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男が知らない「女性専用車両」乗客の行動実態


女性専用車の車内がどうなっているのか、男性にはなかなかわからない(写真:kyotubo/PIXTA)

女性専用車両は2000年12月に京王線で試験導入されてから間もなく17年が経とうとしている。京王線で2001年3月から本格導入された後、しばらくは関西での導入が先行したが、警視庁が2005年1月に鉄道各社に導入を要請したことから、首都圏でも2005年5月から一斉に運用が始まった。そこから数えても10年以上が経過。意思を持って積極的に女性専用車両に乗車している男性はほぼ例外的な存在で、ラッシュのピークの時間帯で男性の姿を女性専用車両で見掛けることはほとんどない。

男性不在の女性専用車両の車内はいったい、どうなっているのか――。自ら体験することのできない男性の素朴な疑問について、筆者の経験と観察の範囲で答えてみたい。

においと窮屈さからは解放される

まず、一般車両とは異なる点として挙げられるのが、においと窮屈度。汗臭い人、垢臭い人、加齢臭が強い、口臭がきつい人はやはり男性に多い。女性だけだと男性の悪臭からは解放される。

その反面、化粧品のにおいは充満するので、強い臭いのコロンを付けた人が乗ってくるとつらいということはある。知人の娘に、女性専用車両を利用しないという人がいたので、その理由を聞いたら、においがダメなのだという答えだった。筆者も飲食店でそのコロンを付けた人が入ってきたら、即座に逃げ出すほど苦手な有名銘柄があるので、この意見には共感する。

男性と女性では体のサイズがまったく違うので、座席に座ったときの圧迫感からも解放される。現在現役で走っている電車の座席の横幅は、よほど古いものでなければ大体46cmあるのだが、体のサイズがこの幅の範囲に収まっている男性は少数派だ。7人掛けの席に7人の男性が座ると、きちんと座ってもまず収まらない。

3人掛けの席だと、ごく普通の体格の女性2人に男性1人ならぎりぎり収まるが、男性が2人座ると、もう1席はかなり細身の女性か子供でないと無理だ。両隣の人を押しのけるか、誰か1人が浅く腰掛けて前かがみにならないと平和は保てない。その点、女性だけなら普通に座って平和を保てる。

体のサイズの違いという点では、立っている場合も違う。筆者は身長が157cmなのだが、一般車両でそこそこ混んでいると、170〜175cm前後の男性がスマホを操作する位置が、ちょうど筆者のほおからまゆのあたりになる。ベンチシートの座席沿いに立てればいいが、そうでないと、文字どおり目から2〜3cmの距離にスマホを突き付けられることになる。相手はスマホが他者と接触しなければいいと思っているのだろうが、目の前にスマホを突き付けられた身にはストレス極まりない。

ひざ頭に反対の足のくるぶしを乗せて足を組む、いわゆる「直角組み族」がまずいないというのも女性専用車両ならではだ。直角組み族は、自分の靴底が他人に接触しなければOKと考えているらしいが、他人の靴底を見せつけられるのはかなり不快だ。女子にはことのほか嫌われる。ラッシュ時間帯にはさすがに見掛けないが、比較的早い時間帯だと、2両に1人くらいはいる。

荷物を減らせない女、足を閉じられない男

足を大きく広げて座る人もいない。プリーツスカートの女子高生が足を広げて足の間の床にかばんを置くということはあるが、それでも男性でよく見掛ける大股開きはいない。男性の場合、太って足を閉じられそうもない人をよく見掛けるが、女性ではほとんどいない。

冬場にジャケットやコートのポケットに手を突っ込んだまま座席に座る人も女性ではまず見掛けない。この座り方はひじが外へ張りだして非常に迷惑なのだが、「縄張り」確保のために意図的にやっていると思われる人を、男性ではけっこう見掛ける。

一方、女性専用車両ならではの火種として上げられるのが“荷物整理”である。座席に座ったとたん、荷物の整理を始める人は圧倒的に女性に多い。男性では高齢者に比較的多いが、女性は全世代に分布している。荷物整理の際には必ずひじが上がるので、正面から見ていると両隣の乗客はけっこう嫌な顔をしているのだが、本人はひじが当たっていないからOKと思っているのだろう。しかも短時間では済まない。一通り荷物整理が終わると、今度は探し物を始める。結局、座っている間中ひっきりなしに荷物整理を繰り返す。

いつも乗る電車の2本ほど後の電車で、60歳代半ばと思しき、ひっきりなしに荷物整理をする女性と隣り合わせに座ったときのこと。あまりにも落ち着かないので顔をちらちらと見ていたら、それだけで逆切れされた。「当たってもいないのに何だ」と言って大声で絡まれたのだ。顔を覚えられたらしく、その後同じ電車で顔を合わせたときも、にらみつけられた。この女性は、見掛けるたびに延々と荷物整理をしている。遭遇すると怖いので、この女性が乗る確率が高い電車は避けるようにしている。

