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森友学園の買える値段で事前交渉が判明…佐川国税庁長官と安倍首相が虚偽答弁

安倍晋三首相(日刊現代/アフロ)

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 会計検査院は昨年11月22日、森友問題をめぐる国有地の格安払い下げについて「十分な根拠がない」「不適切」との調査結果を発表した。会計検査院は国の財政支出を検査する約1200人の職員を擁する専門機関であり、参議院議長の要請を受けて8カ月もかけて調査していた。

 この発表後、昨年の特別国会で安倍内閣、財務省、国土交通省は野党による追及を受けたが、間違いを認めようとしていない。なかでも安倍晋三首相は「自分は適正だと言ったことはない」「適正だという報告を受けただけ」だと答弁しているが、これは事実に反している。過去、国会議員による質問主意書に対し「適正」と答弁していた。

 森友問題が国会で問題となり始めた昨年3月、山本太郎参院議員(自由党)は、質問主意書(第193回国会―質問第49号)でこの問題を取り上げ、86%も減額する格安払い下げについて、「財政法第9条においては、『国の財産は、法律に基く場合を除く外、適正な対価なくしてこれを譲渡しもしくは貸し付けてはならない』と定められおり」「法律に違反しているのではないか」と質問している。これに対して、「内閣総理大臣 安倍晋三」名で「地下埋設物の撤去、及び処分に係わる費用を踏まえ算定された適正な対価により譲渡された」と答えていたのである。

 質問主意書は、各議員が衆参議長を通して内閣に質問する仕組みであり、国政を監視する国会議員活動として、極めて重要な位置を持っている。各種委員会で時間の関係で質問できなかった懸案事項について政府の考えや経過事実を明らかにし、その姿勢を問うことが可能である。質問主意書の提出は国会開会中という制約はあるが、質問に対して1週間以内に内閣総理大臣が行政府を代表して答弁を行い、行政の監視システムとしては極めて重要な働きを持っている。今回、安倍首相の答弁の虚偽事実が山本議員の質問主意書によって明らかになった。この点について野党や大手メディアによる追及を期待したい。

●3大臣が居直れば、政治腐敗が進行する

 今回の会計検査院による調査は、年度ごとに行う検査ではない異例な検査であった。昨年の国会論議のなかでは、野党が求める人物の証人喚問は与党の反対で実施されず、さらに証拠は廃棄されたとして提出されず、論議が進まなかった。

 福山哲郎参議院議員(当時民進党、現立憲民主党幹事長)の提案もあり、与野党合意の下、参議院議長名で会計検査院に検査を求めたのである。与党も世論の批判に対して、「会計検査院に判断を求めている」という釈明ができると考えたのではないか。実際、安倍首相は何度も「会計検査院の検査を待っている」と語っている。

 そして検査結果の発表を受け、前述の通り安倍首相は「適正と言ったのは私ではない」と答弁し、所管大臣も「誤り」を認めずに謝罪もせず、自身や担当職員の責任追及を行っていない。

 福田康夫元首相は森友・加計問題に関して、このまま対処を誤れば「国家が崩壊する」と発言している。もし3大臣の自己保身によって責任追及が曖昧なまま幕引きとなれば、官僚機構は前例踏襲主義であるため、今回のような格安払い下げが「善し」とされ、法令順守の原則が崩れ、そのときどきの大臣の意思に従い不正を行うことが蔓延する。行政のいたるところで国家の私物化がはびこり、国家は崩壊することにならないか。

●ようやく始まった予算委員会

 1月末に始まった予算委員会でも、森友問題について次々と野党から批判の矢は放たれている。たとえば立憲民主党の長妻昭衆議院議員は、「内閣は誤りを認め謝罪を」と迫った。

 3大臣の居直りの一方で、昨年末から今年にかけて、隠されてきた新情報が次々と見つかっている。廃棄されたはずの関連文書が、毎日新聞や上脇博之神戸学院大学教授による情報公開請求で見つかっている。またその内容は、財務省がこれまで否定してきた払い下げ価格の事前交渉の内容が示されている。この情報は、東京新聞や朝日新聞も報道している。

 こうした結果、当時財務省の担当責任者だった佐川宣寿前理財局長(現国税庁長官)らによる「文書はすべて廃棄した」「事前の価格交渉は行っていない」という発言が虚偽だとわかり、3大臣に続き佐川氏らの責任問題を明確にすることが不可避といえるだろう。

