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質の良い睡眠を取りたいなら、帰りの電車で寝てはいけない。その理由とは?

『疲れをとるなら帰りの電車で寝るのをやめなさい』(三島和夫監修、伊藤和弘、佐田節子著、日経BP社)の監修者は、「疲れを取るためには絶対NGな生活習慣」として、次のような例を挙げています。

・ 帰りの電車で席に座って寝てしまう

・ ベッドの上で寝る前に本を読む

・ 翌日早く起きたくて、まだ眠くないのにベッドに入る

・ 休日にいつまでも寝ている

(「はじめに」より)

「よかれと思ってやっているケースも多い」というこのような生活習慣は、実のところ体の睡眠リズムを見出し、疲れを抜けにくくするというのです。

例えば、帰りの電車に乗るような午後の遅い時間に寝てしまうと、家に着いてからの本格的な睡眠である「メジャースリープ」の質が大きく下がる。すると、翌朝になっても疲れが抜け切らず、そのまま仕事をして、帰りの電車でまた眠ってしまうという悪循環が待っているのだ。

(「はじめに」より)

だからこそ「なぜNGなのか」を知り、その習慣を改め、しっかりと疲れを取る生活を送る必要があるということ。睡眠時間を削ってでも仕事をしているような人は、生活を見なおさない限り、自分の健康寿命にも影響が及ぶのだといいます。

そこで本書では、第一線で活躍する24人の医師と専門家に話を聞き、最新の科学エビデンスに基づいた“疲労回復スキル”をまとめているわけです。きょうはそのなかから、適切な睡眠時間について説いた第8章「自分に最適な『睡眠時間』の見極め方」を見てみたいと思います。

自分にとって最適な睡眠時間は決められる?

答える人:内山真さん

日本大学医学部

最適な睡眠時間に関する、110万人以上を対象にした最近の米国の調査によると、6年後の死亡率が最も低かったのは6.5〜7.4時間眠っていた人たちだったそうです。8時間眠っていた人たちはむしろ死亡率が高くなっていたというのですから、睡眠時間は多ければ多いほどいいというわけではないことになります。

もちろん睡眠不足が多くなるとミスが多くなり、的確な判断も難しくなり、作業のスピードも落ちて、仕事のパフォーマンスが下がります。そればかりか、健康にも悪影響を及ぼすことも考えられるでしょう。それを認めたうえで、多少の個人差はあるものの、成人にとって最適な睡眠時間は6時間から8時間であり、それは人種や時代が違っても変わらないと主張するのです。

だとすれば、睡眠不足を見分けるポイントはなんなのでしょうか? この点について、もっともわかりやすい自覚症状は、昼食後、午後早い時間帯の強い眠気なのだといいます。

この時間帯は、食事をとった影響というよりも、むしろ生体リズムとして、十分な睡眠を取っていても眠気を感じるようにできているもの。多くの野生動物と同じく、人間も1日のうちで最も暑くなる午後の時間帯を昼寝することでやり過ごし、エネルギーの消耗を防ぐシステムを持っているという考え方です。

このような昼食後の眠気を解消する手っ取り早い方法は、15〜20分程度の仮眠(昼寝)を取ること。それで頭がスッキリと回復するのなら、夜の眠りが足りていると考えてよいのだそうです。逆に、それでも眠気が収まらず、堪えがたいほど強い眠気を感じたら、睡眠不足を疑うべきだということ。

最適な睡眠時間に個人差があるのであれば、「自分に最適な睡眠時間」を知りたくなるものです。しかし、睡眠時間は意識的にコントロールできるものではないのだそうです。毎日同じように暮らしていても、早く眠くなる日もあれば、いつまでも眠くならない日もあるもの。眠くないときは睡眠が足りているのだと思って、無理にベッドに入らず、眠くなるまで起きていればいいというのです。

「毎晩12時までには必ず眠らなければ!」という硬直した考え方は、「眠れない」という焦りを招き、不眠症につながりやすいのだとか。もっと気楽に考えていいということです。ただし、起床時刻だけは一定に保つこと。休日の寝坊も平日の2時間以内にすべきだといいます。休みだからと昼まで寝ていると、体内時計が遅れ、寝つきが悪くなってしまうというのがその理由です。(204ページより)

睡眠時間はどこまで短くできる?

