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「うやむや籠池劇場」の後始末

 小学校一つのことで証人喚問にまで発展した不毛な茶番――。さあ、この爆弾どう“処理”してくれるのか!?

 今年に入ってから突如沸き起こり、怒濤の展開を見せた森友学園問題。この学園の理事長だった籠池泰典氏の言動を巡って、数々の政治家らが次々に“渦中の人”となった騒動は、国会での証人喚問に籠池氏が招致されるというクライマックスつきの、いわば「籠池劇場」と呼ぶにふさわしいものとなった。この騒動は、いったい何だったのか――。まずはその経緯を振り返ってみよう。

 まず、この問題は、大阪市で幼稚園を経営する「森友学園」が、「瑞穂の國記念小學院」という小学校の建設用地として、国有地を破格の値段で手に入れたことに端を発する。「そもそも、小学校の設置認可の審査基準をクリアしていなかった可能性があることに加え、当初、不動産鑑定評価額9億5600万円の小学校予定地が、その予定地にゴミが埋まっていることが発覚するや、ゴミ撤去費用を差し引いて、約1億3400万円で払い下げられたんです。さらには、これまでに学園側が土地改良などにかけた費用の1億3176万円も国が支払ったと指摘されており、実質、たったの約200万円で国有地払い下げを受けたという、夢のような話なんです」(全国紙政治部記者)

 もっとも、これだけなら国民の大きな関心は呼ばなかっただろうが、この学園の幼稚園で園児に教育勅語を暗誦させていたことや、“安倍首相頑張れ!”“安保法制国会通過よかったです!”などと言わせていたことが報道されると、その異様とも思える愛国教育ぶりや、籠池氏の特異なキャラが世間の関心を呼んだ。しかも、この小学校の名前が当初、「安倍晋三記念小学校」とされていたことや、首相の昭恵夫人が同小学校の名誉校長に就いていたことが報道され、払い下げはなんらかの政治的働きかけの賜物ではないかとの疑惑が浮上したわけだ。

「そこへきて、鴻池祥肇・元防災担当大臣が、籠池氏から封筒に入った“コンニャク”を差し出されて突き返したと暴露。そんな中で、安倍首相は籠池氏との関係を全否定し、関係があったら首相も国会議員も辞めると発言したんです」(前同)

 やがて、森友問題の小学校設置認可が先送りされると、籠池氏は申請を取り下げ、理事長を辞任。失うものがなくなった籠池氏は、「安倍首相から100万円もらった」と“爆弾”を投下し、反撃に出た。

 そして3月23日、籠池氏の証人喚問が行われたわけだが、政治家や官僚の明確な関与はまったく明らかにならず、「大山鳴動してネズミ一匹」どころか、ネズミさえ出て来なかったのはご存じの通り。政治ジャーナリストの角谷浩一氏が言う。

「本来なら、極めて怪しい(担当役所の中心である)財務省の疑惑が最大の焦点になるはずでしたが、(教育勅語暗誦などの)例の異様な映像が再三、流れたことなどで焦点がボケてしまった。しかも、昔の楢崎弥之助氏のように鋭く追及する“政界の爆弾男”の存在もなく、この間の野党の調査能力不足、突っ込みの甘さもあり、国民からすれば何がなんだか分からない結果になってしまいました」

 結局、この問題、すべてがウヤムヤで終息しようとしているが、この「籠池劇場」に登場した“劇団員”を取り巻く状況は、大きく変わったようだ。まずは、今回の問題の元を作ったとも言える昭恵夫人と、それを弁解した安倍首相から見てみよう。

 証人喚問では、昭恵夫人から「安倍晋三からです」と言って100万円の寄付をもらったとの籠池証言が飛び出し、昭恵夫人付き職員からFAXを受け取っていたことも明らかになった。そこで、夫人の証人喚問要求が出るに至ったわけだが、「安倍首相は、昭恵夫人のことを“私人”と言い続けましたが、名誉校長に就いた日の学園訪問時に政府職員が同行した件は、職員は公務で行ったことが判明しており、首相がごまかそうとしていたことが明らかになりました。そもそも、5人もの職員を我々の税金で付けておいて、“私人”のはずがありません」

 こう語るのは、ジャーナリストの安積明子氏。さらに続けて、「菅義偉官房長官は証人喚問直後、昭恵夫人付き職員が籠池氏に出した財務省への問い合わせ結果を記した文書を公開し、なんら“関与はない”との見解を出しましたが、問い合わせをしているわけですから、関与していたのは明らか。しかも、時の首相夫人が名誉校長になったことで、行政側が忖度し、結果的に学園の要望が通ったことは彼女も分かっているはず。あまりに無防備すぎます」

 そのためか、国民の不信感を招き、安倍内閣の支持率は52%と、喚問前に比べて約10%も下がっている。軽率な行動と苦しい取り繕いが招いた結果とも取れるが、ともかく、“劇団員”の中で一番の大損をしたのは、この人たちだろう。

 お次は、国会において、弁護士として森友学園との関わりは一切なかったと答弁しながら、実際は04年12月、森友学園の訴訟で出廷していたことが明らかになった稲田朋美防衛大臣。

「弁護士でもある彼女が、それほど昔でもない時期に仕事で出廷しておいて、その記憶をなくすわけがないでしょう。明らかに、バレないだろうと虚偽答弁したと見るのが常識というもの。本来は大臣どころか、議員も辞職ものです」(ベテランの国会議員秘書)

 答弁の訂正と謝罪をするにはしたが、時すでに遅し。まさに自業自得といったところだろう。

 籠池氏が「怒りを感じる政治家は?」「ハシゴを外した人は?」との問いに「大阪府知事」と繰り返された松井一郎大阪府知事も、“劇団員”の一人だ。松井氏も籠池氏も、お互いに「会ったことはない」と語っている。問題発覚後に認可を取り消されたことから、そのトップということで逆恨みされているような感もある。だが、小学校の校舎建設にあたり、学園側が金額の異なる3つの契約書を用意していた問題について、私文書偽造などで告発検討を明らかにしていることなどを見ると、「籠池氏本人が潔白かどうかは別にして、府の対応を見ると、極めて感情的、仕返ししてやるという感じがして、行政対応として、ちょっとどうかなという感じがしますね」(角谷氏)

 松井氏は、一時はあっさりと認可しようとしていた行政のトップである。責任がないわけではない。安倍首相を批判するのに躍起になっているようだが、それも世間の目が自分に向かないための作戦なのか。

 そして、こちらは本当のとばっちり。それは、公開された昭恵夫人と籠池夫人とのメールのやりとりの中に、森友学園の幼稚園に無断で入ろうとしていた旨の内容が書かれていた辻元清美衆議院議員(民進党)だ。「これはまったくのデマだったことが分かりました。“劇場”の風評被害ですね。でも、この件では辻元氏が何度も抗議していたにもかかわらず、国会で“辻元議員も侵入の疑惑を説明すべき”と、うっかり発言してしまった安倍首相のほうが株を落としたのでは……」(前出の政治部記者)

 結局、本人を含め、舞台に上げられた全員が大損をこいた“籠池劇場”。「株を上げた人を強いて挙げるとすれば、与野党の“口撃”をサラリとかわした籠池氏の黒子を務めた補佐人・山口貴士弁護士くらいですかね(笑)」(前同)

 そして、一番の被害者は、実りのない“籠池国会”のツケを支払う国民だろう。議員報酬にその他の費用を加えると、国会は1日で3億円超の金がかかる。これは当然、血税で賄われている。

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