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日大学長「口だけ謝罪会見」の絶望的お粗末さ


日大アメリカンフットボール部の反則問題を巡る大塚吉兵衛学長(右端)の記者会見=25日午後、東京都千代田区(写真:共同通信社)

本記事は隔週火曜日に「コミュニケーション力」に関するコラムを書いている岡本純子さんによる番外編コラムです。

日大アメフト部の反則問題に日本中が釘付けだ。メディアの報道も過熱しており、多くの論者が日大側の対応のまずさを指摘している。

筆者も23日に行われたアメフト部の内田正人前監督、井上奨コーチの会見を受け、25日、スポーツの指導現場におけるコミュニケーション不全という観点からまとめた記事を書き、この「炎上」の根本にある上意下達的な「絶対服従」文化の危うさを指摘した。

その後も日大は、次々に「燃料」を投下してくる。同日午後に投じられた新たな燃料は、15時30分から2時間ほど行われた大塚吉兵衛学長のありえない会見である。筆者はついつい、その様子を見てしまった。

「謝罪」のふりをしているだけ

まず、声を大にして言いたい。「日大さん、いい加減、危機管理の専門家を入れて、まっとうな対応をしていただけないでしょうか」と。炎上状態が長引き、国民の怒りの温度計が振り切れそうな勢いだ。

この会見の何がひどいのかと言えば、そもそも、謝っているふりをしているが、ちっとも謝っていないことだ。「真の謝罪」とは何かを知らない、ということだろう。

真の謝罪はその表情に、手に、足先に身体全体に「申し訳ない」「とんでもないことをしてしまった」という気持ちがみなぎっていなければならない。言葉では散々、責任を感じているといいながら、身体はまったく違うことを言っている。まずファッションが、紫色の水玉ドット柄のネクタイであり謝罪のときの服装ではない。

質疑応答では、時間が経つほどに緊張感を失っていくのが手に取るようにわかった。椅子にもたれかかる。落ち着きなく体を動かす。髪の毛を押さえてみせる。挙げ句に、時々笑顔までこぼれるようになり、最後のほうでは破顔して笑うようなシーンまであった。見る者は「何にも悪いと感じていない」と直感する。過去の記事でも紹介しているが、こうした「言行不一致」な謝罪が最も人を不愉快にするのである。

ほかにも、危機管理の会見の絶対タブーを無数に冒していた。例えば、質問した記者に「あなた、話、聞いていなかったんですか?」と問いなおすなど、NG行為の最たるものだ。

また、こうした不祥事の会見では、記者に対して「本日はお忙しい中、お越しいただきましてありがとうございます」とは言うべきではない。晴れがましい会見ではないのだから、皆さんにわざわざ足を運ばせることになって「申し訳ない」と伝えなければならない。そんな細かい言い回しも、現場の雰囲気を左右する。

「ありがとう」と言ったワケ

しかし、ここで「ありがとう」と言ってのけた裏には、大塚学長として、この会見そのものが、日大の意向を学生やOBに伝えるための「学内向け」のプロパガンダのために設けたものに過ぎないからだろう。

「本学は12万人の規模で、私一人で全部回ることはできない。だからそんなことも併せて学長としてお伝えしたいこともあり(会見を開いた)」と説明している。これはどういうことだろうか。つまりは、学生やOB向けに、大学としてのメッセージをどう伝えるのかを考えた時、「メディアに来てもらって、拡散してもらえばいいじゃん」といった軽い気持ちで行ったとしか考えられないのである。

「国民の皆様にお願いしたいが、学生諸君に対する非難などが学校の雰囲気の妨げにならないようご協力をいただきたい」などと言ってのけたが、この会見を聞いていた無数の人から漏れたのは「学校の雰囲気の妨げになっているのはあなた方経営陣だろう」と言う叫びだったはずだ。

「真摯に受け止めブランドが落ちないように努力をする」という発言にも、「もう地に堕ちて、これ以上落ちるものはないということがわかっていないのか」とあきれ果てた人が多かっただろう。

もはや完全な思考停止

「運動部のレベルの話で大学は関係ないと思っていた」といった当事者意識のまったくないコメントもあった。徹頭徹尾、「何一つ事の重大さがわかっていない」ことを露呈する発言の数々。日大にかかわる多くの心ある人が、髪の毛をむしるほどの絶望感に囚われたことだろう。

何の準備も深慮もなく、メディアの前に姿を現し、自分の言いたいことだけを言い散らかす「謝罪会見」など開く意味はないどころか、ひんしゅくと反感しか買わないことが、なぜわからないのか。「言葉を発すれば、伝わって理解されるだろう」という幻想を抱く幹部たちの暴走を誰も諫めず、止められないのはなぜだろうか。

この状態をみる限り、学生や被害者、OB、多くの人の怒りと悲しみに何の同情も共感もしない鉄のメンタルが作り上げた「強権体制」の下で、日大は組織として、もはや完全に思考停止をしているとしか思えない。

ここまで燃え盛った史上最低の不祥事の炎はそう簡単に鎮まるものではない。相当の覚悟と人心を一新する決断が必要である。

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