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話題振りまくコスプレ社長のあの企業に危険信号?ファンドが次々と持ち株売却

タカラトミー「紅白福々トミカ(紅)」

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 7月21日放送のテレビ番組『ガイアの夜明け』(テレビ東京系)を興味深く視聴した。「プロ経営者は会社を変えるか?」というテーマで、大手玩具メーカー、タカラトミー社長兼CEO(最高経営責任者)のハロルド・メイ氏への密着取材がメインのひとつだ。

 私は20代の終わりに3年間、タカラトミーの前身、トミー工業に勤めて海外貿易実務を習得し、国際ビジネスへの興味を抱かせてもらった。OBとして、これまで同社に関してはウォッチャー的に興味を持続させてきた。

 メイ氏はオランダ人であるが、日本育ちでキャリアも日本で積んでいる。外資系企業であるユニリーバ・ジャパンや日本コカ・コーラを経て、14年3月にタカラトミーの顧問に就任し、その翌月にはCOO(最高執行責任者)、同年6月には代表取締役副社長となった。先月6月の株主総会で社長に就任したのは既定路線だったとみられている。

 メイ氏をスカウトしてきたのは、社長から会長となった創業3代目社長の富山幹太氏だという。富山氏は私が退職後、イギリス遊学先から帰国して32才の若さで社長に就いた。以降30年近くの長きにわたって経営に当たってきたところ、12年に米国子会社が取り扱い商品に関する営業用ファックスを一方的に顧客へ送ったとして、集団訴訟を起こされた(14年に10億円強の和解金支払いで解決)。また、子会社が累計約20億円もの架空取引をしていた事件も発覚。13年3月期は、タカラとトミーが合併して以来初の赤字71億円(当期利益ベース)を計上してしまった。

 一連の事態を受けて、富山氏が「経営職を譲ろう」と決断する至ったことは想像に難くない。

●小粒な経営改革

『ガイア』を見る限り、メイ氏は社員とのコミュニケ―ションを重視するタイプの経営者のようだ。社長室のドアを開け放しておいて、アポなしでの社員の来室ミーティングを歓迎している。

 番組内では、『リカちゃん人形』の新プロモーションを若い女性社員が提案してきた時のもようが紹介されていた。提案はすぐに承認され、『大人リカちゃん』を開発デザイナーが張り切ってつくり、池袋ルミネ(東京都豊島区)を全館的に巻き込んでコラボ・プロモーションを展開しはじめたのが6月下旬。すでに大きな反響を得て大成功とされていた。

 私も早速同社のHPでチェックしたら、なんと「商品のお渡しは12月26日予定」となっている。一次販売が半年先で、それ以降は2次予約の受付があったらしいが、私が見たときにはすでに「予約打ち切り」となっていた。メイ氏が「それで、商品の生産計画はどうなっている?」と一言確かめておけば、こんなちぐはぐなことは起こらなかったはずだ。

 昨年10月には組織再編を行い、「幹部の平均年齢が5歳若返った」(メイ氏)というが、ヘッドカウント(社員全体数)には手を付けたのか。本社の管理部門も企画・開発部門へのシフトを考えているという。打とうとしている手が小粒の感は否めず、15年3月期の決算書を見ると人件費はほとんど減っていない。工場や物流の無駄を削っているとも報じられているが、それは当然の施策ともいえる。

 1026種類あるトミカも「90%の利益は365種類から生まれている」とメイ氏は昨年指摘したが、トミカの商品構成には大きな変化は見られない。

●厳しい船出

 メイ氏の功績はもちろんある。その容貌とコミュニケーション・センスで、今回の『ガイア』に限らずタカラトミーの新しい顔としての露出が著しい。スター・ウォーズ関連商品の発表会では、メイ氏自らダース・ベイダ―に扮したコスプレ演出はメディアでも大きく取り上げられた。ちなみに15年3月期決算発表会資料でも、「新聞掲載 広告費換算 対前年比130%」と誇らしげに紹介している。

 メイ氏がCOOとして1年間フルに執務した15年3月期の業績も冴えない。連結売上高は1498億円(対前年比3.2%減)、営業利益24億円(同27.2%減)、経常利益20億円(同 66.6%減)に沈んだ。そもそもメイ氏が副社長に就任した当時のアニュアルレポートには、「15年3月期の固い目標」として売上高1640億円、営業利益60億円という数字が掲げられていた。

「プロ経営者」として招請されたメイ氏だが、船出は厳しい。5月末に、筆頭株主だった丸の内キャピタルが運営するファンドが、全持ち株を売却した。持ち分は12.2%だった。新任社長が就任するのを契機に筆頭株主が全持ち株を売ってしまうとは、どういうことなのだろうか。丸の内キャピタルの全株売却は、投資ファンドのTPGが昨年12月に行った損切り売却に続いた格好となった。

「再生経営者は最初の6カ月が勝負」というのが私の経験則であり、黄金律だ。タカラトミーのOBとして、これからも同社の行方を注意深く見ていたい。
(文=山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役)

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