助」の部分をどう構築するのかというのが課題だと言われてきましたが、こども食堂はある意味、そのベーシックな部分を創り始めていますよね。

湯浅:そう思います。もちろん、こども食堂だけですべての問題が解決するわけではまったくありません。でも、こういうところがわーっと広がっているということは、やはりそこがまだ足らなかった領域だったということを逆に示していると思いますし、まだまだ広がっていく可能性があると思いますね。

:最後に改めて、メッセージをお願いします。


©︎こども食堂安心・安全向上委員会

湯浅:こども食堂を安心・安全な場所にして、すべての子どもがアクセスできる場所にしていきたいということで始めたクラウドファンディング。全国200のこども食堂が保険にしっかり入って、周りの人たちに「自分たちは安心・安全な場づくりをしていますよ」ということを堂々と伝えられて、それによって地域の人たちも「ああ、大丈夫なところなんだな」と理解してくれる、そういう地域づくり、社会づくりをやっていきたいと思っています。今回のことだけではなく、まだまだ課題はたくさんあります。これからも一つひとつ乗り越えていきたいと思うので、ぜひご協力いただければありがたいですし、引き続きご注目いただければありがたいです。よろしくお願いします。

GARDEN Journalismの関連記事
北朝鮮を訪ね続けたNGO職員と映画監督が見た、「北朝鮮の素顔」
【児童労働根絶】児童労働1億6千万人以上 現場を知ってほしい
【発達障害子ども支援】臨床心理士のチームで子ども一人ひとりの特性にあった支援を 理解者を増やす取り組みも

原文リンク

本站帖子來源於互聯網,轉載不代表認可其真實性,亦不代表本站觀點!
關於本站| 官方微博| 私たちの関心網| よくある問題| 意見反饋|copyright 私たちの関心網