答える人:遠藤拓郎さん

慶應義塾大学医学部特任教授精神医学系主任教授

時間に追われるビジネスパーソンは、つい睡眠時間を削ってしまいがち。しかし、睡眠時間は果たしてどこまで削れるのでしょうか? この点については、メラトニンというホルモンが分泌される時間帯に眠ることが大切であるようです。

というのも、メラトニンは夜になると分泌されるホルモンで、眠気をもたらす作用があるというのです。夜の時ごろから出はじめて11時くらいに眠くなる分泌量に達し、朝の5時ごろから減っていくことで目が覚めることに。起きた瞬間はまだメラトニンが残っているので眠気があるものの、早朝に太陽の光を浴びるとメラトニンの分泌が止まるため、すっきり目が覚めていくということ。

また人間の体内時計は24時間より少し長い時間周期になっているものの、早朝に太陽の光を浴びることでリセットされます。したがって、昼過ぎまで寝ているとどんどん体内時計が遅れていき、夜になかなか寝つけない体質になってしまうというのです。

同じ6時間眠るのであっても、昼間に眠るのと夜に眠るのでは、体を休める効果がまったく違うのだといいます。理由は、“睡眠の質”が違ってくるから。成長ホルモンは就寝時間に関係なく分泌されますが、コルチゾールは明け方、メラトニンは深夜に分泌が増えるのだとか。よって、深い眠りになるホルモンの分泌時間から考えると、0時から6時に眠るのがベストだということになるそう。

これらを踏まえたうえで、本題に進みましょう。はたして睡眠時間は、どこまで削ることができるのでしょうか?

この問いに関して、解説者である遠藤さんが勧めているのは、自身も長年実践しているのだという“4時間半睡眠”。平日の5日間は午前1時に寝て5時半に起き、土日は少し不足分を補っておくというのです。土日のどちらかで6時間、もう一方で7時間半眠るのだということ。

ただし、これはあくまで「睡眠の質がいい人だけができる方法」。なかなか寝つけない、途中で目が覚めるなどの自覚症状がある人には危険だというので注意が必要です。そこでスマホのアプリなどを利用し、チャレンジする前に自分の「睡眠の質」(睡眠中の行動量などで判定される)を確認しておくといいそうです。

「睡眠が不規則で質が悪い人は、まず0時から6時をまたいで規則正しく7時間眠ることを最初の目標に。それが定着したら睡眠時間を6時間に減らし、少しずつ体を慣らしていきましょう」と遠藤さんはアドバイスする。(215ページより)

4時間半睡眠を実践する場合も、むやみに早起きするのはよくないそうです。太陽が昇る前に起きると体内時計が起床時にリセットされないので、毎日同じ時刻に起きるのがつらくなってしまうというのです。

東京の場合であれば、5時半なら春分の日から秋分の日までの半年は太陽が出ています。その間、毎日規則正しく起床していれば、体内時計が安定し、太陽の出ていない冬でも自然に目が覚めるようになるそうです。

4時間半でも6時間でも、短時間睡眠によって、昼間に強い睡魔に襲われないようにするためには、毎日同じ時刻に起き、睡眠のリズムを安定させることが大切。布団に入ったら、すぐに眠れる体にしておくべきだということです。

そのためには、目に入る光をコントロールするべき。メラトニンの分泌がはじまる夜の9時を過ぎたら、パソコンやスマホの画面はなるべく見ないようにしたほうがいいといます。なぜなら、ディスプレイから出るブルーライトがメラトニンの分泌を抑え、眠気を消してしまうから。

また、睡眠中は体温が下がり、その落差が大きいほどよく眠れるもの。夕食に熱いものや辛いものを食べたり、夕食前の運動も体温を上げてくれるそうです。しかし、最も効果的なのは就寝前の入浴だといいます。

日中に眠気が強いときは無理せずに仮眠を取ろう。ただ目をつぶって安静にしているのに比べて、眠ってしまったほうがその後の眠気や疲労感が少なくなることが確認されている。ただし、仮眠は30分以内に。長く眠ると睡眠が深くなり、夜眠れなくなってしまう。事前に熱いコーヒーを飲んでおくといいだろう。熱い飲み物で体温が上がり、カフェインの作用によって短時間で目が覚める。(216ページより)

なお、どうしても眠い場合は、15分の仮眠を2回、3回取ってもかまわないそうです。深い睡眠にさえ入らなければ、夜の睡眠への影響は抑えられるというのです。(210ページより)

監修者は、国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神生理研究部長。日本睡眠学会理事としての肩書きも持ち、睡眠に関する著作も数多く執筆している人物です。本書のポイントは、そのような実績に基づき、さまざまな医師や専門家に話を聞いている点。つまり、客観性とエビデンスを重視した信頼性の高い内容になっているわけです。日々の疲れに悩んでいる方は、手に取ってみてはいかがでしょうか?

Photo: 印南敦史

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