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【新名神橋桁落下事故1年】「人生が一変してしまった」利き腕を失った作業員、安全対策に消えぬ疑念

新名神高速道路の橋桁落下事故で左腕を失った中林潤也さん=4月18日、大阪市大正区(小松大騎撮影)

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 神戸市北区の新名神高速道路建設現場で作業員10人が死傷した橋桁落下事故から、22日で1年となる。

 現場では今月、新たに造られた橋桁の架設工事が始まったが、事故に巻き込まれた作業員の心身の傷は今も癒えていない。「安全管理は本当に大丈夫なのか。二度と事故を起こしてもらいたくない」。事故で一時昏睡(こんすい)状態に陥り、左腕切断の重傷を負った男性は複雑な胸中を明かした。

地上15メートルから

 大阪市大正区の中林潤也さん(20)は、地上約15メートルの高さにあった橋桁東側を支えるベント設備の撤去作業中、崩落した橋桁とともに地面にたたきつけられた。鋼材に挟まれて首と胸を骨折し、昏睡状態で搬送された。意識が戻ったのは2週間後。利き腕の左腕がなくなっていることを知ったときは混乱し、しばらく現実を受け入れられなかった。

 大阪市内の建設会社に入社したのは平成26年。新名神の建設現場には孫請けの作業員として派遣された。建材や鋼材が次第に形になっていく過程にやりがいを感じ、ゆくゆくは独立して自分の会社を持つのが夢だった。しかし、利き腕を失った今、現場復帰のめどは立たない。負い目を感じ、自宅でふさぎ込む日々。「なぜ自分がこんな目に遭わなければいけないのか。人生が一変してしまった」とやりきれなさが募る。

異変伝えたのに

 事故の1週間ほど前、ベント設備の支柱が地面にめり込んでいるのに気付き、同僚を通じて工事責任者に伝えた。しかし、工事は異変を無視して続けられた。事故後、工事の発注元である西日本高速道路が設けた技術検討委員会の調査では、支柱が地面に不均等に沈んだことが事故原因と指摘された。「あの時点で対策を取っていたら、事故は起きなかったのではないか」との疑念は消えない。

 今年に入って補償交渉のために施工業者の社員と初めて会った。事故原因を尋ねたが、「警察が捜査中」と明確な回答は得られなかった。なぜ事故が起きたのか納得できないまま、現場では今月、新たな橋桁の設置工事が始まった。

 「現場には安全より工期を優先するような雰囲気があった。同じように苦しむ人を生まないためにも安全を願うしかない」。中林さんは祈るように話した。

【業務上過失致死傷容疑で40人以上聴取】

 新名神橋桁落下事故をめぐっては、兵庫県警が業務上過失致死傷容疑で捜査しており、これまでに施工業者の「横河ブリッジ」(千葉県船橋市)など工事関係者40人以上から事情を聴いた。

 今後は西日本高速道路が設置した検討委の調査を踏まえ、5月以降に判明する見通しの橋桁などの証拠品の鑑定結果を精査。工事関係者らが事故を事前に予測できたのかを慎重に調べ、立件の可否や対象者を見極める方針だ。

 さらに、神戸西労働基準監督署も、労働安全衛生法違反容疑などを視野に関係者を聴取。工事のスケジュール管理に無理がなかったかなどを調べている。

 一方、西日本高速は今月16日、当初の予定から1年遅れとなる平成30年3月末の全線開通を目指して橋桁の架設工事に入った。橋桁本体などに計測装置を設置し、24時間体制で橋桁の傾きや地盤沈下量などをコンピューターで管理。担当者が数値の変遷を監視する再発防止策を講じている。

【新名神橋桁落下事故】

 平成28年4月22日午後4時半ごろ、神戸市北区道場町平田の新名神高速道路建設現場で、長さ約120メートル、重さ約1350トンの橋桁が落下。作業員2人が死亡、8人が重軽傷を負った。真下を通る国道176号は、一部区間が約2カ月間通行止めとなった。西日本高速道路などは地元住民や近隣店舗に補償を行い、今年4月時点で申請を受けた約260件の9割の交渉を終えた。

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