 またこの件で、立憲民主党の川内博史衆議院議員は1月29日の予算委員会で、河戸光彦会計検査院長に質問し、開示された「新情報」について以下の2つの事実を明らかにし、関連する財務省職員の懲戒処分を求めている。

(1)上脇教授や毎日新聞が今年になって公開した「新情報」について、財務省が会計検査院に報告したのは、会計検査院が報告書を発表した前日の11月21日であった。その時には会計検査院は、報告書を作成していたため、報告書には反映できず、財務省は会計検査院の検査にすら情報隠しを行っていた。

(2)会計検査院の検査は、会計検査院法第26条に基づく検査である。これに協力せず情報隠しに入った時には、その省庁の担当責任者に対し、会計検査院法第31条に基づく、懲戒処分要求ができる。「国の会計事務を処理する職員に故意もしくは重大な過失があること」を条件として、所管の大臣に対して処分を求めることができる。

 会計検査院が作成した報告書87ページには、次のように書かれている。

「本件土地の処分等に係る協議記録等について提出を求めたところ、近畿財務局は、本件土地の処分等に係る大阪航空局や森友学園との協議記録等については、保存期間を1年未満としており、協議記録等を作成していたとしても、本件土地の森友学園との売買契約終了後等に廃棄することとしていたことから確認することができなかったとしている」

 つまり財務省と国交省は、国会での虚偽答弁だけでなく、会計検査院にも虚偽の事実を述べていたことがわかった。その結果、河戸院長は「懲戒処分要求につきましては、事実関係を踏まえ、慎重に検討する必要がある」と答えざるを得なくなっている。

 そして川内議員によれば、懲戒処分に当たるのは、払い下げ当時財務省理財局長だった迫田英典氏、そして近畿財務局長だった武内良樹氏、そして佐川氏らが該当するという。

 今、佐川国税庁長官の罷免を求めて多くの署名活動が行われているが、麻生太郎財務相は「適材適所」とかばっている。しかし、懲戒処分を受ければ退任は確実となり、麻生財務相と安倍首相の責任問題は免れない。

●開示された情報公開文書

 1月27日付東京新聞は、この「新情報」の持つ意味を適格に報道している。『森友と「金額調整努める」国有地売却財務省に内部文書』との見出しで、「学校法人『森友学園』への国有地売却を巡り、10年以内に学園が国有地を買いとる条件で、国と定期借地中だった2015年12月、財務省近畿財務局が、将来の売却に向けた手順を検討し、『(学園と)売買金額の事前調整に努める』との方針を内部文書に記していたことが分かった」としている。

 この新情報で最大の注目点は、財務省内部で15年12月1日の段階で、格安払い下げについての相談を行っていたという事実である。これまでは格安払い下げのきっかけは、その翌年3月11日、校舎建設中に「新たなごみ」を建設業者が見つけ、森友学園から報告があったことだと説明されてきた。それが、その3カ月以上前の前年度末には、売却と価格調整の交渉のための準備を行っていたというのである。この事実は注目に値する。

 これまで財務省や国交省は、次のように説明してきた。

・15年、森友学園に土地を賃貸借していた時に、7月から12月にかけて土地の地下3mの深さまでの盛り土層から埋設ごみを撤去し、重金属で汚染されていた5カ所を除染する土壌改良事業を行った。その代金が1億3000万円だった。

・翌16年になって森友学園から校舎建設を請け負っていた藤原工業株式会社が、校舎の基礎杭を9.9mの深さに打ったところ、3m以深から「新たなごみ」が見つかった(基礎杭の数は数百本予定されていた)。
 
・その新たなごみの存在の連絡は、森友学園から同年3月11日に受け、3月14日に国も確認した。その量を国交省大阪航空局が推計したところ約2万トンになり、その撤去に8億2000万円かかるということだったので、土地の鑑定価格9億5600万円から値引き1億3000万円で売却した。

 このように、森友問題の核心点である格安払い下げ問題は、16年3月11日に「新たなごみ」が見つかったという報告から出発していた。その後、翌年の17年4月1日は小学校開校となるため、急いで撤去しなければならず、専門の第三者に頼むことなく、用地の所有主であった国交省大阪航空局がごみ量を推定し、その過程で格安の払い下げも起きてしまったという筋書きであった。