すし詰め一歩手前くらいに混んでいる場合、マフラーやハネあげた髪が顔にぶつかるというのも女性専用車両ならではの被害だ。人間、背中に目はついていない。立ったまま窓ガラスやスマホを鏡代わりにしたり、実際に手鏡を出したりして、毛先だけくるんと丸めた髪を手ぐしで直す女性は少なくない。手の甲で髪の先を後へハネあげられると、背の高さが同じくらいなので、もろに髪が顔にぶつかるのだ。

混雑している場合も、空いている場合も、座りたい座席の位置や立っていて楽な場所、乗り換えに便利な場所をめぐる競争は、女性専用車両でも当たり前に起きている。

肩に掛けた荷物でライバルを駆逐

女性の場合は荷物を使ったバトルが熾烈だ。おそらく女性の9割以上が荷物を肩に掛ける。肩に掛けると荷物は横に張り出す。スマホからいっさい目を離さないが、神経は肩に集中させ、張り出した荷物を使って、競合相手を悪意がないふりをしながら押しのける。

女性同士だと、胸から上腕部分を「点」ではなく「面」で圧される形になるので、かなりの効果を発揮する。筆者は荷物を肩に掛けるということをしない、女としてはかなりの珍種なので、自分の荷物で防御することができない。

誤解を恐れずに言うならば、男でも女でも戦闘モード全開の人は怖いし面倒くさい。ゆえに基本的に近寄らないようにしているのだが、たまたま混んだ電車に乗らざるをえず、避けられないときはある。

筆者が普段乗っている、始発から4本目のガラガラに空いた女性専用車両でも、連日ターミナル駅の2駅前と、3駅前で乗ってくる、若く美しい女性2人がバトルを展開している。

乗り換えのための好位置確保のため、3駅前から乗ってくる女性は座席には座らず、ドア横に立つ。そして次の駅で乗ってくるもう1人の女性が、肩に掛けた荷物でこの女性を押しのけるのだ。目はスマホから離さず、イヤホンもしているので、何か言われても聞こえないふりなのだろう。

やられたほうは、荷物を体に押し付けられた状態で、立ち位置を変えず踏ん張り続ける。何しろ自分は先に乗っているのに、後から乗ってきた人に荷物を介してぶつかってこられたら意地にもなる。

なお、化粧と飲食は女性専用車両だから多いという印象はない。車内飲食は最近では少ないながらも高齢者でも見掛けるようになったし、年齢や性別での違いはないように思う。基本的に車内で化粧をするのは女性だけだから、女性専用車両で見掛ける確率が上がるのは確かなのだろうが、気兼ねなく化粧をしたいから女性専用車両に乗る、という人がどのくらいいるのかは疑問だ。座れる車両であることが重要なのであって、女性専用車両かどうかは二の次なのではないだろうか。

ネットの書き込みを見ていると、女性専用車両のほうが一般車両よりもすいているという指摘をよく目にする。確かに比較的早い時間帯ではその傾向はあるかもしれないが、ラッシュのピークの時間帯は女性専用車両もすし詰めで、一般車両とあまり変わりないように思う。

路線ごとに運用状況はバラバラ

知らずに乗り込んだらそれが女性専用車で、思い切り冷たい視線を浴びた、という経験をしたことがある男性は少なくないはずだ。

女性専用車両の運用は鉄道会社、路線ごとにまったく違う。始発からの路線もあれば、7時からの路線もあるし、終了時間も9時だったり9時半だったり。車両の位置も真ん中、運転席側の先頭1両目、車掌室側の最後尾1両目などまちまちだ。

女性専用車両だと知っていたら乗るつもりはなかった人は、周囲の白い目や車内アナウンス、あるいは近くの女性に言われて気づくとさっさと移動していく。

その一方で、女性専用車両だと承知したうえで乗っている男性も少数ながらいる。筆者が普段乗っている始発から4本目の電車では見掛けないが、20分ほど後の電車には、毎日決まった駅から乗り、決まった位置に座っている男性が3人いる。

以前、このうちの1人に乗客の女性が注意をしたら、イヤホンを付けたまま聞こえないふりをして無視していたので、承知のうえで乗っているのは間違いない。女性専用車に乗り込んでくるなり爆睡モードに入る男性も“承知している派”で、寝たふりなのかもしれないと思うときがある。降車駅に着くと、普通に目を明けて降りていく。

ただ、女性専用車両に異議を唱え、反対運動として女性専用車両への乗車を続けている男性もいる。筆者はこの男性にインタビューを行った。その内容については、別の記事(あえて女性専用車両に乗る「男性の言い分」)で紹介する。

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