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皮肉な状況の中で行われているJ3リーグ

中村忠FC東京U-23監督(撮影:六川亨)

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日本で最も複雑なリーグが再開する。

19日、約1カ月ぶりにJ3リーグの後半戦がスタートする。現在シーズンの半分を終えて、残り17節。上位2チームはJ2リーグに自動昇格するが、下位になったとしても降格はない。

チームの置かれている状況はバラバラだ。J2リーグへの再浮上を狙う栃木、富山、鳥取、北九州がある一方、たとえ2位以内に入ってもJ2ライセンスを持たないため昇格できなかったり、FC東京U-23、G大阪U-23、C大阪U-23のように元々昇格しないチームもある。

そのためJ1やJ2のように優勝や昇格、あるいは残留というわかりやすい目標があるチームばかりではない。チームによって大きく事情が違うという複雑さを持っているのだ。

リーグの中で、エリート集団と言えるのがU-23チームだろう。FC東京U-23の中村忠監督は「J1に出るチャンスを得るための場」だとJ3を位置づけていた。「チームを作って勝つという方針じゃない」「個人の力を付けてチャレンジして勝つ」ために戦っている。言わばJ3は前哨戦。目標はあくまでJ1でプレーできる選手を育成することだ。

J1に登録されている選手たちと一緒に練習するものの、待遇に差は付けているという。トップチームは新幹線のグリーン車に乗るが、J3の選手は普通の指定席。ホテルや食事のグレードにも違いがあるそうだ。

「それでも、J3を戦う環境はクラブとして最大限整えてくれている」と中村監督は言う。「ハード面をクラブが整えてくれているので、そこで選手は結果を出さなければいけない」と、たとえ昇格できないにしても、勝利が求められるのだと強調した。

中村監督の言葉どおり、7月15日のゲームでFC東京U-23は、J2昇格を目標とする鳥取を6-0と大差で破った。鳥取にすれば、昇格しないチームが足を引っ張ったようにも思えただろう。

平均観客動員数はJ2の6833人(第28節終了時)に対してJ3は半分以下の2575人(第18節終了時)。試合数もJ2はホームゲームが21試合なのに対し、J3は17試合しかない。J2に昇格することはクラブの財政面に大きな違いを生むのだ。

ならば資金を投下して昇格を勝ち取ればいいのではないか。ところが、J3のクラブの営業収益は平均で3億8400万円しかない。これもJ2の平均13億1300万円に比べると大幅に小さく、そのため各クラブは厳しい環境を強いられている。

例えば鳥取は、営業収益が4億1200万円と、FC東京の45億4100万円の十分の一以下。当然様々な経費はかけられない。たとえば、関東までなら移動手段は基本的にバスとなる。相模原との試合では試合前日の早朝5時に鳥取を出発し、途中静岡で練習した後、18時にホテル入りしていた。翌日は15時からの試合後、18時に相模原を出発し、鳥取に到着したのは翌朝4時過ぎだったそうだ。

ホームゲームでも、東西に長い鳥取を移動するため、2時間ほどバスに揺られてスタジアム入りする。スタジアムの近くに試合前日泊まるようなコストはかけられないのだろう。鳥取の森岡隆三監督は「言い訳じみたことは言いたくない」と言う。

元日本代表のキャプテンを務めていた森岡監督は、Jリーガーの一番いい待遇も知っている。「この環境には慣れました。でも慣れてしまうことは怖い」。

コストをかけられないのはわかっているので我慢はするが、環境を改善しない限り勝利は難しくなっていく。だが環境を改善するためには、勝利して昇格するしかない。「鶏が先か、卵が先か」という命題が突きつけられる。

昇格をしなくていいチームのほうが環境がよく、昇格を心から願うチームのほうが厳しい状況の中で勝負をしなければいけないというのは、皮肉な状況でもある。その一方で、J3リーグがあるからこそ、日本サッカーには目に見える進化もある。

中村監督は言う。「試合をやるグラウンドはどこもいいんです。すごいスタジアムというわけじゃないですけど、小さいながらも立派な芝生もあり、サポーターもいる」。Jクラブが日本全国に出来たおかげで、サッカーが出来る設備、身近な場所で楽しめるファンは増えた。それこそがJ3リーグがもたらした最初の恩恵だ。

※クラブの営業収入は2016年度

【日本蹴球合同会社/森雅史】

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