 しかし新情報の核心点は、東京新聞が報じているように、15年12月の段階で国は国有地売却の準備を行い、その法令上の検討すら行っていたという点である。

●開示された新情報の核心点

 では、なぜ財務省はこの新情報について、会計検査院に嘘までつき隠そうとしたのか。

 その理由を示す資料が、前出の「予約完結権の行使に係る書面について」(写真3)と「売買契約締結までの事務処理手順」(写真4)である。そこに書かれている内容を見ると、国会での論議やこれまでの説明とまったく異なる事実が書かれている。

(1)森友学園に払い下げる準備を、15年12月に財務省内で相談していた。これまでこの事実は隠されていた。

(2)「予約完結権の行使に係る書面について」には、売買時の事務手続きについて、「国は、不動産鑑定士に土地の鑑定評価依頼を行った上で予定価格を算出して売買価格を決定することとなる」という文言が書かれている。しかし国は本件においては、16年3月11日に3m以深にごみがあるという伝達をうけ、急いで算定する必要があったので、不動産鑑定士に依頼することをせず、国交省大阪航空局の専門家に依頼したと説明してきた。では、15年12月から準備していたのならば、なぜ不動産鑑定士に頼まなかったのか。

 しかも、近畿財務局は12年の時点で、同用地の不動産鑑定を専門の不動産鑑定士に依頼して、鑑定評価書(写真5)を作成していた。したがってこの「予約完結権の行使に係わる書面について」の内容も正確ではなく、「すでにある鑑定評価書を参考に売買価格を決定すること」としなければならなかった(註1)。

(3)また「売買契約締結までの事務処理手順」のなかには、「予算を必要とする不動産鑑定士の鑑定評価まで行った後に学校法人が買わないとする結果にならないように売買金額については、できる限り学校法人との事前調整に努めるものとする」と書かれている。これについて東京新聞で上脇教授は「学園が買える値段で話を進めるのは、常識ではありえない」とコメントしており、森友学園を特別扱いしている証拠となる文書である。

 以上みてきたように、格安払い下げの理由とされた新たな埋設ごみが存在するという根拠がないと、会計検査院は発表した。本来ならその時点で国は、間違いを認めるべきであったが、今まで隠していた情報を小出しにすることによって、論点のすり替えを図ろうとしている。籠池氏に開校が遅れれば損害賠償請求すると脅されたので、格安で払い下げたという論法である。一部大手マスメディアは、この論に乗っかった報道を行っているかに見える。そこで、改めて重要な事実を明記しておきたい。

・15年5月29日、賃貸契約に際して参考文書として示した文書によって、森友学園が払い下げを受けた用地の地下の埋設物の様子を国は把握していた。「平成23年度 大阪国際空港場外用地(OA301)土壌汚染深度方向調査業務報告書」は、国交省自身が作成していた。(12年2月)。国と森友学園の賃貸契約書にも前提的な調査事実として掲載されていた報告書である。

・そこには、3m以上の深さにごみは無く、3mより浅い土地の部分にはごみが散在していることを把握していた。したがって、ごみがないことを知っていた国は、森友学園から損害賠償請求を受けたとしても、それは根拠がないと脅しに乗ることはなかった。脅されたから格安に値引いたというのは、明らかに虚偽の事実である。

 そもそも森友学園用地の3m以深に2万トンものごみがなかったという事実から問題を解き明かしていけば、官僚たちが不正に走った狙いがみえてくる。国会答弁で「私や妻が関与していれば議員は辞める」と約束した安倍首相がどう責任を取るのか、注目が集まっている。
(文=青木泰/環境ジャーナリスト)

註1:17年末の国会論戦のなかで、森ゆうこ参議院議員が評価調書の存在を明らかにしていた。12年に大阪音楽大学が7億円で購入希望を出したときに、近畿財務局自身が不動産鑑定士に依頼し、鑑定評価書が出されていた。その評価書では、土壌汚染の対策に約4400万円、埋設ごみの撤去に8400万円の合計1億2800万円かかると算定していた。つまり、今回の事案で国が賃貸時の土壌改良工事費として支払っていた1億3000万円とこの金額はほぼ合致し、その支払いで埋設ごみの処理については手続きが終了していたのである。

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