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世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第262回 人手不足と技術大国

 財務省が2018年1月末にかけ「人手不足の現状及び対応策」という調査を行った。1年前よりも人手不足が深刻になったと回答した企業が31%。1年前と同程度の人手不足であると回答した企業が22%。人手不足感を覚えている企業の総計は、全体の71%にも及んだ。
 1年前の調査では、人手不足を感じている企業が67%であった。年月が経過するに連れ、人手不足が拡散している現実が理解できる。ちなみに、人手不足の要因については、「採用が進まない」が59%と、圧倒的な多数を占めた。現在の日本では、人手不足であるにも関わらず、ヒトの雇用が不可能になりつつあるのだ。

 日本の人手不足(厳密には「人手不足の深刻化」)は、今後、少なくとも20年は続く。理由は、そもそも人手不足の原因が少子高齢化による生産年齢人口比率の低下であるためだ。直近の生産年齢人口対総人口比率は、60.1%。まもなく、60%を切るだろう。
 少子高齢化が終わっていない以上、人手不足の「深刻化」が続く。理由は、現時点で生まれる子供の数が激増したとしても、20年間は働かないためだ。毎年、毎年、
 「昨年の方が楽だった」
 という状況が継続するのが、今後の日本なのである。

 今回の人手不足、つまりは高度成長期以来の人手不足を乗り切るためには、生産性向上は当然だが、バリューチェーンの各段階、競合、あるいは地域社会が一体となって解決に当たらなければならないというのが、筆者の結論である。
 例えば、競合同士で“人手”の確保を「相談して合意する」形の談合は、別に違法ではない。本来、競合同士で“人手”の奪い合いをするのが、市場原理的には正しいのだろう。とはいえ、深刻化する一方の人手不足は、人手確保について競合が協働せざるを得ない状況に追い込む。さらに、個別企業ではどうにもならない人手不足問題の解決について、地域全体の取り組みも必須となる。
 今後、少なくとも20年は続く人手不足の時代、日本企業の取引先との関係、競合との関係、さらには地域コミュニティーとの関係など、さまざまな「関係」に変化をもたらすことになると確信している。

 逆に競合同士で「ヒトの奪い合い」に突入した場合、人件費がひたすら高騰していくことになる。一方で、人手不足が埋まらないという状況にならざるを得ない。
 あるいは、
 「外国人労働者」
 「労働規制の緩和で(裁量労働制の拡大など)」
 といった形で、日本社会や日本国民に負担が「未来永劫」生じることになってしまうだろう。結局のところ、人手不足解消には二つしか方法がない。

 (1) 新たにヒトを雇う
 (2) 生産性向上

 (1)について、現在、人手不足で先行しているのは、東京のような都市部ではなく、むしろ地方である。政府は貧困化が進む東京圏から、地方への生産者の移動を促すインフラ整備、税制を政策として打ち出すべきだ。
 外国人労働者については、「文化伝統」「外国人犯罪増加」といった話を抜きにしても、
 ○言語的コミュニケーションの問題、安全性の低下
 ○さまざまな付随的業務発生によるコスト増
 ○技能実習生や留学生は期限付き雇用となる(戦力に育ったところで帰国する)
 ○中長期的に日本社会にリスクが生じる(=移民政策のトリレンマ)
 ○生産性向上のための投資が進まず、中長期的に人手不足解消を継続できるとは限らない
 ○日本政府の「政策」に依存する
 ○送り出し国(外国政府)側の「政策」に依存する
 ○技能実習生失踪などのトラブルの発生と対応
 ○日本人の若年層への技能継承は不可能
 ○地政学的リスクの問題
 といったさまざまな問題がある。この種の問題に対する対応策を、移民推進派から聞いたことはない。
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