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【関西の議論】もはや文化、多様化する「飛び出し坊や」の世界…誕生40年余、発祥の地・滋賀でキャラクタービジネスも

約180センチの飛び出し坊や(奥)。交通標識と同じ高さだった=滋賀県東近江市市原野町

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 道路脇から今にも飛び出す構えの少年の姿。

 ドライバーに子供の飛び出し注意を促す「飛び出し坊や」と呼ばれる交通啓発看板は今や各地で見られるが、約40年余り前に滋賀県で設置されたのが最初とされる。その発祥の地・滋賀では近年、ちょんまげを付けたでっち姿や身長180センチの巨大坊やなど、バラエティー豊かなオリジナル坊やが続々と誕生。グッズや着ぐるみなどキャラクタービジネスも活発化している。ボランティアらが中心になって初の県内調査も行われたが、そこから見えてきたのは、長年にわたり地域の深い愛情に包まれ成長してきた坊やの姿だった。(杉森尚貴)

オリジナルデザインの飛び出し坊や

 飛び出し坊やは昭和48年に同県の旧八日市市(現東近江市)の看板業者が市社会福祉協議会から依頼を受けて製作、道路に設置されたのが始まりとされる。後にイラストレーターのみうらじゅん氏が紹介し、よく知られるようになった。

 初の“生息調査”を行ったのは、ふだんは琵琶湖の生物の生息を研究している県立琵琶湖博物館(草津市)。博物館に登録するボランティアに依頼し、昨夏から県内全域で調査を行い、今年2月に結果をまとめたところ、興味深い事実が次々と明らかになった。

 まず設置箇所は、信号のない交差点や民家の出入り口付近など交通事故の危険が大きい地点に多かった。これは予想通りだが、調査できた466体中、半数近くの208体は保存状態が良好で、落書きなどいたずらされている坊やは一体もなかった。

 電柱や看板などへの落書きはよく見られるが、滋賀での坊やはやはり特別な存在なのか。そもそも調査のきっかけは、博物館で今年度の課題を話し合っているときにボランティアから「飛び出し坊やに関する地域愛を確かめたい」との意見が出たからだった。

でっち、ニワトリ、アユ…商店のPRにも

 調査では、オリジナルデザインの飛び出し坊やが増えていることも分かった。近江商人発祥の地として今も商人屋敷の町並みが残る近江八幡市の旧市街地。その一角にある文久3(1863)年創業の老舗和菓子店「和た与」の店頭には、ちょんまげに前掛け姿の飛び出し坊やがいた。

 5代目店主の小川与志和さん(51)によると、かつて商家に奉公した「でっち小僧」をモデルにしたという。同店の看板商品は、でっち小僧が故郷に帰る際に店がもたせたとされる「でっち羊羹(ようかん)」。看板は商品のPRも兼ねて約1年半前に作ったところ、訪れる観光客が増えたという。

 千葉県出身の小川さんの妻が滋賀で見かける飛び出し坊やに興味をひかれ、提案したことも、看板作りのきっかけになった。小川さんは「私たちからすると、どこにでもいる当たり前のものなのですが…。このように派生させると観光客に楽しんでもらうこともできるとわかりました」と話す。

 ちなみに旧市街地の日牟礼八幡宮の周辺には、商店のPR用に作ったオリジナル坊やが多い。アユ料理店のアユを抱えた坊や、精肉店の牛を模した坊やや鶏のトサカを付けた坊やなど、10体ほど確認されたという。新たなキャラを探してみるのも楽しいかもしれない。

市役所の執務室にも

 坊やのふるさと・東近江市。市役所交通政策課に入ると、交通安全のタスキを巻き、JFL所属の地元のサッカークラブ「MIOびわこ滋賀」のユニホームを着た飛び出し坊やがいた。

 タスキは、市内の9つの中学校で生徒たちが交通安全活動に使うタスキと同じ。坊やは市役所内にいながら、生徒たちと一緒に“活動”しているのだ。同課の大和田莉加さんは「来庁者に交通政策課の場所を案内する際のランドマークになっている。私たちの町の交通安全のシンボルです」と話す。

 誕生の地とあって、同市内では特に坊やの姿が目立つ。広報課によると、等身大の飛び出し坊や、顔が3Dの坊やもいるという。

愛されてグッズ化

 一方、キャラクタービジネスも活発化。東近江市の輸入雑貨商でライターの川村潤市さん(45)は、ストラップなど飛び出し坊やのグッズを作り、販売している。平成20年にフリーペーパーで坊やの起源を調べて記事にしたのをきっかけに坊やのとりこになり、「交通安全の輪とともに、滋賀県の文化として全国に広められないか」と考えたという。

 最初は知人のカフェなどに置いてもらって浸透を図り、今はホテルなどにも販売。22年ごろには着ぐるみも作り、キャラクターイベントにも参加。着ぐるみは昨年、東近江市が地元をPRする「コミキャラ」の一つに選ばれた。

全国の坊や参集

 同県守山市のリゾートホテル「ラフォーレ琵琶湖」では毎年、「飛び出し坊やコレクション会」を開いており、全国から集めた坊やの展示や関連グッズの販売を行っている。

 企画した管理課長の山極明宏さん(50)は自身も坊やのファンで、ブログで各地の坊やの写真をアップロードするうちにコレクション会の開催を思い付いたという。「各地の坊やたちも、破損や劣化すると地元の人が改良や新調している。地域の人の愛で生きているように感じる」と山極さん。

 グッズの売り上げも好調で、当初はストラップとTシャツの2種類だったが、現在はノートやクッキーなど約20種類になった。

 滋賀県“名産”の飛び出し坊や。本来の役目も果たしながら、多彩なバリエーションがまだまだ増殖しそうだ。

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