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韓国大統領府が朝日新聞を「出入り禁止」の舞台裏 誰が記事に激怒したのか?

朝日新聞本社

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「通告を受けたのは事実です」

 産経新聞は5月18日(電子版)、「韓国大統領府が朝日新聞を無期限の出入り禁止処分に」との記事を掲載した。ポイントを引用させていただこう。

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《韓国大統領府は18日、「韓国政府が4月末に北朝鮮の核兵器や核物質を国外に搬出させる案を米国に提案していた」と同日付の朝刊などで報じた朝日新聞に対し、「全く事実ではない」とし、無期限の出入り禁止処分を通告した》

《韓国メディアによると、韓国駐在の外国報道機関に対する無期限の出入り禁止は初めてという》

《朝日新聞社広報部は産経新聞の取材に「(出入り禁止処分の)通告を受けたことは事実です。今回の記事は、十分な取材に基づいて報道したものです」と回答した》

 では朝日新聞の報道も、詳しく見ておこう。5月18日(電子版)、「核兵器の搬出、韓国が提案 4月、米朝の仲介目指しボルトン氏に」というものだ。こちらもポイントを引用させていただく。

朝日新聞本社

《韓国が4月末、大部分の北朝鮮核兵器や核物質を国外に搬出させる案を米国に提案していたと、米韓関係筋が明らかにした》

《北朝鮮の一部兵器搬出案は、4月24日にボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)と面会した韓国大統領府の鄭義溶(チョンウィヨン)国家安保室長が打診した》

《鄭氏は段階的措置にこだわる北朝鮮の主張を踏まえ、核兵器や核物質の大部分をまず北朝鮮外に搬出し、その後に核関連施設の廃棄などを時間をかけて実施する案を打診した》

「朝日新聞の記事は正確」

 極めて真面目な内容だと言える。ならば気になるのは信憑性だ。デタラメな報道で出入り禁止になったら自業自得だが、正確な報道でペナルティを受けたとしたら大問題だろう。

 ちなみに産経新聞も、当時の朴槿恵(パククネ)大統領(66)に関する報道を巡ってソウル支局長が起訴されるという大騒動に巻き込まれている。14年8月から15年4月まで出国禁止という異常事態が続いた。もちろん無罪が確定しており、今では朴政権のなりふり構わぬ“言論封殺”だったと見る識者も少なくない。

 今回の件ついて、半島情勢の専門家は、「朝日新聞の記事は正確です」と断言する。

「署名は『牧野愛博』ですから、牧野ソウル支局長が書いた記事だと分かります。半島情勢に詳しく、『北朝鮮核危機! 全内幕』(朝日新書)や『ルポ 絶望の韓国』(文春新書)などの著作でも知られます。韓国政府に深いニュースソースを持っていて、日本のソウル特派員の中で数少ない北朝鮮に関する独自情報を取れる優秀な記者です」

 事実を書いて出入り禁止というのは、日本の記者クラブ内では珍しくない。東京地検特捜部の動きをすっぱ抜き、会見の出禁をくらう――。こんな場面は、それこそ小説や映画、テレビドラマでも描かれる。

「記事にしなくても……」

 産経新聞の記事にも「韓国駐在の外国報道機関に対する無期限の出入り禁止は初めて」とあるが、日本人にとっては事実を書いた海外メディアを閉め出してしまうのは信じられないはずだ。もし安倍政権が「反日的な報道を繰り返している」と中国・香港のフェニックステレビ(鳳凰衛視)を出入り禁止にしようとすれば、少なからぬ日本人が反対するだろう。

「舞台裏を明かすと、韓国も怒ってはいないのです。牧野さんの記事で激怒したのは北朝鮮です。アメリカと1対1で交渉していると思っていたら、裏で韓国が様々な画策をしていることが朝日の報道で明らかになってしまった。北朝鮮は韓国に『朝日新聞の記事に書かれていることは事実なのか!?』とねじ込み、韓国側は困り果てた。朝日新聞に訂正記事や詫び状を書かせれば、北に言い訳できる。しかし、朝日はそんな要求に応じるはずがない。そこで、苦し紛れに“出入り禁止”にした、というのが真相なんです」(同・専門家)

 北朝鮮に毅然とした態度を示すことができない。朝日新聞でさえ生け贄にして、やり過ごそうとする。ここらあたりに文在寅(ムンジェイン)政権の本質が潜んでいるのだろう。

 そもそも5月16日には、北朝鮮が、米韓両軍による定例の共同訓練「マックス・サンダー」を関係修復に水を差す「挑発行為」と非難。南北閣僚級会談の中止を一方的に発表し、文政権がショックを受けたことも記憶に新しい。

「その後、韓国政府は今月(5月)、米軍のB52戦略爆撃機との共同訓練『ブルー・ライトニング』への参加を見送っていたと報じられた。実は、これも北を刺激したくないとの思惑から決定されました」(同・専門家)

 もっとも、この専門家は苦笑しながら「文在寅政権のスタンスを考えれば、牧野さんは、韓国が米国に北の核物質などを国外に搬出させるよう提案したというネタを記事にしなくてもよかった」と言う。

「基本は米朝の会談です。北の非核化をしようとする中、韓国の提案は、ある意味、当然の話。本質的には米朝会談に何の影響も与えません。『それは事実だけど、それがどうしたの?』という内容ですよ。実際、朝日新聞の紙面では2段という小さな扱いでしたしね」(同・専門家)

 北朝鮮の言いなりになる文政権も問題だが、牧野支局長ほどの「大記者」がわざわざ記事にするほどの「ネタ」でなかったことも、これもまた事実のようで――。

週刊新潮WEB取材班

2018年5月28日 掲載

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