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ミャンマーの貧困と高齢化問題、「うば捨て」も

ミャンマー最大の都市ヤンゴンの郊外にある老人ホーム「トワイライト・ビラ」で、数珠を手にしながらベッドに横になる入居者(2017年7月4日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】脳卒中で半身がまひし、ほとんど話すこともできないティン・フライン(Tin Hlaing)さん(75)は、実の子どもたちによって道端に捨てられた。

 そのまま道端に横たわっていたティン・フラインさんは、気の毒に思った知らぬ人に、最大都市ヤンゴン(Yangon)の郊外にある老人ホーム「トワイライト・ビラ(Twilight Villa)」に連れて行ってもらったことで救われた。

 ティン・フラインさんの身に起きた「うば捨て」のような出来事は、急速に進む高齢化への対応に苦慮している貧困国ミャンマーにおいて、まれな例ではなくなってきている。同国では高齢化の問題が、既に無力化している医療福祉制度に重くのしかかっている。

 トワイライト・ビラのキン・マー・マー(Khin Ma Ma)氏によると、入居者の多くはティン・フラインさんのように、家族に見捨てられた後、当惑し病気を患った状態でやって来るという。

 同氏はAFPに対し「彼女(ティン・フラインさん)はひどい状態でした――混乱し脱水状態で、そして何よりひどく怒っていた」「話ができる状態ではなかった」と語った。

 2010年に設立されたトワイライト・ビラには現在70歳以上の高齢者120人が入居、100人以上が入居待ちとなっている。

 施設内にはわずか数センチ間隔でベッドがひしめき合うように並べられ、静かに宙を見つめたり、毛布の下でうずくまったりしている高齢者たちでいっぱいだ。

 あるベッドの上では、弱々しい高齢の女性が、ほほ笑んだ表情のプラスチック製の人形の耳に向かってささやいている。家族が暮らす家の裏庭にある小屋からこの老人ホームに移ってきて以来、この人形が彼女の唯一の話し相手となっている。

 キン・マー・マー氏は、ごみ捨て場のそばに車から投げ捨てられた別の女性のことを回想する。その女性は発見された時、体は切り傷やネズミにかまれた痕だらけだった。女性はこの老人ホームにたどり着いたものの、わずか数か月後に亡くなったという。

 キン・マー・マー氏は「ここに来る高齢者のポケットからはときどき名前と年齢が書かれた小さなメモが出てくることがあります。(手掛かりは)それだけです。そうした高齢者に質問しても、返答することさえできません」「文明社会において高齢者がこのような扱いを受けることがあってはならないし、彼らを見捨てた人物たちは起訴されるべきだ」と語った。

■死に場所

 軍事政権による数十年にわたる悪政、厳しい制裁、民族紛争などによって、ミャンマーは世界の最貧国の一つとなった。そんなミャンマーは今、人口動態上の危機に直面している。

 国連(UN)によると、現在、ミャンマーの人口の約9%は65歳以上だが、2050年までにこの数字は25%に急増し、15歳未満の割合を上回る見通しだという。

 国連人口基金(UNFPA)のミャンマー担当者ジャネット・ジャクソン(Janet Jackson)氏は「経済の現状により、多くの人々が高齢になっても生きるために肉体労働を続けることを余儀なくされている」「このことは高齢者のための適切な社会福祉と政策の必要性を明確に示している」と語った。

 軍事政権の50年にわたる投資不足により高齢化対策は既にぼろぼろの状態で、ミャンマーの医療福祉制度はこうした現状に対処するのに苦慮している。

 約半世紀ぶりとなった文民政権は昨年の発足以来、新しい老人ホームを1つしか設立していないばかりか、この施設は90歳以上限定で、1か月あたりわずか1万チャット(約800円)の援助金しか得ていない。

 伝統的に大抵の高齢者たちは家族によって面倒をみられるが、貧困の圧力、高いインフレ率、急速な都市化などにより身内を見捨てる人々の数は増加している。

 僧侶が運営しているヤンゴンの別の老人ホームに3年前から暮らしてるフラ・フラ・シュイ(Hla Hla Shwe)さん(85)は「私たちには他に行く所がない。死を待つためにここに来た」と話し、「ここでは孤独感が薄らぐし、寄付のおかげで食べ物も貰える」と付け加えた。

■古き良き時代

 ヤンゴン東部には、晩年を共に慰め元気づけ合って暮らす女優たちがいる。

 かつて銀幕のスターだったヌウェト・ヌウェト・サン(Nwet Nwet San)さん(77)が寄付された土地に設立した老人ホーム「マザーズ・ビラ(Mother's Villa)」には、高齢になった映画スター20人以上が生活している。

 ヌウェト・ヌウェト・サンさんはAFPに対し「元女優といえども、晩年がとても苦しいものになる可能性がある」「ひどい状況で亡くなった人を何人か目にして、この場所を設立しようと決めた」と語った。

 マザーズ・ビラの棚には賞や映画ゆかりの品々が、壁には華やかな衣服を着た全盛期の女性たちの色あせた写真が飾られている。

 今でも彼女たちは頻繁に同じ衣服を着てメークをし楽しんでいる他、ダンスチームを組み、毎年恒例の水かけ祭りでパフォーマンスを披露している。

 最近脳卒中を患った入居者のモー・ティーダ・モー(Moe Thida Moe)さん(73)は「私には行く所がなかった。(しかし)ここでは友人たちと一緒で幸せだ」「古き良き時代を思い出させてくれる」と話した。
【翻訳編集】AFPBB News

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